- サクラの埋め尽くす吉野山から大峯奥駈道へ -
【公式案内】奈良県 > 近畿自然歩道 > ガイドマップ(1-12.吉野古道修験のみち)
【コ ー ス】如意輪寺~稚児松地蔵~花矢倉~青根ヶ峰~四寸岩山~五番関~洞川温泉
【距離高度】16.8km、360m-1,439m-830m
【踏 行 日】2006年4月中旬、2008年4月下旬、2011年11月下旬
たぶん、近畿自然歩道の全コースの中でも厳しさは1、2位を争うと思います。"修験の道"の名に偽り無し、かも知れません。
序盤は吉野山から始まります。シーズン中は大賑わいなので観光気分になってしまいますが、それも青根ヶ根まで。この標高857mの吉野山最高峰に達した後は、1,236mの四寸岩山、1,439mの大天井ヶ岳、と大峰山地の稜線を突き上げていきます。ハイクというより山岳縦走です。この縦走路は大峯奥駈道と言い、世界遺産の熊野古道の1経路なのですが、全経路の中でもっともハードなコースとなっています。
ただし、奥駈道のこのあたりの道は、難易度としてはそう高いものではありません。百丁茶屋跡まではところどころ林道を交えますし、山道も整備されており、道標も要所にあります。四寸岩山は林道で巻いてしまうことも出来ます。従って、日が長い季節で、体力的にも問題が無ければ日帰りも可能かと。(ちなみに、大天井ヶ岳の東面を巻く道は2011年現在、崩落により通行止め)
五番関からは山下り、と言いたいのですが、そう単純なものではありません。五番関までの奥駈道歩きを前半、五番関から洞川温泉までを後半、と捉えても良いくらいです。洞川自然研究路を辿るのですが見所多く、途中、母公堂やごろごろ水、エコミュージアムなどに寄っていると時間はあっという間に無くなります。さらに、渓谷の遊歩道を辿った後はもう一度、200mばかりの山登りがあります。洞川温泉を見晴らす位置にある大原山への登山です。山頂の展望台は見晴らしが悪くなってしまっていますが……。その後は、大吊橋を渡ってさらに山道を辿り、面不動鍾乳洞まで到達してようやく洞川温泉の地に下りていくことが出来ます。
――と、いうように完全に山歩きコースです。長い上にハード。しっかりとした山登り装備が必要です。特に、雨具の用意は怠らぬよう。
如意輪寺から観光車道を越えて中千本観光駐車場脇からさらに上ります。稚児松地蔵を過ぎ、日拝地蔵を直進すると林が途切れて見晴らしが良くなります。花矢倉手前で吉野山主稜線に合流。周囲は再び観光地の雰囲気になります。
吉野水分神社の先、"吉野山回遊オプションコース" に入ります。桜は消え、薄暗い林の中の車道歩き。暫く上ると高城山山頂への登り口が現われます。
高城山山頂には休憩所もあって、休むには良い場所。奥千本口駐車場を過ぎると、勾配のきつい坂道。
金峯神社を過ぎ、石畳の道を進みます。苔清水のある西行庵は、奥千本桜観賞か水補給に立ち寄る価値があります。「女人結界」の石柱が立つ(と言ってもまだ結界ではない)分岐で青根ヶ根山頂へ。その山頂は丈高い杉林で囲まれた何も見晴らしの無い場所。
そのまま進むと林道合流、ただ、またすぐに右手の山道へ。何も無い林間のピークを越えて、再び林道合流。しばらくフラットな車道歩きです。
さて、次の四寸岩山ですが、道は3本あります。(1)尾根通しで山頂を目指す。(2)山腹の巻き道、新修行道を進む。(3)林道をそのまま進む。
近畿自然歩道は(1)ですが、疲労度に応じて(2)(3)の選択もありでしょう。
足摺の宿跡を過ぎ、いったん林道を跨いで百丁茶屋跡です。ここも休憩には良い場所。
次に大天井ヶ岳への稜線道に入ります。コース最高地点となる山頂からは北方の眺めが良いです。その先、痩せた尾根を慎重に通過していくと下りになって、下り切ると五番関。
ここには女人結界門が立ちます。この先の山上ヶ岳山域に女性が踏み込むことを禁じているのです。脇に、この1,300年の宗教的伝統への理解を訴える立て札。
近畿自然歩道はここで奥駈道から分かれ、下山に掛かります。急勾配を下っていくと、すぐに車道に出ます。五番関トンネル前の広場です。ここにはあずま屋もあります。
しばらく、車道を下ります。勾配がなくなると、別の車道に合流。その手前、右手の杉林の立ち木の中にコース案内図と道標が立っているのが見えます。洞川自然研究路です。
研究路は、杉林に時々入りながらも、山上川の河岸を辿ります。途中、何度か河岸を変えます。ところどころに解説板やあずま屋があります。修験の道らしく、行場も幾つか通過します。
エコミュージアムとの分岐で右折、川を離れて林の中に入ります。すぐに林から抜けて、洞川の町の外れに出ます。少し車道を辿ると、コースは右、大原山が指し示されます。
大原山をジグザグに上ります。途中からは山道になって、最後、展望台のある山頂部に到達。
次に尾根筋を下山します。別の展望台を通過、かねがね吊橋を渡った後は、山腹の巻き道に入ります。なかなか、眼下に見える洞川の町に下りていけません。
面不動鍾乳洞の手前まで達したら、ようやく下りとなります。車道に出て右に進めば、すぐに洞川温泉バス停です。
踏行記録
如意輪寺←稚児松地蔵←花矢倉←青根ヶ峰…
【2006年4月中旬】単純に吉野山に桜観光。金峯山寺の方を通って青根ヶ峰まで登った後、如意輪寺経由で下りてきました。登りはどうしようもないガスの中でしたが下り始めると一気に晴れ、上千本・中千本で桜も満喫出来ました。ただし、人出も物凄かった……。
ちなみに、近畿自然歩道の道標が立っていたことは覚えていません。
…花矢倉→青根ヶ峰→四寸岩山→五番関…
【2008年4月下旬】大峯奥駈道北部縦走に行った時に、再びこのコースを通りました。大きなザックを背負いながら花矢倉以降の大峯奥駈道を辿ったのですが、結果的に近畿自然歩道のコース採りに忠実な歩きになりました。それにしても長く厳しく、まさに修験者の道を実感。
なお、五番関からは女人結界門の先にある山上ヶ岳へ突き進みました。
…大天井ヶ岳→五番関→母公堂→洞川温泉
【2011年11月下旬】洞川温泉からコースを辿って歩いていたと思っていたのに、途中にあったコース案内を見て道を間違えていたことに気づきました。五番関まで上った後、引き返すことを急遽決定。ところが、五番関では前に辿った大天井ヶ岳の巻き道が通行止めになっていて、近畿自然歩道が稜線道に付け替わっていることを発見。急遽、大天井ヶ岳山頂までピストンすることにしました。
ということで、百丁茶屋~大天井ヶ岳山頂は未踏です……。