- いにしえの柳生街道を辿るみち -
【公式案内】 | 奈良県 > 自然公園の概要 > 奈良県の長距離自然歩道 |
【コ ー ス】 | 新薬師寺~穴仏~峠の茶屋~円成寺~夜支布山口神社~南明寺~家老屋敷跡 |
【距離高度】 | 14.6km、130m~480m~260m~360m~250m |
柳生街道は奈良で山辺の道に次ぐ人気コースと聞きます。春日山原生林の自然、各種史跡、そして里の風景と心和む歩き旅が出来ることが理由でしょう。
――奈良の春日大社から本コースにそのまま入ることが出来る、というロケーションの良さも相当あると思いますが。
奈良側の最寄りバス停は破石町バス停ですが、2kmほど距離を足して近鉄奈良駅から歩く人も多そうです。どちらにしても春日大社の南端に沿って東に進み、春日山遊歩道手前で僅かに右手に回り込み、あとは真っすぐ柳生街道・滝坂の道に入っていけます。
そして終点の柳生バス停からは近鉄奈良駅行きバスが出ますので、これで奈良に戻るのが定番でしょう。1日6本ほどですので要時刻表確認。時間・体力に余裕があれば笠置コースを辿り、2時間ほどかけてJR笠置駅まで歩くことも可能。
新薬師寺
は本堂、本尊始め国宝も多く所有する華厳宗のお寺です。奈良側のコース起点に指定されていますが、じつは東海自然歩道のコースからは若干外れています。加えて拝観時間が9時~17時ですので、このコースの場合、歩く前ないし歩き終えた後に拝観するのは時間的に少々厳しいかも知れません。
春日大社
は、言うまでもなく全国の春日神社の総本山。もちろん、世界遺産「古都奈良の文化財」の1つとしても有名で、保有する国宝・重文は数知れず。
東海自然歩道はこの春日大社の広大な敷地を掠めて通っているので、是が非でも立ち寄っておきたいところです。特別参拝は9時~16時ですがイベント日には夜間参拝が出来ることもあります。そうでなくても、南門までならいつでもいけます。
滝坂の道
は国の特別天然記念物・春日山原始林に沿った遊歩道ですので人気が無いわけがありません。1200年もの間、大事に護られてきた原生の森を市街地の傍に持つ奈良市民が羨ましくなるほどです。深く豊かな森だけでなく、道の途上には寝仏、夕日観音、朝日観音と次々と磨崖仏が現れ、綿々と続く歴史を感じさせてくれます。滝坂の道と春日山遊歩道を繋げて周回コースにするのも良さそうです……が。
東海自然歩道は首切地蔵から、さらに先へと突き抜けます。新池から上がっていく途中、春日山石窟仏に立ち寄るのをお忘れなく。その先で高円寺ドライブウェイに上がります。車道を伝って直ぐ現れる三叉路で左折、ゆるゆると上がっていきます。
そして高度480mの石切峠。ここまでの高度差は350mですから、ちょっとした低山ハイク分の体力を消費します。ここに立つ三方向道標に従って0.5km下れば地獄谷石窟仏ですが、だいぶ下るので立ち寄るかは体力と相談でしょう。
石切峠の先には峠茶屋が出迎えてくれます。その先には誓多林公衆トイレもあります。惜しむらくは、ここまで奈良盆地側の展望を得られる場所がないことです。
忍辱山
(にんにくせん)は、本当に難読地名だなと思います。実際、忍辱山は山の上の隠れ里のような小さな集落ですが、ここには庭園で有名な円成寺があります。平安時代後期に作られたというこの庭園で遠く平安の時代に思いを馳せるのも良いでしょう。いつか紅葉の時期に再訪したいと思っています。
なお、庭園より先、境内に入るには拝観料が必要です。春日大社から歩いてきたのなら、この春日奥の院とも呼ばれるこの寺を参らない手はないでしょう。
大柳生
は柳生から西に峠を越えた地にあり、柳生よりずっと広い盆地になっています。そのため落ち着いた空気があり、のどかな山里光景そのものを目に出来ます。観光客も訪れず、時折、この柳生街道を行き交う人たちを見掛けるぐらいです。
なお、東海自然歩道は集落には入らず東側の山裾の道を手繰っています。集落の中は道が細かく、迷いそうになりますが、基本的に道なりに行けば大丈夫です。
南明寺からおふじの井戸を過ぎれば、あとは最後の峠に向かって一直線です。
柳生
は剣豪の里である――というのが柳生陣屋跡解説板の書き出し。たとえば柳生十兵衛という名は誰もが聞いたことがあるでしょう。実在した柳生三厳(通称、十兵衛)は隻眼では無かったようですが、新陰流の剣豪であったのは確かのようです。
柳生家は江戸時代に将軍家の剣術指南役を務めた一族で、その柳生藩の藩庁があったのが柳生の地。今でこそ他の山里と変わらず静かで穏やかな集落ですが、柳生家にまつわる史跡が幾つも残っており、"柳生"の響きにロマンを感じる観光客も大勢訪れています。ごく狭く細長い盆地ですので、一回りするのに時間がそう掛からないお手軽さも魅力。
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