
大峰は、どことなく独特な雰囲気を持っているような気がしています。
――火山は無く、2,000mを超える峰もありません。ただ、ただ緑の山々が無限に連なっていくというイメージ。山肌にはスギやヒノキの植樹が多いので、そう感じるのでしょうか。
世界遺産・大峰奥駈道を通す山です。


“大峰山”は定義が難しいです。たとえば、山上ヶ岳山頂には「日本百名山大峯 山上ヶ岳」という標示がありました。大峰山上一等三角点があるのもそちらです。百名山で言うところの“大峰山”は、大峰山脈の最高峰、という意味で八経ヶ岳が割り当たっているようです……と言っても、この峰にも八剣山とか仏経ヶ岳とか名前が定まりません。山頂の山名標示でもそれらが併記されているほど。
と、いう説明のややこしさを別とすれば、この山は大峰山脈、ひいては紀伊山地の最高峰、そして近畿の(関西の、でも良いのですが)最高峰となります。吉野熊野国立公園に属し、世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の構成要素である大峯奥駈道が貫きます。そんなところから人を引き寄せ、人気の山となっています。特に行者還トンネル前の駐車場から気軽に登って来るライト・ハイカーが大勢――本来は、もっと厳しい山なのですが。



正直、大峰山脈の稜線はあまり面白味のある道では無いと思っています。深い林や森ということもありますが、視覚的な変化があまりありません。また、トウヒの立ち枯れなど痛々しさも感じます。
大峰の神髄はやっぱり深い谷と沢にあると思っています……って、双門コースを一度登っただけでそう言い切るのも何ですが。修験の山であって欲しい、という思いもあるかも知れません。


大峰山から富士山を見よう!

計算上、百名山の中で最も遠方から富士山が見える山です。距離は289km。超・遠望域です。
――もちろん、見たことはありません。この山には三度登頂していますが、紀伊山地のど真ん中です。本当に見えるのか、自分でも疑わしく思ってしまいます。
秋から冬の空気の澄む季節、弥山小屋に山泊し続けて狙う、みたいなことをしないと撮ることは叶わないかも知れません。(そして私にはそんな時間はありません……)

大峰山を日帰りで歩こう!
日帰りコース | 所要時間 | (登り/下り) | 累積高度 | 登降ピッチ | |
---|---|---|---|---|---|
1. | 行者還トンネル西口駐車場~奥駈道出合~弁天の森~弥山小屋~山頂 (1,100m) |
5時間20分 | 3時間 | +902m -124m | +301m/h |
2時間20分 | -387m/h | ||||
2. | 天川川合バス停~栃尾辻~狼平~弥山小屋~山頂 (600m) |
10時間45分 | 6時間15分 | +1,591m -290m | +255m/h |
4時間30分 | -354m/h |









マイカー登山限定ですが、高度1,500m付近から歩き始められる行者還トンネル西にある駐車場からのコースが最も登り易いです。駐車場も拡充されたようですし、なによりひと登りで大峯奥駈道に合流できるので「世界遺産を歩ける」メリットがあります。もっとも、国道309号の北角~行者還トンネル~西原は災害通行止めになることがあるので、事前の道路状況確認は必須。
あとは日帰り登山には厳しいものばかりです。天川川合に登山者用駐車場が無いのもネックです。天川川合バス停から日帰りを目指すことも出来ますが、バス便が比較的豊富とは言え時間的には厳しいところ。私は片道1時間半を追加して観音峯登山口駐車場から歩きましたが。
少し利用されているようなのが熊渡から金引橋を経て稜線に取り付き、ナメリ坂に連結する点線コース。やや不明瞭ですが道はしっかり付いています。川迫ダムの上部にある駐車場(トイレ付き)から熊渡までは3km強です。長い車道歩きを厭わなければ行者還トンネルとの周回コースも採れます。
そして、上級者向けと言われる双門コース――確かに上級者向けでした。半分沢登りで、道を失うのは茶飯事、危険箇所も数多くあります。下りにはとても使えません。ただ、果てしなき垂直の梯子登りの果てに現われる双門滝は感動的。
