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京都北山Ⅱ

- 秋が彩る"京”の山辺 -

 

【踏 行 日】2007年12月上旬

【撮影機材】OLYMPUS E-410, ZD14-54F2.8-3.5, ZD50-200F2.8-3.5, CASIO EX-P505

…(阪急電鉄)=桂駅=(阪急電鉄)=松尾駅
【アプローチ】駅からコースまでは徒歩0分。
松尾~嵐山公園~鳥居本~六丁峠~落合~清滝~高雄
★★★ 嵐山と高雄は桜・紅葉の名所、清滝川沿いの道は東海自然歩道屈指の渓流歩きコース
高雄~中川~菩提の滝~鷹峯~柊野~大岩~夜泣峠~鞍馬
★★☆ 新道開通まで中川までの国道歩きは危険。菩提道は静か。鷹峯~大岩が繋ぎの郊外住宅地歩き
鞍馬~薬王坂~静原~江文峠~野村分かれ~大原
★★★ 2つの低い峠を越えて、京都北山南面の里3つを繋ぐ。車道歩きは最小限で、地味だが落ち着いて歩ける
大原-(京都バス)-国際会館前駅=(京都市営地下鉄)=京都駅…
【帰路】大原からのバスは、ハイシーズンであれば臨時含め多発。ただ京都駅行きは渋滞に遭う可能性大

…(阪急電鉄)=桂駅=(阪急電鉄)=松尾駅

阪急富田駅
未明の阪急富田駅

JR京都線・摂津富田駅から南口に下りて、大通りを真っ直ぐ5分も歩けば阪急富田駅。

ホームに上がる。日曜の朝6時前とあって電車待ちは数人。ところがホームに滑り込んできた各停列車は思いの外混んでいて、空席もポツポツとしかなかった。みな早起き京都観光組、とはとても思えない。

――2007年の冬、12月の頭。ちなみに今年の紅葉は10日遅れという。つまり、今が京都は紅葉の見頃というわけだ。たとえそうであっても京都観光客は12月に入ったとたんガタ減りするという話、今日はかなり美味いところを突けると思っている。好天も約束されているし、言うこと無しだ。

用事が入らなくて、ほんと良かった。

阪急電車
桂-嵐山を走る阪急電車
桂駅
夜明け前の桂駅。空が白んできた

富田駅から23分ほどで桂駅に到着。乗り換える。とたんに乗客はガタ減りして、車両あたり数人といった按配になる。まあ、そうだろう。

桂駅からは阪急嵐山線に乗り換え。空はまだ群青色……ここで、ちょっと考え込んでしまう。これだと嵐山に着くのは夜明け前だ。少し早すぎる。

頭を巡らし、急遽、1駅手前の松尾駅で下りることにする。時間調整策。

空がだんだんと白んできた。

阪急松尾駅
阪急松尾駅。嵐山線の終点・嵐山の1駅手前

桂駅を発って僅か5分、電車は松尾駅のホームに滑り込む。

駅の外へ出る。ここは東海自然歩道のコース上。目の前の大鳥居から、駅前の踏切を超えて桂川沿いに北上していくのが東海自然歩道本線だ。そちらは既に2度歩いている。

――今日は別のルートで嵐山に向かう。じつは、松尾~嵐山間は東海自然歩道の複線区間。片方のルートをまだ歩いたことが無い。公式の東海自然歩道コース案内マップを片手に、もう一方のルートを探ることにした。

そして、今回は鞍馬の先を目指す予定。前回は京都観光の1コースを歩くという意識だったのだけど、今回は「東海自然歩道36区間の1つの踏破」という位置付けだ。アップダウンは大したこと無いけれど距離は長い。日の短い季節、ある意味タイムトライアル。

 

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松尾~嵐山~鳥居本~六丁峠~落合~清滝~高雄

松尾駅前踏切
松尾駅前の踏切。その向こうは松尾大橋。その手前で左折するのが東海自然歩道本線
大鳥居
未明の松尾大社の大鳥居
赤鳥居
松尾大社の赤鳥居
松尾の住宅地
気配のない松尾の住宅地

晩秋の京都は松尾、AM6:25出発。

複線区間とは言え、支線ルートに指導標は立っていない。手元の公式マップに赤線の記載があるのみだ。もっとも、そのマップは桂坂新コースの記載が無い時代のもの。この支線は廃止された可能性も無いことはない。

そんなことを思いながら府道29号を北進、見当を付けて左折し、松尾の住宅街に入り込む。突き当たってまた左折。そこに……

松尾大社境内
松尾大社境内。ヤマブキではなく黄葉
朝靄の比叡山
比叡山(848m)。「都の富士」の異名を持つ
飛行機雲
洛西の住宅街と飛行機雲
法輪寺表参道
虚空蔵・法輪寺表参道

ぬっと現れたのが松尾大社の赤鳥居。3度目になるけれど、うち2度が人のいない時間帯という……。

最近は京都の寺の多くが拝観料を取るようになった。早朝訪問者には辛い仕打ちだ。がっちり門が閉ざされ門前払い。その点、神社はよい。未明の境内には厳かな雰囲気があるのだから、その時間帯を隠しておくことは無い。

……なんてことを思いながら、境内を軽く巡ったぐらいで松尾大社を後にする。今日はじつはあまり時間が無い。

山際を縫うように北に伸びる車道。両脇は住宅街。そこを淡々と歩いていく。川べりコースと違って開放感は無い。ただ、左手の高台にいくつか寺社が貼り付いている。そちらに上ると京都市街が窮屈に眺められたりも。

やがて府道29号と合流。


 


法輪寺裏参道
法輪寺裏参道。光が当たっている
今日の朝陽
京都盆地に今日の朝日が昇る

左に法輪寺。様子見に少し入り込むと立派な山門が建っている。

……ひょいと潜ってみる。紅葉に半ば覆い隠されながら上方へ伸びていく立派な石段。これでは後に退けない、と、そちらへ。

階段を上っていく途中、ふと気付いて右の駐車場に面した細い通路に入り込む。奥に光が当たっているのが見えたからだ。

そこで目にしたものは、京都市街への大きな展望と今日最初の太陽。

法輪寺より京都市街
法輪寺裏参道より東の眺望。京都御所・二条付近の市街と大文字山(466m)
法輪寺の塔
多宝塔。境内は深閑としている
法輪寺本堂
法輪寺本堂は嵐山を背負っている

階段に戻る。上り詰めると法輪寺の小狭い境内に到着。本堂と塔がきれいに収まっている。その向こうは錦の山。

誰もいない。当たり前か。反対側に京都盆地をぐるりと指で辿れてしまう眺望が広がっていた。ただ、手前にある駐車場がやや邪魔。

東海自然歩道があの山を巡っていると思うと少し懐かしさを覚えた。まだ歩いてからそう日が経っているわけでもないのに。

京都北山の山並
法輪寺舞台からの京都北山への眺望。どれも高度500mほどの低山となる。東海自然歩道はこの山々の裏を抜けている

 


表参道を下りる
法輪寺の表参道を下りる。モミジのトンネル
渡月橋
府道29号を北上。前方、渡月橋が見えてきた

後ろ髪を引かれながら階段を下り、車道に戻る。すぐに渡月小橋。その先に見えているのが渡月橋だ。

その渡月橋の手前で右手からやってくる東海自然歩道本コースと合流。早朝だけれど、中ノ島の広場には人もパラパラと見える。地元の人たちが朝の散歩をしているのだろうか。

朝陽が射し込んで来た。

満艦飾の嵐山
渡月橋から錦秋の嵐山(382m)を見る
渡月橋から愛宕山
渡月橋から嵯峨野方面。雲の上に浮かぶのは愛宕山(924m)
渡月橋
渡月橋を見返す。奥に法輪寺の多宝塔も見えている

――渡る。

渡月橋を渡る。人出はごく少なく、何人かは好きなところで立ち止まって写真を撮ったりなどしている。これが昼間だとそうはいかない。

これまで長々と東海自然歩道を歩いて来て感じるのは、東京側から歩いている人にとっては、この渡月橋は1つの終着点なんじゃないかということ。

――確かに、自然を愛する歩道のクライマックスで見る光景が人の波、というのもとんでもない逆説だけど、それはそれ、自然と道の調和するところには人が自然に集まるのだ、と言い換えれば無理は無い。

嵯峨嵐山の道。それを、薄く薄く引き延ばしたものが東海自然歩道。そんな捉え方も出来そうな気がする。


 


朝陽が昇る
振り返ると渡月橋に朝陽が昇る
府道112号
府道112号。道がくねっていると何故かほっとする

渡り切って左折、大堰川沿いを歩いていく。朝陽を背に受けながら。

――前を向けば赤みの強い順光、振り向けば強烈な逆光。

三脚を立てたカメラマンたちも繰り出している。

鳥たち
大堰川の鳥たち。チキン・レースの真っ最中?
お品書き
お品書き
舟

早くも後悔。秋の盛り。朝陽の逆光。嵯峨野嵐山。……超強力な三点セット。

この地を一瞬で通過しなければならない、この身の不運を呪う。誰だ、こんなせせこましい計画を立てたのは!


 


石段のもみじ
亀山公園へ上る石段
亀山公園
いと離れ難き亀山公園
公園の紅葉
紅葉はやや盛りを過ぎている

嵐山公園・亀山地区への石段を上る。

公園に入ると、雰囲気のあまりの素晴らしさにコースを外れ小さく巡回。まったく、どこもかしこも絵になっていやがる……。

そんなわけで、思い思いの場所で三脚を構え撮影に集中しているカメラマンが見られる。――あなたたちは勝ち組だ。この時間帯の嵐山の空気感を、余すところ無く汲み取っていってほしい。

順光の紅葉
順光
逆光
逆光
落合3.8kmの道標
逆光の中……亀山公園から出る
小倉池
小倉池。対岸には御髪神社が建つ
トロッコ嵐山駅
嵯峨野観光線・トロッコ嵐山駅
嵐山竹林の小径
竹林の小径。横目に通り過ぎる

竹林の道へ。光が射し込まず、暗い。

鉄道線を跨ぎ、まだ開門前のトロッコ嵐山駅を後にすると、再び朝日の当たる明るい世界に復帰する。朝の散歩をする人の姿も目立ってきた。もしかしたら、泊まりの観光客も繰り出して来たかも知れない。

残念に感じるのは、この車一台通るのがやっとの道に車が入り込んでくること。その度に現実に連れ戻される……。


 


モミジのトンネル
モミジのトンネル再び
落柿舎
落柿舎。まさに柿が落ちそう……
柿

常寂光寺の入り口。拝観料を取る寺社で、この時間ではまだ閉まっているので通り過ぎるしかない。右折。

すぐに左折、針路を北へ戻す。畑の向こうには、落柿舎の藁葺き屋根が見えている。柿の木に実がたわわ。

細く薄暗い路地を抜けると自販機の並ぶ三叉路に突き当たる。その少し手前には立派な二尊院の総門。ただ、こちらも固く閉ざされている。門が空くまでまだ1時間以上。

愛宕山を示す石碑に従って左折、府道50号に入る。

――人の姿がふたたび減り始めた。あたりは茶屋や土産物屋・民家の立ち並ぶ落ち着いた路地に変わっている。雑然さが無く、統一された町並みが気持ちいい。

ただ、電信柱と電線は別。全部地面に埋め込んでしまえば良いのに。

もみじ
自分の持つイメージにいちばん近い「もみじ」を見付けた

 


扇子
モノの陳列にも雰囲気がある
嵯峨野の道
奥嵯峨の道を往く
もみじの葉
紅葉も旬。川から離れたせい?
石畳
あだし野の石畳の道。軽い上り勾配
コケ
仙翁庵の藁葺き屋根。藁よりコケばかり…
鳥居本へ
嵯峨鳥居本は伝建地区指定

あだし野念仏寺の前を過ぎると、なんとなく寂しくなってくる。嵐山高雄パークウェイの高架をくぐると、もう先は僅か。

そしてAM8:29、鳥居本に到着。ここの紅葉も素晴らしい。

で、時間を確認――なんということ! 松尾からここまで2時間もかけてしまった。この先は本来のペースに戻すことが出来る筈だけど、それでもいきなり計画比1時間の借金とは。遅れは松尾~嵐山を付けた分が30分、嵐山で逡巡していた分が30分か。

もちろん、遅れによって得たものも多い。代償として鞍馬以降での日没との闘い濃厚だけれど、どうせ勝手知ったる道だ。帰りの交通機関だって問題ない。静岡の山の中とは違うのだから……。

そう自分に言い聞かせるも、どうしても気は急いてしまう。

苔屋根
つたや。茅葺屋根のコケがオシャレか
鳥居下のイヌ
鳥居の下で哲学的思索(?)に耽る犬

そんなわけで、ここまでで京の雅な区間は終了。この先は地味な道。

左折して峠に上る林間の道――府道50号に入っていく。

――見えるものは林の木ばかりに。それと「この先 落石注意」の標示。


 


保津峡の橋
保津峡を渡るトロッコ列車の橋梁
六丁峠
六丁峠。頭上に嵐山高雄パークウェイ
峠へ上る
府道50号。うねりながら峠へ向かう

途中から、けっこうな急坂に変わる。ただ、その分高度を得て日が射し込んできたりも。

ヘアピンカーブをクリアし、さらに上る。遅れ進行なのでペースは緩めない。体力もまだ十分。

――六丁峠が見えてきた。なんと、峠の向こうが真っ白……

峠下り
峠から下っていく
清滝川河岸へ下る
ちょっと見逃しやすい下降点。注意!

峠の先はガスだった。視界は50mほどだろうか。

峠を越えると、大きくカーブしながら車道が下っていく。やがてガスの下に出た。やっぱり雲でなく朝靄だったか。この先天気が崩れるのかと思ってヒヤヒヤした。

下り切ると清滝川に架かる落合橋。その先には短いトンネルが覗いている。突き進めば保津峡だ。

沈下橋
清滝川の左岸から右岸へ渡る
金鈴峡を往く
金鈴峡。カジカ蛙の鳴き声が鈴の音に聞こえたから…

ところが東海自然歩道は落合橋を渡らない。少し引き返し、案内板の裏手から急下降。

川岸に下りると沈下橋で右岸に渡る。以降、清滝川の川面を間近に眺めながら進む道。ごく軽いアップダウンはあるものの、ほとんど無視できる。むしろ雨後の濡れた岩などでのスリップが怖い。

――日が射さず、結構地味な歩きに。色付いた木々も思ったほど見られない。川の流れも穏やかで、以前ほどダイナミックさが感じられない。

他に歩いている人は数組。普段着、ないしは軽ハイク装備。高雄側からも結構下ってくる。


 


金鈴峡
この時間、朝陽は川面まで届かない
金鈴峡の紅葉
見上げると朝日は山の木々を照らし出していた
渡猿橋
歩道橋から上流方向。紅葉に埋もれるように渡猿橋が見える
左岸へ
ゲンジボタル生息地の解説板が立つ

木々が濃くなり川面が見えなくなる。道が一気に暗くなった。

再び前方が開けると上空のガスが薄くなっているのに気付いた。このまま晴れてくれるだろう。ただ、まだ周囲の木々の彩りに、まだ光の恵みは無い。

歩道橋を渡って左岸に。すぐに渡猿橋。渡ると清滝。AM9:11。

清滝の集落
渡猿橋の向こうは清滝の集落
愛宕山登山口
愛宕神社二の鳥居。愛宕山登山口でもある

ようやく上空に朝日が現れ、周囲が俄然明るくなってきた。山里に朝がやって来たという感じだ。

家並みを抜けると、前方に愛宕神社の鳥居。愛宕神社の二の鳥居、と言っても神社があるのは高度差800mの山の上。鳥居に吸い込まれていくハイカーたちは愛宕山神社を目指すのだろう。

ハイカーばかりか、観光客もたむろし始めていた。橋の向こうの駐車場から流れてくるようだ。


 


秋の落し物
山間の集落では、さすがにもう秋も終盤
清滝川の水面
清滝川の水面には、まだ秋の装いが残る
案内板
嵐山、落合に続いて3つ目のコース案内板
清滝の林道
清滝の集落を過ぎてしばし林道を歩く
清滝川対岸
一瞬、谷側の樹林が切れて清滝川の対岸が見えた

橋の手前で左に曲がり、清滝川右岸に伸びる細い車道に入る。途中、森遊館の前にはバイクが多く停まっていた。ライダーの聖地なのかも知れない。

さらに北へ。見晴らしはほとんど無いけれど、自然林なので鼻歌交じりで――と言っても本当に歌っているわけではないけれど――気持ち良く歩ける。

ところが道がカーブを切り、山の陰に入ると道いっぱいに広がるハイカーの一群が現れた。

――京都の区間を歩く以上、避けては通れないのが人の壁。とはいえ、藪や蜘蛛の巣に通せんぼされるよりかはマシだ。無理に追い抜かず、ペースを落として付いていくことに。

自分も丸くなったものだ。

迂回路
迂回路。急下降
錦雲渓への降り口
錦雲渓の降り口。京都一周トレイルの案内も

次のカーブの突端が清滝川への下降点。脇に道標もゴチャゴチャと立っている。その山道へ……と、いきなり通行止め!

よく見ると「路面崩壊のためこちらの迂回路をご利用願います。→」の標示があった。矢印に従って進むと階段状の急下降が始まった。急造の道らしく、ジグザグに下りていく。

やがて本来の道に合流。川を左に見下ろしつつ、流れと同方向に進む。


 


川面
川面に映るは紅葉の山
錦雲渓
清滝川の本流・錦雲渓。右岸歩道を上流方向へ
錦雲渓を往く
清滝川支流を下流方向へ

桟橋で沢を越えると空間が少し開けた。清滝川本流――錦雲渓だ。その右岸歩道を上流方向に歩いていく。ただ、どうもこの時期、金鈴峡・錦雲渓の南北に伸びた峡谷には昼時しか日光が注いでこないよう。時折、沢筋に黄葉も見られるけど光は当たっていない。

かたや、上流方向に相対する山は陽光を存分に浴びている。しかも山肌は紅葉で満艦飾だ。その艶やかな色が川面に滲む。――少しだけ、それっぽいかも知れない。

広場
川岸の小広場。ベンチの並ぶ絶好のお弁当ポイント
あずま屋の屋根
あずま屋の屋根

広場に到着。広まった川岸でしか無いけれど、あずま屋やベンチが設置されているので広場。

それに、ここでは日光が地面まで届いている。紅葉は散り始めであるものの、代わりに落ち葉が絨毯となり見事。滞留したくなる場所だ。実際、ザックを背にたむろっているハイカー数人に家族連れが1組。

振り払って先に進む。現れたのは川に架かる沈下橋。その橋の上で錦の雲がたなびくのを見る……

「錦の雲」
色付く木々が川面を染めるのを"錦の雲"に喩えたとか
山の錦
見上げると、色とりどりの「雲」

などと無理やり思ってみても、その滲みがニシキの雲には見えてこない。その類の想像力が自分には希薄なのだろう。

河岸が左岸に変わると、初めて北山杉が両脇に立ち並んだ。随分と整然としている。

北山杉は京都府の「府の木」であることは知っている。北山にやってきたんだ、ということを実感。


 


錦の山
錦雲渓の面目躍如たる……錦の山
北山杉の道
北山杉が立ち並ぶ――
杉の幼木?
杉の幼木?
岩壁
清滝川の右岸に聳える岩壁
高雄へ渡る
右岸に戻ると、いよいよ三尾地区
清滝川の堰
清滝川の堰。小ぶりのダムのよう

方角が一時的に東に変わり、背後は朝の光を正面から浴びる紅葉の山となった。ただ、すぐに針路が北へと直って、冴え無い道に逆戻り。道幅は車が通れるくらい広くなったけれど、川もなかなか見えなくなり、なんというか、平凡な道に。

車止めがあって、そこに本日4つ目のコース案内板が立っていた。さらに水溜りのある砂利道。右岸へと戻る橋が現れ、渡る。

右岸を北上していく。……と、一面オレンジ色の世界となった。そう、ここは春に歩いた時、モミジの新緑であふれていた場所だった。今はカメラマン達が三脚を構えている。

駐車場を抜け、舗装道に出た。そのまま道なりに進む。もみぢ家別館の入口を見送り、高雄観光ホテルの前も抜けていく。

神護寺の茶屋
高雄観光ホテルの前。モミジは散り始め
嵐山高雄パークウェイ
もみぢ家別館の入口。もみじに囲まれる

一気に観光客地らしい人出になってきた。道脇には「湯どうふ」ののぼりも立っていて、まさに観光地然とした雰囲気。

そして高雄山・神護寺の参道入り口に到着。すぐ先には高雄橋があり、出店も出ている。静かであるけれど賑やかという……。AM9:58。

ちょっと気合入れ。そして、神護寺の階段をわっせ、わっせと上り始める。


 


高雄観光ホテル
神護寺参道入り口と、高雄観光ホテル喫茶室
高雄茶屋
参道の途中にある高雄茶屋
茶屋の風景
紅葉を見ながら茶屋で茶をすする、みたいな光景

参道途中の踊り場、高雄茶屋が紅葉の下にあるのが似合いすぎ。茶屋はかくあるべき、と言いたくなるくらい。

さらに階段を上る。息が切れてきた。左側にもうひとつ、高雄茶屋の建屋が現れる。「釜あげうどん¥500」

さらに上る。硯石のある踊り場。反対側には食事処・硯石亭。

残り、一直線になった石階段のみに。ところが仁王門が見えてきたところで立ち止まり、ぜいぜいと息を吐く。――この先は拝観料を払わないと入れないのは分かっている。門から中を覗いてしまったが最期、正直、振り切る自信が無い。

見下ろすと「純和風」とも言える光景が広がっていた。湧き上がる歓声は外国人観光客か。踵を返し、参道を戻り始める。

硯石亭の庭?
硯石亭の庭?を見下ろす位置にはカメラがずらりと並んでいた。さぞ、背後が気になろう
仁王門
神護寺・仁王門を目指して昇る人々

 


もみぢ家
対岸に見える旅館・もみぢ家。国道162号も
栗ぜんざい
栗ぜんざい。この少し寒い季節には良く似あう

さっさと下ってしまおう、という思いとは裏腹に、途中、色々なものに引っかかってしまう。特に傘と赤席をずらりと並べた硯石亭は殺人的で、ふらふらと吸い込まれそうになるのを抑えるのがやっと。忍耐が試される……。

さらに下る。……なんか、人でごった返してきた。どこからか観光客がどんどん流入して来るようだ。

階段の最後は一気に下って車道に下り立った。

硯石亭
お食事処・硯石亭。もみじ餅が名物とか
硯石
硯石。紅葉とともに
みやげ
高雄茶屋店頭に並ぶもの。茶、生しいたけ、ちりめん山椒
高雄橋
高雄橋。再び清滝川の左岸へ
府道138号
府道138号を往く。清滝川沿い

結局、神護寺で15分費やしてしまった。でも今の時期、その3倍の時間が欲しい、などと思いながら高雄橋を渡る。

道脇に土産物と写真屋の出店が立ち並んだ。国道近道の分岐まで団子屋などもあり賑やかだったけれど、過ぎると人は減った。西明寺まで少し距離がある。

その西明寺に続く指月橋が見えてきた。ところが橋の向こうに人の行列。入山拝観料¥400払うための列だ。前回はそんなの無かったのに……。


 


府道138号
清滝川から離れ坂を上る
国道162号
国道162号・周山街道に出る。3種の道標
白雲橋
白雲橋。沢の池への分岐がある。気温は6℃

西明寺を諦め、先に進むと川から離れ、上り坂になった。ほどなく国道162号に合流する。左折。

てくてくと国道を歩いていく。歩行スペースも狭く、あまり人の歩くような道ではないのだけど、チラホラ観光客の姿も見られる。観光シーズンの高雄らしい。

白雲橋の前で京都一周トレイルに右に分ける。国道をさらに進むと高山寺表参道が見えてきた。

高山寺参道入口
世界遺産・高山寺の表参道
国道162号
国道162号を北へ。車の往来はけっこう多い
高雄観光駐車場
高雄観光駐車場と栂ノ尾(とがのお)バス停

今度こそはと参道を上っていく。と、またもや人の行列。参道脇にこじんまりとした小屋があって行列の先頭の人とやり取りをしている。そう、入山料¥400の授受だ。これも前回までは無かった光景。

言葉は悪いが、三尾全滅。秋の良き日、通過者には門を開かず。寂しいことだ。

東海自然歩道のコンセプトとして、各地名所・名刹歴訪というのがあったと思うのだけど、時代はなかなか厳しくなってきているのかも知れない。――まあ、余裕を持って訪れれば良いだけの話。

みかん@モー娘。
35th Single発売記念(ナンノコッチャ)
観光バス
居並ぶ大型観光バス。向こうに公衆トイレ

渋々、参道入り口まで戻る。面白みの無い国道歩きを再開。清滝川は右手に回っている。ほどなく、高雄観光駐車場に到着した。AM10:27。

車両の入りは3割ほど。大型観光バスも並んでいるけれど、12月に入って観光客も流石に目減りしている様子。

さて、ここから難関・周山街道歩きとなる。神護寺立ち寄って遅れ取り戻しに失敗しているけれど、ここからはきっとペースアップ出来る筈――。

先のコースへ進む→

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