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(山行年'05,05,08)

大峰山おおみねやま

(1,915m)

観音峯展望台から八経ヶ岳
弥山(1,895m)と八経ヶ岳(1,915m)。右端の鋭鋒は頂仙岳(1,718m)。10月下旬、観音峯展望台より南に見る

大峰は、どことなく独特な雰囲気を持っているような気がしています。

――火山は無く、2,000mを超える峰もありません。ただ、ただ緑の山々が無限に連なっていくというイメージ。山肌にはスギやヒノキの植樹が多いので、そう感じるのでしょうか。

世界遺産・大峰奥駈道を通す山です。


細尾山から八経ヶ岳
弥山~八経ヶ岳~明星ヶ岳の稜線。10月下旬、近くの細尾山から見る
八経ヶ岳山頂
八経ヶ岳山頂。関西の最高地点。見晴らしが非常によい

“大峰山”は定義が難しいです。たとえば、山上ヶ岳山頂には「日本百名山大峯 山上ヶ岳」という標示がありました。大峰山上一等三角点があるのもそちらです。百名山で言うところの“大峰山”は、大峰山脈の最高峰、という意味で八経ヶ岳が割り当たっているようです……と言っても、この峰にも八剣山とか仏経ヶ岳とか名前が定まりません。山頂の山名標示でもそれらが併記されているほど。

と、いう説明のややこしさを別とすれば、この山は大峰山脈、ひいては紀伊山地の最高峰、そして近畿の(関西の、でも良いのですが)最高峰となります。吉野熊野国立公園に属し、世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の構成要素である大峯奥駈道が貫きます。そんなところから人を引き寄せ、人気の山となっています。特に行者還トンネル前の駐車場から気軽に登って来るライト・ハイカーが大勢――本来は、もっと厳しい山なのですが。

双門渓谷
秋の色濃い双門渓谷を見下ろす
弥山川
弥山川最上流部の渓流
双門滝
双門滝。百名瀑で目にするのが最も困難

正直、大峰山脈の稜線はあまり面白味のある道では無いと思っています。深い林や森ということもありますが、視覚的な変化があまりありません。また、トウヒの立ち枯れなど痛々しさも感じます。

大峰の神髄はやっぱり深い谷と沢にあると思っています……って、双門コースを一度登っただけでそう言い切るのも何ですが。修験の山であって欲しい、という思いもあるかも知れません。

頂仙岳
明星ヶ岳直下。立ち枯れが目立つ。円錐の峰は頂仙岳
釈迦ヶ岳より八経ヶ岳
大峰山を南方、釈迦ヶ岳より遠望。中央のピークが八経ヶ岳。4月下旬


 3泊4日山行記
 (北奥駈道縦走)≫


 2泊3日山行記
 (南奥駈道縦走)≫




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大峰山から富士山を見よう!

八経ヶ岳山頂から東北東
八経ヶ岳山頂から東北東方向の見晴らし。国見山までは見えているものの……

計算上、百名山の中で最も遠方から富士山が見える山です。距離は289km。超・遠望域です。

――もちろん、見たことはありません。この山には三度登頂していますが、紀伊山地のど真ん中です。本当に見えるのか、自分でも疑わしく思ってしまいます。

秋から冬の空気の澄む季節、弥山小屋に山泊し続けて狙う、みたいなことをしないと撮ることは叶わないかも知れません。(そして私にはそんな時間はありません……)

大峰山から東北東/100mm
八経ヶ岳から東北東方向の見晴らし。南アルプス深南部が高度を落として太平洋に達するのが一望。富士山は伊勢湾越しに見える。f=100mm相当

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大峰山を日帰りで歩こう!

日帰りコース所要時間(登り/下り)累積高度登降ピッチ
1. 行者還トンネル西口駐車場~奥駈道出合~弁天の森~弥山小屋~山頂 
(1,100m)
5時間20分3時間+902m
-124m
+301m/h
2時間20分-387m/h
2. 天川川合バス停~栃尾辻~狼平~弥山小屋~山頂 
(600m)
10時間45分6時間15分+1,591m
-290m
+255m/h
4時間30分-354m/h
天川川合バス停
天川川合バス停。天川村総合案内所の前
行者還トンネル前駐車スペース
行者還トンネル前駐車スペース。10台ほど置ける?
観音峯登山口駐車場
観音峯登山口駐車場。トイレあり
狼平避難小屋
狼平避難小屋。テントが張れる
栃尾辻避難小屋
栃尾辻避難小屋。荒廃しかけている……
吊り橋
弥山登山口近くにある吊橋。天川を渡って天川川合へ
弥山小屋
弥山山頂付近に弥山小屋が建つ。設備充実、テント場も
新緑
5月、登山道の新緑――
釜滝
双門コースの入り口では、この釜滝がお出迎え

マイカー登山限定ですが、高度1,500m付近から歩き始められる行者還トンネル西にある駐車場からのコースが最も登り易いです。駐車場も拡充されたようですし、なによりひと登りで大峯奥駈道に合流できるので「世界遺産を歩ける」メリットがあります。もっとも、国道309号の北角~行者還トンネル~西原は災害通行止めになることがあるので、事前の道路状況確認は必須。

あとは日帰り登山には厳しいものばかりです。天川川合に登山者用駐車場が無いのもネックです。天川川合バス停から日帰りを目指すことも出来ますが、バス便が比較的豊富とは言え時間的には厳しいところ。私は片道1時間半を追加して観音峯登山口駐車場から歩きましたが。

少し利用されているようなのが熊渡から金引橋を経て稜線に取り付き、ナメリ坂に連結する点線コース。やや不明瞭ですが道はしっかり付いています。川迫ダムの上部にある駐車場(トイレ付き)から熊渡までは3km強です。長い車道歩きを厭わなければ行者還トンネルとの周回コースも採れます。

そして、上級者向けと言われる双門コース――確かに上級者向けでした。半分沢登りで、道を失うのは茶飯事、危険箇所も数多くあります。下りにはとても使えません。ただ、果てしなき垂直の梯子登りの果てに現われる双門滝は感動的。

大峰山脈
大峰山脈北部。左から釈迦ヶ岳・孔雀岳・仏生獄、中央に八経ヶ岳・弥山、右に大普賢岳、山上ヶ岳。5月上旬、日出ヶ岳山頂展望台から見る

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