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AM11:07、家老屋敷の休憩所を出発。家老屋敷内に立ち寄るのは、また今度の機会に。
道なりに南へ。三叉路にぶつかり、「疱瘡地蔵 0.8km」の方へ……進もうとしたのだけど、ふらふらと「芳徳寺 0.7km」の方角へ歩き出す。傍の学校の桜がとても奇麗だったからだ。
――中学校に桜。どことなく懐かしいと感じるのは憧憬というものだろう。
分岐まで戻る。今度こそ「疱瘡地蔵」の方角へ――と思ったら直ぐに道標があって左折させられる。ここから畦道。
八坂神社の境内に出た。普通の集落付きの神社に見える。ルートは――参道を下っていくようだ。
参道を下っていく。正面左、高いところに柳生正木坂剣禅道場の建物が見える。と、鳥居に当たった。脇には東海自然歩道のコース案内板と道標。
コースはここで右折のようだけれど、柳生の里もだいぶ奥まってきた。せっかく来たので目抜き通りも見ておきたい、というわけで直進、国道369号まで下りる。角には大きな柳の木。
――道路を挟んで柳生茶屋。赤傘に桜、古き良き茶屋の姿。さらに観光駐車場があって、その上に正木坂剣禅道場。柳生の剣道場と言うだけでなんか凄そう……。
もっとも立ち寄りはここまで。坂道を戻る。鳥居まで戻ってコースに復帰、道標に従いそのまま緩く坂道を上がっていく。右に柳生花しょうぶ園入り口を分ける。と、前方に分かれ道。と、左の壁面にさりげなく磨崖仏。こんなところが柳生らしい……のか?
分かれ道の一方は陣屋跡への入り口であった。そちらへ。
なにか建物があるのかと思ったら広々とした公園だった。お城っぽい遺構で「柳生城址」の石碑もあるけれど陣屋跡。何組かの家族が花見を楽しんでいた。のどかな春の光景。
コースへ戻る。奈良観光案内図があって、国道からここまでの坂が「正木坂」であったことを知る。東海自然歩道経路も示されていた。
……ありゃ、春日山でコースが複線化しているぞ。これは計算外。
緩い下り坂に変わる。左は開けていて、田園地帯を挟んで国道が併進している。>国道と合流する橋を見送ると、すぐに疱瘡地蔵入り口。民家脇の細い路地を山側へ上がっていく。背後に柳生の里。見納めか……。
あっという間に疱瘡地蔵に到着。最初、巨石側面の磨崖仏がそうかと思ったら正面の方だった。AM11:38。
さて、ここから峠越えの山道。高度差100mほどなので大したことは無い。それでも、4月上旬とは言え日が照っていると木陰の道はありがたい。
ずんずんと進む。ほどなく勾配は緩むものの、林の中では春っぽい光景はあまり見ることが出来ない。従って、ずんずんと進む。
……と、峠らしきところに出た。その後は一方的な下り。相変わらず地味な林間の道が続く。
道が舗装されてそろそろか、と思ったらいきなり山里に出た。開放的な光景――これは柳生よりも大きな盆地だ。
田植え前の棚田を見ながら山麓沿いの砂利道を南へ。サクラの飾る白砂川は今朝方、笠置でも目にしたもの。周囲にはカエルのゲコゲコした鳴き声が満ち、時折、ウグイスの鳴き声が混じる。
道標があって右折、コースは集落へと下りていく。
草ぼうぼうの、おふじの井戸を見て南出の集落へと入る。道標を見て左に曲がるとすぐに南明寺。PM0:17。
……ここでお昼か。花曇りの季節なのに陽光はまだ失われていない。内陸部ということもあるのだろうけど、このまま最後まで晴れていてくれるか分からない。先を急ごう。
南明寺前の道標で右折。集落を後に田畑の道へ。
田園地帯で左折、そして右折。道標が無ければコース通り歩けそうもない。そして、森が近づいてきたところでまた左折。分岐があるたびに道標を探してルートを確認する。簡単なコースガイド本しか持参していないので道が細かいと辛くなる。現地の道標が多いのは幸い。
やがて森に沿った砂利道となる。里もだいぶ奥まってきたようだ。右に緩くカーブしていって、現れたのが青少年野外活動センターの建物群。左折の道標も立っている。
森を1つ潜ると棚田の最上部に出た。そこから再び大きな見晴らし。ここは大柳生の里だ。
右から上がってきた車道と合流。そのまま車道を道なりに進んでいく。右手には里景色が開け、足元にはスミレ、脇には菜の花。
集落に入った。突き当たって左折して右折、もう一段高いところにある道へ。民家が立ち並んで見晴らしは減る。
この大柳生の里では立ち寄る箇所は次の夜支布山口神社だけだ。夜支布と書いて、やぎう。
――ただ、そこまでは何もない。まあ、柳生の史跡名勝が多すぎるだけで、こちらの方が普通。
ひたすら道を手繰っていき、危うくクランク状に曲がったコースを見逃しかける。細道を進んで集落の外れに出たところで、またもやコースはクランク状。
道は畦道に変わる。見晴らしは戻ったけど――空に雲が多くなってきたかも。
車道に出て、ここから山口神社へ向かうのかと思ったら山際に少し進んですぐ右折。細かい……。
そしてようやく田園に降りて、右折の道標を捉える。ようやく盆地の反対側へ向かうのだ。県道47号を横断し、すぐ右折。そこに参道の階段が伸びていた。赤い鳥居が見える。
PM0:59、夜支布山口神社に到着。なんと――ザックを背負った人の姿が多数! いでたちから明らかに柳生街道歩きをしている途中の人たちだ。ここまでほとんど見かけなかったのに何故……?
思うに、朝、奈良側から歩き始めた人たちなのだろう。半日かけてここまで到達、この後に柳生の里を目指す、といったところか。歩き方としては確かにそっちが主流かも。
山口神社を出発、距離的にはここから本日の後半戦。
――ただ、空はすっかり曇ってしまった。夕日を見ながら奈良盆地へ下りていければいいな、なんて漠然と思っていたのだけど、ちょっと難しそう。
神社の森の縁を進み、田園を渡って白砂川を渡る小橋へ。この白砂川もこのあたりでは随分と細い。
JAの建物の脇を通って車道に上がる。
車道、というより農道。車一本分の幅しかない上、時季が田植え前なので静かに歩ける――と言いたいところだけど。
山口神社からこちら、歩いている人の姿を良く見かける。しかも、けっこうパーティーが多い。さすが人気の柳生街道と思ったけれど、それでも以前歩いた山辺の道と比べたら、まだずっと地味。
しばらく山間の棚田歩きが続く。
だいぶ奥まってきた。もう30分近くこの棚田地帯を歩いているのだけど、まだ尽きない。けっこう急斜面の段々畑も目にする。完全に山の中という雰囲気。
そして棚田を後に、ようやく山上へと上がっていく道に入る。この先は忍辱山。いったいどんな山だろう?
……なんて思ってはいなかった。そこは山では無く忍辱山という地名であることは承知。高度400mほどの高地にある町だ。それにしても難読地名だこと……。
森を抜けて集落の外れへ出た。坂道をもうひと登りで2車線の国道に合流。その歩道を少し歩くと忍辱山バス停。さて、円成寺はどこだろう?
――この小さな門の先だろうか。とりあえず入ってみる。遊歩道になっていて左には見事な池。ここが円成寺だ。国宝や重要文化財を有する古寺。PM1:41。
拝観料を払って境内へと入る。思ったよりこじんまりとした境内に建物が幾つか並ぶ。国宝という春日堂・白山堂も見たけれど、はっきり言って自分の目には他の神社にあるそれとの違いは分からなかった。
やっぱり一番惹かれたのは庭園。陽射しが下りてこないものかと逡巡したけれど、まあ無理だった。しばらく庭園のコイやマガモを見ながらボーっとしていた。なにせこの後の歩きは長丁場。足の疲労も溜まっている。
境内にの参拝者の姿はチラホラ。このお寺の新緑の時期は、もう少し先か。
PM2:02に出発。結局、円成寺は20分ほどの長い滞在となった。
再び国道。進む先は―—左手に国道から逸れていく石畳の道のようだ。観光案内図とともに道標が立っている。
その脇道に入る。石仏を見て砂利道となり、すぐに赤土の道へと変わる。道幅が広いのは流石だ。ここからが本コース最長の山道区間。円成寺でゆっくりし過ぎたこともあって、足早に歩を進める。
アップダウンは緩やかであったけれど、そのうち登り貴重になった。とはいえ大したことはない。普段は山歩きをメインに行なっているので、このぐらいの勾配は無きに等しい。
――ただ、林間の道では景色が変わり映えしない。山歩きだと高度を上げれば展望が開けるけど、自然歩道ではそうもいかない。なので、ひたすら歩いていくだけになりがち。一瞬、陽射しが落ちて道に光の斑点が出来たけれど、それもすぐに消え去った。
道は下り基調に変わったけれど、相変わらずヒノキなどの深い林が続く、この区間は手早くクリアするのみ。
車道に突き当たった。道標に従って左折。ただし、林間の道は終わりが見えない。水道施設があったけれど、それぐらい。と、標識でこの道が県道であることを知る。林道かと思ったのに……。
ようやく林を抜けた。目に入るのは田園に茶畑。突き当たって右折。
棚田を見ながら坂道を緩やかに上がっていく。やがて上誓多林の集落に入ったものの直ぐに抜け、ふたたび林の道となる。
その先にあったのが峠の茶屋。これは、また雰囲気のある佇まいだ。きっと奈良から柳生街道を上がってきた人たちは、ここで一息つくのだろう。その先が石切峠で高度は470mほど。本コース最高地点。PM3:14。
さて、片峠の石切峠。ここからコースは複線化している。三方向道標にどちらがメインロードか示されていればと思ったのだけど、そういうのもない。さて、どちらに下るか。
直進を選択。地獄谷石窟仏はまた次の機会に。
引き続き車道歩き。ゆるゆると下っていく。と、三叉路に出た。左は有料のドライブウェイなので道標に従って右折。
すぐに三方向道標があって、また少し悩む。でも流石に、と左折して石畳の下り坂を下っていく。周囲は林でなく森。春日山原生林の領域に入ったかも知れない。
――またもや三方向道標が現れた。三方向だとホント悩む。もうフィーリングで選ぶしかない、と、とりあえず新池と示された方角へ。
すぐに新池到着。さて首切地蔵の前に春日山石窟仏は……。
――ずっと上の方らしい。下り過ぎてしまったようだ。仕方が無い、と苔生した階段を息を切らせながら上り返し、5分ほどで春日山石窟仏に到着。
――それは小屋の中に保管され、網越しにしか見れなかった。確かに摩耗激しく欠損も目立つ。神仏に篤くない自分でも、その経て来た年月は感じ取れる。
というわけで、同じ階段を下って新池まで駆け足で引き戻る。池を巡って、その先、首切地蔵の立つ広場。PM3:51。
ここから滝坂の道か。午後もだいぶ深い時間帯だけれど、散策している人の姿もチラホラ見掛ける。いよいよ奈良が近くなったということだろう。
そして、眼前に石仏が次々と現れた。
それにしても今日は本当に石窟仏のオンパレードだった。石に掘られたものは長く残るのだなあ、と。奈良というと寺社と古墳というイメージがあるけど、それだけじゃない。
沢沿いの石畳の道を高度差にして250mほど下ってきて、勾配もほとんどなくなった。そして遂に鬱蒼とした森が尽きて空が広がった。奈良盆地だ。5分ほど進むと百毫寺・破石バス停分岐。PM4:29。
――ここが柳生街道と山辺道の交叉点。昨年末に来た時には見付けられなかった。今度こそ、と左折。山辺道に入る。もっとも、この東海自然歩道のルートと一般の山辺道はこのあたりでは合致していないようなのが厄介なところ。今日は前回、コースに入った地点まで進むつもり。
山沿いの車道を南へと進む。民家も建つけど、まだ緑も多い。軽い上り坂に掛かって道標を捉え、右折。進んでいくと公園の遊歩道が現れた。東山緑地だ。散策する人の姿も見かけるけれど、奈良公園に比べればずっと静かだ。
さて東海自然歩道は――最下部まで進んで左折していく道標を発見。この緑地帯をなぞるように進むようだけれど、その前にここで少し休もう。サクラが見頃でもあることだし。
10分ほどの滞留で出発。さて、今日最後の区間。緑地を抜けて住宅地に沿った細い道に進む。すぐに車道に出て、そして少しズレた十字路に出る。左方の奥、百毫寺の階段が見える。
――そちらへ。
参道の階段を上がる。この階段を上がるのは2回目。背後に奈良市街への見晴らしが開けていく。残念ながら生駒山地に沈む夕日は無いけれど。
PM4:51、百豪寺に到着。ギリギリまだ拝観時間のようだ。前回は朝早すぎて開いていなった。
――でも踵を返す。まだ、もうちょっと歩かなきゃいけない。宿題が残っている。
階段を下り、先ほどの「少しズレた十字路」に戻る。相変わらず道標が無い。昨年はここからコースが分からず、盆地に下って 歴史の道を歩いた。
今日はこのまま南へ進む。すぐに道は山側へ折れ、棚田を見ながら上っていくようになる。こちらしかない、と当たりを付けて来たのだけど合っているかは分からない……。
山に入り込み過ぎじゃ……と不安に感じたところで道標発見。
鋭角に右折。これで針路が南へと戻った。よし、これでコースがハッキリした。
右に奈良盆地への展望が開ける。白く霞んでいて見通しは良くないけれど。京都府の笠置の地から奈良まで到達したことを実感する。
そして前回の歩きでコースへと合流した鹿柵の前に到着。道を繋げて今日の旅を終える。PM5:07。
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先のコースへ進む→ |
コース歩き続行。右に溜池を見て、行き当って東海自然歩道の次の道標を見たところで――そのまま道なりに下り始める。コース離脱だ。
県道80号に出て右折。ここの尾上町バス停からバスに乗って帰っても良いのだけど、そんな勿体ないことはしない。右に逸れていく道――山の辺の道に入る。
先ほど見下ろしていた棚田を今度は見上げながら進む。百毫寺分岐を通過。
宅春日神社、西勝寺、そして新薬師寺――昨年歩いた道筋を思い出しながら逆の順序で辿っていく。まだ記憶に新しいのだけど、なぜか早くも懐かしい。
そして春日大社の巨大な敷地に突き当たった。時間は?……まだ大丈夫か。それじゃ、と右折して山側へと向かう。柳生街道コースとの接続を確認しておくために。
通行止め標示に行き当ったところに東海自然歩道の案内。少し右に進んでまた東進せよとのこと。昨年、ここまで来ていれば……。でも、東海自然歩道の山辺支線コースが「山の辺の道」と同じルートと思っていたのだから仕方が無い。
いちおう百毫寺・破石バス停分岐まで歩を進める。45分かけてぐるりと一周した形。スッキリした後、引き返す。それにしても先ほどからやたらとシカの群れを目にする……。
春日大社の奥の院道に入る。既に日が暮れた後なので、鬱蒼とした林が輪を掛けて暗い。そんな中、シカの気配があちこちにあるのが少々怖い。そして見えてきたのが――春日造りの紅色の建物。春日大社だ。
閉まっているし、参拝客の姿も無い。当たり前か。あとは予定通り、広い春日大社表参道を辿って駅に向かうのみ。
――と、言っても観光資源てんこ盛りのこの地で真っすぐ駅に向かえるわけもなく。夕闇が次第に濃くなっていく中、平野茶屋の桜を見て遂に路を逸れる。
この奈良公園は日本さくら名所100選の地。桜の時期にサクラを見ない手は無い。もっとも敷地が広すぎてライトアップなど出来ないだろうけど、鷺池の浮見堂ならもしや、と。
そんなわけで浮見堂。ライトアップされていたけれど、桜の木はそう多くなかった。
奈良公園の最西部、興福寺に到達。こちらもライトアップされていた。観光客はもういない時間帯。ひっそりと静まり返っている。
大宮通りに出た。車が行き交い、もう普通に町中の光景だ。京都府南端の笠置から奈良までの歴史を手繰る道、どうやら歩き切った。
PM7:05、近鉄奈良駅に到着。