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玉立~十八神社~山部赤人の墓~戒長寺~室生湖~室生ダム

国道165号初瀬交叉点
玉立橋東詰交差点から香酔山(783m)を北に見る
分かれ道
国道から分かれ、側道に下りる

正午前の奈良県宇陀市は玉立橋東詰交差点。コース後半はここから。

ただ、国道の交通量はそれなりに多く、脇の農道が歩けないかと田園に下りてみる。――歩けそうだけれど、先は途切れているかもなあ。

ベタに戻り、ベタに車道を歩き始める。後ろから走ってくる車は気になるけれど、仕方ない。0.25km進んで道標を捉え、国道を後に側道へ。

農道
田園の脇を縫うように進む
毛虫
車道を大挙横断中の毛虫
林

一気に静けさが復活する。正面の林の上に額井岳――3つこぶラクダのような姿が面白い。天満川を越え、田園の縁を巡るように道は伸びていく。

薄暗い林の中へ突入。しばし木陰の静けさを楽しんだ後、再び直射日光の当たる車道になる。

山麓を東西に渡る二車線車道を横断歩道で越え、再び田園地帯へと出る。……このあたりの田では、ずいぶんと穂が黄色くなっている。

二車線山麓道
二車線山麓道。横断する
イガイガ
イガイガ、という俗名しか知らない…
額井岳と跨道橋
額井岳と跨道橋

左折、また左折して、先ほどの山麓道を今度は跨いで北側に戻る。

――ここでも、毛虫が何匹も車道横断にチャレンジしていた。いったい、成虫すると何になる虫だろう?

山際の道を東へ向かってのんびりと歩いていく。……今日は日和も良く、時間の余裕があって気楽に歩けるのがなにより。遠方の東海自然歩道本線では時間に追われて気忙しく歩くことが多かったので、今日のコースは息抜きになる、っていうのも何か変だけど。


 


直進注意
ここの道標は右でなくて左が正解
再合流
二車線山麓道に再合流してしまう…
山麓の道
額井岳山麓をまっすぐ東へ向かう車道

次に現われた道標で迷う。方向的には右のやや細い道を示しているようだけれど……。

明らかに左折では無いだろう、と判断してまっすぐ進む。すぐに、先ほどから何度も横断を繰り返している山麓道に出た。……ここには道標は無い。かと言って、これ以上の南下もおかしい。

左折して山麓道をそのまま歩き出す。コースは、一本南か北かだと思うけれど、東に進んでいる限り、大きく外れることは無いはず。

ただ左右どちらにも分かれ道は現れず、距離が次第に募っていく。勾配は上りの上、日晒しなので汗が噴き出してくる。車の交通量は、ほとんど無い。歩きながら、地図を取り出して確認。

と、左に分かれ道が現われた。うまい具合に自販機もあったので、冷たい飲み物を購入。

額井集落入り口
額井集落入り口。自販機もある
額井集落
額井集落。背後は額井岳

おそらく最後に見た道標のところで左折すべきだったのだろう、と判断していたので、山の方角へ戻る道を取る。

――けっこうな上り坂が始まる。棚田地帯を上っていくと前方に小集落が見えてきた。あそこにはきっと、道標も立っている筈……。

そして集落を左右に渡る道との合流点にそれはあった。

草に埋もれる
草に埋もれる道標
天満台
十八神社から見下ろす。見えるのは天満台の住宅地に福地岳(521m)

左「大和富士 十八神社」、右「戒長寺 山部赤人の墓」と書いている。ようやくコース復帰だけれど、せめて十八神社には寄っておこう、と左折。

少し歩くと、右手に鳥居が見えた。ここだ。参道の階段を上っていき、境内へ。林に取り囲まれた空間に小さな社があった。振り向くと、南方への見晴らしが良い。PM0:37。


 


十八神社
十八神社
カワラナデシコ
カワラナデシコ

ミンミンゼミの無く境内の木陰、階段の一番上に座り込んで、眼下の景色を見下ろしながらしばし休憩。食べ物も口にする。――さすがに、ちょっと疲れてきた。道迷いは体力を浪費する。道間違いをした箇所まで戻ろうかとも思ったけれど、止めておこうと判断。

リフレッシュを済ませ、出発。先ほどの額井集落のT字路を通過し、そのまま東へ進む。道はすぐに植林帯へと没し、景色に変化があまり無くなった。

集落内の分岐
額井集落の道標。「天満台東2丁目バス停」も示される
黄花
林道を進む。視覚変化の少ない道

方角は北東へと変わっている。と、脈絡無く「額井岳(大和富士)」の解説板が現われた。そこを過ぎると、また何も無い道。しばらく淡々と歩いていく。

と、解説板が現われた。ここが山部赤人の墓だ。林の中の狭い空間にそれは立っていた。PM1:01。

――田子の浦ゆ、うちいでみれば真白にぞ、という歌は知っているけれど、その山部赤人の墓がこんなところにあるのも、イメージが結び付かないかも。

山部赤人の墓解説板
山部赤人の墓解説板。背後は戒場山(738m)
休憩所
休憩所。道標は「額井岳・戒場山登山道」
山部赤人の墓
山部赤人の墓

 


戒場の棚田
戒場(かいば)の棚田
戒長寺解説板
戒場集落と戒長寺解説板

右手に素晴らしい棚田斜面が広がるようになる。正面には戒場山。アップダウンも少なく、気分良く歩いていける。

やがて、見えていた戒場の集落に到着。早速、戒長寺の解説板が立っている。

戒長寺
戒長寺(かいちょうじ)。1291年製の梵鐘は重文
戒長神社のイチョウ
戒長寺のイチョウ。樹周4.5m、樹高25m、樹齢300年以上

その戒長寺は0.15kmほどの寄り道。緑に埋もれるような戒長寺参道の階段を頑張って上っていく。なにしろ、今日の上りはこれで最後だ。途中には公衆便所もあった。

PM1:25、戒長寺に到着。ここには県指定天然記念物のイチョウ、すぐ隣の戒長神社にも同じく県指定天然記念物のホオノキが立っている。

戒場集落
戒場集落を見返す
額井岳を西から
篠畑へ向かって下っていく途中の額井岳

さあ、後は下っていくだけだ。戒場に戻ると、道標に従って山から下りていく車道に入る。棚田地帯を縦断すると林の道。道は何度も曲がりながら、緩やかに高度を落としていく。


 


篠畑
篠畑を通過する近鉄線列車
篠畑神社
篠畑神社へ立ち寄り
山麓車道
二車線の山麓車道に合流直後、右に逸れる

見下ろすと、近鉄線列車が走っていくのが見えた。もう、もう1くだりで、件の山麓車道に合流……道標が無い。さあ、どっちだ?

鋭角に左折、東へ向かう。途中、篠畑神社。――ここにも道標や解説板が無いと言うことは、コースじゃないということだろう。引き返す。

先ほどの戒場入り口で、今度は山麓車道の右手側道に入る。下っていって、山麓車道を潜る道だ。そのまま南下していくと東海自然歩道の道標が現れてくれた。なんとかオン・コース。

小川沿いを歩いていく。と、新橋なる橋が現われた。その向こうに鳥居。渡る。

――森の中、小道を歩いていくと神社が現われた。さらに階段を下るともう一度川を渡り返し、着いたのは葛神社。PM2:11。

新橋
「新橋」とある
葛神社
葛神社
国道165号
国道165号、別名・初瀬街道
近鉄大阪線
近鉄大阪線の線路を潜る
近鉄特急
近鉄特急

その向こうは国道165号であった。横断して南下を続ける。近鉄大阪線を潜って田園地帯を抜けると、赤い橋が見えてきた。そこはもう、室生湖の突端。

この先は、室生湖の岸を巡る行程となる。距離は6km近くで、当然ながら道はフラット。迷うような箇所も無いだろう。ある程度、気を抜いて歩ける道。

湖岸道を行く。進むにつれ、湖面は次第に太くなっていく。


 


実り
黄金色の稲穂。収穫の日は近い――
室生湖から額井岳
室生湖から額井岳を見返す
北側湖岸道
湖面を見ながら北側湖岸道を行く
迂回路分岐
迂回路分岐

PM2:30、赤人橋に到着。

――ところが、ここで迂回路の看板。正規コースは南の湖岸道の筈だけれど、そちらの標示は消されていて、北の湖岸道が「室生寺方面」と示されている。迂回の理由は、無い。

無いなら自分の目で確かめるしかない、と、赤人橋を渡って湖の南岸へ。

赤人橋の袂
赤人橋。山部赤人にちなむ?
室生湖
室生湖。湖岸の岩に節理

 


赤人橋
赤人橋の途中で見返す
狭隘部
室生湖は東西に細長い湖

室生湖の南湖岸道路を歩く。落石注意の標示はあっても、特に通行止めを案内する標示は無い。

突然、通行止め標示が出てこないことを祈りつつ、道を手繰っていく。進めなくなったら先ほどの迂回路分岐まで戻らないといけないので、ゆっくり歩いてもいられなくなった。

車の一台でも走ってくれば、誰か一人でも向こうから歩いてくれば……

湖岸壁
湖岸壁。室生湖の狭隘部
北側湖岸道
北側湖岸道を行く
木
ツタに埋没した二本の木

いたって静かな歩き。湖の湖面も静かだ。水が近いけれど風も無く、あまり涼しくは無い。

一方、空には雲が多くなり、陽射しはほとんど失われた。日光があっても無くてもあまり変わり映えしない風景が続く。湖岸道なので道は常にうねっていて、前進感があまり無い。

と、赤い吊り橋が見えてきた。下山橋だ。あそこまで行ければ北岸にも逃げられる――。

下山橋
下山橋が見えてきた
道標
下山橋の袂に道標。室生ダムまで2.0km

PM3:03、下山橋。ここまで、道に特に問題は無かった。迂回標示は何だったのだろう?

とりあえずコース指導標に従い、南岸湖岸道をそのまま進む。室生ダムが大きく見えてきて、そして突然、道は方角を南東へと変える。湖の一番奥まったところまで、行って、帰ってこなければダムに着かないのだ。橋が架かっていればすぐの距離なのに……。


 


室生湖奥部
室生湖最大の“枝”。巡るのは大変
室生ダム
室生ダム
竜鎮渓谷入口
竜鎮渓谷入口
岩壁
岩壁

湖はゆっくりと細くなっていく。それに伴って対岸も近づいて来るのだけど、そのペースは遅々として進まない。

10分ほど歩いて、ようやく湖の突端部。回り込む。

――ここには、竜鎮渓谷入口の標示があって興味をそそられるのだけど、ちょっと覗いた限りでは、近くではなさそうなのでスルーする。

湖岸道最終区間
湖岸道も最終区間。あと少し――
室生ダム管理用道路
室生ダムを渡る管理用道路

室生ダムへ向かって引き返す道。通行止めは、さすがにこの先無いだろう。

一生懸命歩いていくと、ついに室生ダムが見えた。その南側の小広場に到着、PM3:32。

室生ダムから室生湖
室生ダムから室生湖を見返す。一番奥に額井岳

――額井岳が見えている。大和富士と言うだけあって、あの山は今日は至る所から見えていた。円錐形の山ではないけれど、ここから見る額井岳に限っては富士山に似ている。宝永山のでっぱりまであるように見える。

東海自然歩道は、ここからダムを渡らずに下っていき、室生寺に向かう道に入るけれど、今日はこの地点で打ち切り。

先のコースへ進む→

室生ダム~大野寺~室生口大野駅=(近鉄)…

宇陀川
ダムの上から見下ろす。宇陀川が延びていく
ダム広場
ダム広場
県道28号
ダムから下っていく。この先で県道28号に合流

ダムの上の車道を渡る。眼下に見えている宇陀川は、やがて名張川、木津川と名前を変え、やがて淀川となって大阪湾に注ぎ込む。東海自然歩道とも良く絡んでいる。

渡りきるとダム管理事務所があり、あずま屋のある小広場もある。駐車場もあるけれど、一台も駐車していない。空には濃い灰色の雨雲。……一雨、来るかも知れない。

そのまま車道を下り始める。宇陀川のある高さまで下っていく道。

――今日はもう、9時間以上歩いているので、足の疲労は濃い。ただ、朝早くから歩き始めることが出来たので、時間には余裕がある。日没までには、まだ3時間。もう少し寄り道すれば良かったかな、と今更ながら思う。

室生寺入口
室生寺へ向かう紅橋の脇を通過
県道164号
宇陀川とともに県道164号を進む
和傘
「葛切り抹茶・やまが」の藁葺き屋根

県道28号に合流。右の紅橋は、次に東海自然歩道のコースを繋ぎに来る時に渡る橋だ。

直進し、国道165号をくぐる。ここからは県道164号。宇陀川とともに最後の道のりを歩いていく。

と、前方に藁葺き屋根の家屋が見えてきた。あれが大野寺だろうか?

――違った。茶屋のようだ。葛切り抹茶、とある。そこを過ぎると、道が大きく左にカーブし始めた。宇陀川も同じように曲がっていく。

その対岸の岩壁が不自然に刳り貫かれているのが見えた……。


 


大野寺磨岩仏
大野寺磨岩仏。宇陀川の対岸に見える
大野寺
大野寺を通過。トイレ・駐車場も

初瀬街道
初瀬街道を横断

大野寺磨岩仏――巨大な仏像だ。宇陀川のこちらにある大野寺の御神体なのだろう。

そして、大野寺の門の前まで来た。しかし、ここは入山料が必要なお寺であった。逡巡したものの、今日のところはパス。先へ進む。

寺の前には駐車場もあって、家族連れで賑わっていた。……今日初めての賑わいかも知れない。それほど、今回のコース歩きは地味であったかも知れない。長谷寺を早朝通過したという都合もあるけれど。

大野集落へと入り、初瀬街道を横断。そう、今日の歩き始めも初瀬街道であった。

大野集落
大野集落を見下ろす
室生口大野駅
近鉄・室生口大野駅

PM4:05、室生口大野駅に到着。ぶらぶらと駅前を散策したけれど、特に何も無く、駅の改札を潜る。

なんとはなしに、駅のホームから大野の集落を眺め下ろす――次にここに来る時期も既に決まっている。いずれ、近いうちに。

 

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