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大神神社まで来たのはよいけれど、途中、久延彦神社を飛ばしてしまったことに気付いた。
どこにあるのだろう、とフラフラ~っと探索。いったん、茶屋のあった狭井神社入り口まで戻り、池の脇の道に入る。
案内に従って右手の小道に入っていくと、少しだけ上り道。遊歩道のようだ。階段もある。そして――
見晴らしが抜群の展望台。大和三山を抱え持つ古都奈良の南半分が一望のもと。まあ、確かにここまで山辺の道から奈良盆地を見下ろし続けてきたけれど、やっぱり、ちゃんとした展望地だと爽快さが違う。
そして、その高台から少し下った先に久延彦神社はあった。
展望台があり、眺望の解説写真があり、さらには双眼鏡まで据え付けられている。まだ陽も燦々と照りつけて、今日の旅がここで終わりだったら良かったのだけど――
今日は未だ先がある。時刻はPM3:35、正面にあった長い階段は使わず、来た道をそのまま引き返す。
大神神社に戻ってきた。残照も抜け、境内は早くも薄暗くなりつつある。そして、寒さも……。
ふと、このまま三輪駅へ向かって帰途に着いてしまおうかという考えが頭を過ぎる。いやいや、メインロードが終わったとは言え、山辺の道はもう少し先がある。それくらいは歩き切らないと後悔するだろう――。
大神神社から南へ抜け、稲荷神社を横目にさらに進む。ほどなく、平等寺。
境内をちょこちょこっと歩いて直ぐに外に出る。まったく、気持ちがセコくなっていけない。平等寺前の細い道に入って、さらに南へ。
途中の分かれ道は左。すぐに金谷の石仏と、喜多美術館。ここも一瞥しただけで先を急ぐ。
と、通りに出た。金屋の集落――昔の、海拓榴市の通りだ。
ただ、その名残はあまり残っていないように思える。石碑と、説明板があるくらい。それと海拓榴市観音堂。
金屋の町並みを抜けると県道199号に突き当たった。その向こうに――大和川。
PM4:00、大和川の脇の金屋河川敷公園に到着。休憩所とコース案内板がある。それによると……山の辺の道はここまでだそうだ。ともかく今日一日で、北から南まで歩き切ったことになる。
そして、ここから先は初瀬街道ということになるのだろうか。大阪玉造から始まり、伊勢神宮に至る伊勢街道の一部だ。一方、東海自然歩道はというと、大和川左岸沿いの県道をそのまま進む。さて……。
このまま桜井駅に向い、帰途に着くことも出来る。――それより、橋の向こうに興味のあるものを見つけた。見慣れたカタチの指導標。正体を確認するため、橋を渡る。
「近畿自然歩道」の指導標! それもかなり新しいものだ。こんなところに近畿自然歩道が通っているなんて知らなかった。
道標は「金屋の石仏-忍坂」と書いている。忍坂、とは珍しい名だ。というわけで……
そのまま東へ向けて歩き出す。近畿自然歩道歩きだ。なに、東海自然歩道は対岸なので、戻ろうと思えばすぐ戻れるさ。
暮れなずんできた空を見ながら、三輪川左岸を上流へ向かって歩いていく。
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近畿自然歩道へ進む→ |
と、近畿自然歩道が川から離れる方向を示す。ここまでか、と思い戻ることを決める。橋は前方に見えるのでさらに進むと……行き止まり。
欲を出したためマヌケな結果となった。戻ると結構な時間ロスだ。うーん……。
川を一瞥。問題ない。渡渉する。
――東海自然歩道に復帰。ちょっと強引だけれど。何事もなかったのように県道を東へ向かって歩いていく。
一瞬、国道165号に出たもののすぐに左折、田園風景の静かな道に戻る。ただし、もう小走りだ。玉列神社も、そこし奥まったところにありそうだったのでパス。
脇本のバス停で再び国道に出される。
指導標は、がっかりなことに国道そのものを指し示している。
仕方ない。歩道スペースの無い危険な道をそろそろと歩く。ほんとに、国道165号は交通量が多い上に車はスピードを出して走ってくる。それも、帰路を急ぐ休日ドライバーたちだ。この黄昏時にこのような区間を歩くのは自殺行為じゃないかとさえ思えてくる。
――といった身の危険を感じ、100mばかし歩いた先、信号のある脇本T字路で右折、国道の向こう、三輪川沿いの旧道に逃げ込む。
暫くは落ち着いた歩きとなる。東海自然歩道のコースじゃないのだけれど、逆に何故こちらがコースじゃないのだろう?
どうやら、国道を挟んだ反対側にも途中から細い道があるようだ。その途中に建つのが白山神社。家並みの合間、国道越しに確認。
そしてまた、国道165号に合流してしまった。
今度は逃げられない。車のビュンビュン通る国道歩きとなる。無灯火で突っ込んでくる車には、本当に恐怖を感じる。
ただ、途中から段差のある歩行スペースが現れてくれた。ホッとする。
500mほどの国道歩きの後、今度は左手に旧道。指導標もあって、今度こそそちらを示している。
進むと、出雲の集落。十二柱神社を見て、さらに進む。
――そして旧道は国道にぶつかる。でも、今度は歩道橋があって、その向こうに旧道は続いているようだ。
歩道橋を渡る。冬至はたしか一昨日、もうとっぷりと日は暮れている。早足に歩くことで体温を上げているものの、寒さが肌を突き刺すことまでは防げない。
集落の中を歩く。随分と川幅を狭めた三輪川――そして旧道は国道にぶつかるわけだ。あとはもう、国道を歩くしかない。
そして国道の歩行スペースを歩くこと10分。ようやく初瀬集落の長谷寺参道分岐に当たった。ここで国道ともオサラバだ。
参道脇には数多くの店が並んでいる。ただ、さすがにこの時間、人影はほとんどない。
歩くことさらに15分、参道は90°左に曲がっていく。
もう僅かで長谷寺だけれど、どのみち中には入れないだろう。よって、この先は次のお楽しみにしよう――などという言い訳を考えて今日はギブアップ。実は、もう寒さに耐えられないだけ……。
時刻はPM5:26。
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先のコースへ進む→ |
参道のカーブから少し戻り、左手にある細い路地に入る。山に突き当たって右折、山を回りこむ寂しい道を経ていったん国道に合流する。
先ほどまでの喧騒もどこへやら。国道も、夜になるとめっきりと往来が減る。もう、あらかたの人が自分の街に帰ったのだろう。
道路を横断して国道沿い歩きに。東に500mほど進むと、左に長谷寺駅から伸びている参道に交わる。左折。
登り坂となる。さらに途中右折して、急な階段を上っていく――長谷寺駅は思ったより高いところにあるようだ。
人通りはまったく無い。クリスマスの夜、家庭では暖かいパーティーが開かれているだろうか?
もうひとつ階段を上ると駅が現われた。近鉄大阪線・長谷寺駅だ。PM5:46。
なにはともあれ、今日は35kmのコースを歩き切った。前後のアプローチ含めると、40km近い道程かもしれない。要した時間は11時間13分――江戸時代の人が東海道を歩く時、昼間だけで一日40km以上歩いていたのを考えると、とても及ばないなあ、と思う。
大和は山辺の道。日本最古とも言われる道を歩いて、2006年の幕を引こう……。