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(山行年'98,99,01,02,04)

富士山ふじさん

(3,776m)

西湖と富士
雪頭ヶ岳から見た大きな富士山。手前は西湖。11月上旬

 

富士山は 遠くにありて 思うもの――

 

あえて、登ってみることをオススメします。それも、できれば昼間。だんだん小さくなってゆく"下界"を見やりながら。

山を歩き慣れた人ほど、強い違和感を感じること請け合いです。

山を歩き慣れていない人は、この山に登ることによって、"自分の棲む場所" というのを明確に意識し始めることでしょう。

――体力造りを含めて、事前準備は十分に。標高3,776m、言うまでも無く、日本一の高さの山です。世界文化遺産にも登録。

吉田登山道終点
こちらは"裏"? 吉田口登山道の終点です
富士宮登山道終点
こちらは"表"。富士宮口登山道の終点です
剣ヶ峯
2001年7月上旬の剣ヶ峯。この夏のうちに富士山ドームは撤去されました(ご苦労様)
大内院
西日を受ける富士火口。まだしばし眠っていておくれ…

「お椀の淵に座って、紙飛行機を飛ばして見たいと思う

西風に乗って、揺れながら、だんだんと小さくなってゆく白い紙飛行機

――自分の住む町に向かって飛んでいく。

いったい、どこまで遠く飛んで行けるだろう?」


実際は、ゴミ問題が叫ばれている中でそんなことをしたら、“非人間的行為”と非難を浴びるに違いありません。なにしろ、富士山は1年に20万人以上登る山。

世はおしなべて相対的です……

西湖
隠され気味の西湖。背後は雪頭ヶ岳、節刀ヶ岳
本栖湖・精進湖
本栖湖と精進湖。その手前には青木ヶ原樹海が広がる
河口湖
河口湖。地面を這う市街地のカタチがリアル
山中湖
山中湖。緑の中の湖、といった趣き





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富士山を日帰りで歩こう!

日帰りコース所要時間(登り/下り)累積高度登降ピッチ
1. 富士宮口新五合目(2,380m)~六合目~新七合目~八合目~浅間大社奥宮~剣ヶ峰山頂8時間40分5時間30分+1,400m
-4m
+255m/h
剣ヶ峰山頂~浅間大社奥宮~宝永火口~六合目~富士宮口新五合目3時間10分-442m/h
2. 須走口新五合目~六合~七合~本八合~久須志神社~小内院~剣ヶ峰山頂
(1,970m)
10時間30分7時間15分+1,821m
-15m
+251m/h
3時間15分-560m/h
3. 富士スバルライン五合目~泉ヶ滝~六合~本八合~久須志神社~小内院~剣ヶ峰山頂
(2,304m)
10時間45分6時間45分+1,500m
-28m
+222m/h
4時間-375m/h
3. 御殿場口新五合目~新五合目五勺~七合目~浅間大社奥宮~剣ヶ峰山頂
(1,440m)
12時間25分8時間40分+2,340m
-4m
+270m/h
3時間45分-624m/h

H19/12/1 噴火警戒レベル1、活火山であることに留意

 ■気象庁 火山登山者向け情報 ≫
富士宮口新五合目駐車場
富士宮口新五合目駐車場。500台、規制あり
富士スバルライン五合目駐車場
富士スバルライン五合目駐車場。400台、規制あり
須走口新五合目駐車場
須走口新五合目駐車場。200台、規制あり…
赤富士
須走口五合目より見上げる。10月中旬の早朝

登るとなると、いつ、どこからが良いか。

シーズンは梅雨明け~お盆まで。東京からのアクセスの良い富士スバルライン五合目登山口、ないしはもっとも登る距離の短くてすむ富士宮五合目登山口から登るのがメジャーです。

もちろんその時期、その登山口までは酷く混雑します。五合目までのマイカー通行は禁止となり、シャトルバスに乗り換えて上がる必要があります。――結果、よく聞くような「昼に登山口に着いて登り始め、八~九合目あたりで一泊。翌朝、山頂に到達して御来光を見て下りてくる」ないし、涼しい夜にランプで道を照らしながら登り、早朝に山頂に着いて御来光、のパターンになります。富士の影に光の筋が出来るのは、夏の夜の風物詩です。

それでも日帰りをしたいんだ、という向きには、「山に登り慣れていること」「スピードがあること」「急激に高度を上げても高山病になりにくいこと」という条件をクリアした上で――

須走登山道
須走登山道を登る。途中まで緑が多い
御殿場登山道
御殿場登山道を登る。変わらぬ砂礫景色
お中道から富士
秋のお中道から仰ぐ。近くて遠い山頂
富士山登山道
八合目付近で雲を脱して青空の下へ――。河口湖口登山道

やはり、距離の短い富士宮口新五合目からのコースが一番日帰りしやすいでしょう。水ヶ塚公園からは、AM6:00からバスが出ていますし、帰りの便も夜遅くまであります。須走口は富士山の世界文化遺産登録の影響でマイカー規制が入ってしまい、以前ほど使いやすくなくなってしまいましたが、それでも、朝日を浴びながら森林地帯を上がっていくのは気持ち良いもの。富士スバルライン5合目からのコースは、距離が長いので日帰りはなかなか厳しいでしょう。御殿場口五合目はマイカー規制が無い一方、高度差があります。下山の大砂走りは魅力ですが……。

推奨は出来ませんが、マイカー規制シーズンを外すという選択もあります。ただし、梅雨前線や秋雨前線の活動で荒天になることがあり、その時期も避けると今度は凍結や降雪というリスクが大きくなります。山小屋も閉まっており、必要なものは全部、自分で担ぎ上げることも必要。秋雨前線が去って天候が安定し、初冠雪前の10月上旬が狙い目かも。(こっそり、秋の山行記掲載)

なお、冬~春の富士はエキスパートたちの領域。


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[特別企画1] 富士山から足柄を見よう!

富士山から東方
(上の写真に対応)
箱根山は昔、2,700m級の堂々たる火山であった……というのは俗説らしい

富士山頂から足柄方面を見下ろしてやると、かつて自分が富士を眺めて来た場所を1つ1つ指差してやることが出来ます。

と同時に、その時の道程や状景なども思い起こされ、まるで過去にそこにいた自分を俯瞰しているような気分になれます。

――自分にとって、大切な時間です。

[特別企画2] 遙か遠方から富士山を見よう!

水沢岳から富士
滋賀・三重県境、鈴鹿山脈は水沢岳より。距離215km
白馬鑓ヶ岳から富士
富士眺望のアルプス北限にほど近い、白馬鑓ヶ岳から。距離178km
那須朝日岳から富士
栃木・福島県境の山・那須連山は朝日岳より。距離226km
朝熊ヶ岳から富士
朝熊ヶ岳より伊良湖水道、渥美半島、そして富士山。距離204km

「あそこに見えるのは富士山じゃないか? こんなに遠くから……」

――富士の形は日本人の記憶の奥底に染み付いているからこそ、そこにある富士山を正確に判別することが出来るのでしょう。まったく、罪な山です(笑)

なお、今ではパソコン等を使った眺望シミュレーションにより、どこから富士山が眺められるか簡単に計算できてしまう時代です。どうやら、そういった遠方からの富士撮影を趣味とする人達もいるようです……私も微妙にそうかも知れません。

遠方からの富士探しの成否は、距離そのものより地勢条件と天候に大きく左右されます。なにせ、計算上は見えても、登ってみると深い森が視界を閉ざしているなんてことは茶飯事ですから。たとえ視界もよく、絶好の晴天だったとしても、富士山だけが雲に隠されているなんてことも茶飯事。正直、運試しゲームです。

だからこそハマるのかも知れません……。見事、狙い通りに富士を捕らえた時の達成感たるや!


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