- 神奈川の水源池を睥睨 -
【踏 行 日】2017年1月上旬
【撮影機材】OLYMPUS OM-D E-M1, M.ZD12-40F2.8, M.ZD40-150F2.8
JR相模湖駅へと下り立った。
ここは関東平野から奥高尾の山稜線を1枚隔てた山間部の地。1月上旬の厳冬期、さすがに寒い――と思いきや、あまり寒く無かった。空は良く晴れていて気温も高め。時間もあまり早くない。陽だまりハイクには良い塩梅。
駅のホームには大きく「石老山ハイキングコース下車駅」の標示。確かにハイカーの姿も多い……いや、プレジャーフォレストへ向かうファミリーの方が多いか。
駅の外へ出る。昔1度来たことがあるけれど、昔過ぎて全然憶えていない。停まっているバスの脇を抜け、車道を適当に歩き出す。針路は東。そう、こんな好天気の日に石老山に登るだけじゃあ勿体ない。神奈川の景勝50選「嵐山からの相模湖」も行程に追加する。
国道20号に当たり、横断してさらに東へ。
――それにしてもポカポカ陽気だよなあ、とヌクヌクと歩いていたら段差に躓いて転んだ。うーん、昔ほど身体は動かない……。
右側に相模湖の湖面が見えてきた。横浜や川崎の水源だ。その向こうの山影が石老山。ポコポコした峰が並んでいる。湖面の高度が166mだから、高低差は540mほど。どのみち、低山。
工事中の相模ダム管理所の建物を見ながら道はカーブし、坂を下っていく。その途中に小公園。ダムを見下ろせる位置にあって、相模湖についての解説した台座が並んでいる。
その脇の階段のショートカットを伝って相模湖大橋のたもとへ下りる。ダム駐車場も工事中で閉鎖されている。と、いうことは、ダムの上も渡れないということか。
――ただ、東海自然歩道が通るのは相模大橋の方。久しぶりに、この長距離自然歩道を歩くことになる。
AM9:48。相模湖大橋を渡る。
――車の往来は多く、車列はなかなか途切れない。休日で行楽へ向かう車が多いのだろう。左手には相模ダム。湖面には、青々とした水を湛えている。
橋の中ほどで相模湖大橋バス停を通過。そして渡り切って「恵まれた風土をゆっくり走ろう 津久井」の巨大文字を見ながら左折。国道から離れ、一気に静かになる。車はこちらの方に全くやってこない。左に相模湖を見ながら、嵐山の足元を回り込んでいく。
そういえば前回歩いた時は、まだ津久井郡相模湖町であった。今は相模原市緑区――ただし、マンホール蓋は未だに「さがみこ」のもの。それも、次第に相模原市のものに置き換えられていくのだろうか。
相模ダムの真横を通過。やっぱり、通行止めだ。ダムの上から相模川を見晴らしたかったのだけど、仕方無い。
相模発電所を過ぎると、前方に金平糖のようなオブジェのある小公園が見えてきた。
先のコースへ進む→ |
ここは嵐山登山口。そして、今日初めて東海自然歩道の道標を見る。「嵐山0.8km 弁天橋0.8km」とある。
――さすがに、3度目ともなるとこの場所も馴染だ。初回は17年前、生藤山から城山まで縦走した後、ここから嵐山を往復した。2度目は9年前、東海自然歩道を南から辿ってこの地に到達した。行政区は変わっても、この場所は何も変わらないように見える。
AM9:57、3度目となる嵐山登山を開始。最初はジグザグに高度を上げていく。
さすがに登山道までは憶えていなかった。息を切らしながら植樹帯を登っていく。
……と、再び地面にけつまづいて転びかけた。もう少し足を上げる高さを微調整せねば。足が上がらないのは加齢による衰えもあるだろうけど、正月に餅を食い過ぎたせいもありそうと判断。
2人連れのハイカー2組とすれ違い、挨拶を交わす。勾配が緩み、北斜面にも陽射しが入り込み始めた。と、思ったら再び急勾配。
最近の運動不足が身に染みる。気温が高いことが災いして発汗のせいで下着が蒸れる。高度差たった210mなのに。
AM10:16、嵐山山頂に到着。予想に反して、誰もいなかった。産霊宮水上神社が静かに佇んでいる。
何はともあれ、相模湖方面の展望だ。以前の2回はどうしようもない曇空であった。今回は――見事!南アルプスまでくっきりと見える。ただ、枝が多くてけっこう邪魔に……。
冬は寒いので嫌いだけれど、空気が澄むので見通しが効くという魅力には抗いがたく、こうして山に登ってしまう。本当に山歩きは四季折々なので、困りものだ。
そして、電波塔の位置からも見晴らす。こちらは西丹沢の眺望が良い。そして富士山――富士山だけが雲の中! 嵐山は石老山の後に立ち寄っても良かったのだけど、先に持ってきたのは富士山を確実に捉えるためだったのに、残念だ。さすがにこの山に4度目は無いだろうしなあ。
そして最後、城山方面への展望。
――こちらは木立が育って位置取りに苦労した。葉の落ちている冬でさえ厳しいということは、春夏では眺望は失われるだろう。木々の成長が旺盛ということでもあるので、歯がゆい限り。
結局、20分ほど山頂に滞留した後、ようやく下山を開始する。東海自然歩道を南へ伝って向かって突き進む。8年前に辿った道筋とは逆に。
嵐山を後に南へ、と言うと京都の嵐山を思い出すことになる。山頂の解説板によると、実際、京都の嵐山に倣って呼ばれるようになったということだ。となると……嵐山を見上げる相模湖大橋が渡月橋の代わり?
比較のため、紅葉シーズンにも訪れたいものだ。でもまあ、やっぱり難しいだろう。
段階的に高度を下げた後は、山道は嵐山北陵の西を巻く道となる。道はやや細いけれど、明瞭。道標も多い。
沢筋を2つばかり桟橋で越える。さすがに、その周辺はやや荒れ気味。
右手には常に相模湖の湖面がある筈だけど、樹木が濃くて見通せるようなところは無い。一方、左手はそろそろプレジャーフォレストの区画だ。時折、園内アナウンスが聞こえてくる。このプレジャーフォレストも、以前はまだ、さがみ湖ピクニックランドという名であったことを思い出す。
昼時が近づいてきて気候も快適。景色も、スギやヒノキの人工林ばかりでなく広葉樹帯や竹林なども混じって飽きが来ない。良い塩梅の陽だまりハイクなのだけど、嵐山からこちら、ハイカーの姿を見たことが無い。東海自然歩道歩きをしている人以外には、あまり歩く理由がない区間なのだろうと。
嵐山1.2km、鼠坂1.2kmという道標を通過。ふう、まだ中間地点か。と、その先でいきなり展望が開けた。相模湖の結構奥からの展望になる。そういえばこんなところあったな。
展望はすぐ閉ざされた。次の桟橋の先は道が半分崩落していて、今日初めての危険個所。その先は、ちょっとした登りとなった。
――深い森の中、国道412号を走る車の音が聞こえるようになる。近くに感じるけれど、結構下方の筈だ。
そして上方からはゴーカートの走る音が聞こえてきた。と、フェンス沿いの道となる。そして、左側の展望が開け、現れたのが――巨大な駐車場。天気の良い休日だけあって、多くの車が停まっている。
そして振り向くと山の上に観覧車。斜面には明るい陽射しが照り付けていて、遊戯施設が散在、人の姿が点々。……こっちが歩いてきたのも一応「フォレスト」なのだけど、なんか全然違うわなあ。
やがて正面と右手の見晴らしも開けた。相模湖の湖面とは既に距離を感じる。一方、石老山は近くなった。山肌の襞が確認出来るようになっている。
広々とした畑の合間の道を下りていく。最後、斜路を伝って車道に合流、そのすぐ先が鼠坂の歩道橋で、東海自然歩道のコース接続点。道標に示されるのも「顕鏡寺2.4km 嵐山2.4km」だ。
もっとも、ここにバス停は存在しない。国道412号を東に0.15km進んだ地点にプレジャーフォレストのバス停があるのでそちらを利用することになる。今日も石老山だけに登りたかったら、そのバス停を使っていた筈。なにせ、相模湖駅からバスだとたった7分。
もっとも、今日はバスを使っていたら勿体無いと感じたことだろう。富士山は石老山で雪辱だ。
ねんざか歩道橋を渡る。――ずいぶん赤錆が目立つようになった気もするけれど。8年前もこのくらいだったかも知れない。
歩道橋を下りて右折、狭い路地を進むと。すぐに県道に当たった。道標のコースを示す先は右。
――ここを左に折れる。飲み物の補給と、帰りのバスの時刻の確認だ。いつもの一直線の自然歩道歩きと違って今日はこの地点からの周回コース。それに、珍しく時間も十分過ぎるほどある。
コースを外れてから2分も歩かず、プレジャーフォレスト前バス停に到着。AM11:29。
バスの時刻を確認し、自販機で飲み物を補給した後はすることが無くなった。八幡神社の階段を上がってお参りをしておく。
さらにプレジャーフォレストの正門を見物。名前が変わったのは2008年の7月のことというけれど、自分が訪れたのはその3ヶ月前。あの、ウサギだかタヌキだか良く分からなかったイメージキャラは引退したか。昭和な感じがして良かったのに……。
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