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岩屋堂~雲興寺~猿投山(629m)~東の宮~猿投神社

岩屋堂バス停
瀬戸コミュニティバス・岩屋堂
鳥原川
岩屋堂公園を貫く鳥原川

岩屋堂の広場から車道に出てる。――この地は知らなかったのだけど、本当に観光地っぽい雰囲気。定光寺からこちら、地味なところばかり歩いてきたので、意味も無くソワソワしてしまう。

鳥原川の上流へ進む。車道でも、まわりは濃い緑。

と、東海自然歩道の指導標が立っていて、川を渡るよう指示された。

指示通り、歩行者用の橋で鳥原川を渡る。

迂回路案内板
と思ったら「迂回路に進め」との指示
岩屋堂の道標
雲興寺までは3.3KM……

現れたのは……なんと迂回路指示の標示。「私有地に付き通行をご遠慮下さい」

ええっと、私有地と言われても……ハイクコースや自然歩道は私有地を通らせてもらうのが結構当たり前なのだけど。今更この区間が歩けないとは、どういうことなのだろう? 地権者からクレームが来た、というパターンだろうか?

まあ、仕方無い。時刻を見る。PM2:20。――さあ、どうしよう?

紅橋
公園内では、島原川に橋が幾つか架かっている
岩屋堂公園
迂回路に進むため引き返し中

雲興寺までは、ざっと3.3kmだ。この区間は速いペースで歩き抜けたいと考えていたけれど、示された迂回路は随分と大回り。この時刻での時間ロスは、ちょっと頂けない。

……迷う。迂回標示を見ると、歩けないとバッテン付いているのは一部の区間だ。示された迂回路を行くのではなく、通行止めのところだけ回避して歩けば――。

東海環状自動車道
東海環状自動車道を潜る
岩屋堂公園駐車場
岩屋堂公園の駐車場。バス停はここにある

でも、山の道だ。指示された道以外の道を進んだら途中で道が消えた、なんて良くあることだし……。よし、ここは急がば回れか、と指示された迂回路を行くことを決断。

道を引き戻り始める。先ほど訪れた駐車場を過ぎ、さらに進む。

分かれ道を左。東海環状自動車道を過ぎると少し視界が開けた。濃尾平野の淵に出たような感じ。


 


ショートカットの誘惑
迂回路をショートカットする道へ
県道22号
迂回路に指定された県道22号に合流、南へ
煙突
迂回路の工場煙突

当たり前なのかも知れないけれど、迂回路に入ってから道案内が全く無くなった。情報は、先ほどの迂回指示に書いてあった迂回路概略マップだけ。

それを良いことに、一箇所だけ道をショートカットした。そのおかげで、すぐに県道22号に。

左折。ここからしばし、県道歩き。この車道には歩行用スペースが無い一方で、車の往来は比較的多い――というかビュンビュン走って来る。少々、身の危険を感じる。

時間短縮のため少し走りたいところだけれど、車の往来が多くてなかなか出来ない。

生コン工場
生コン工場の前を通る
窯元
県道を左に逸れ、窯元を抜ける

やがて山の迫った狭隘部を抜けると、住宅地に出た。左手にあった住宅地の路地へ逃げるように入り込む。

地図を確認すると、ここは窯元町というところらしい。さすが瀬戸焼の瀬戸市、焼き物にちなんだ地名が多い(のか?)

東海環状自動車道再び
県道33号に出て、東海環状自動車道を潜り返す
長谷山観音
長谷山観音の参道入口

山裾を辿るように進む。先ほどの県道と違って、車の往来は滅多に無い。左に長谷山観音を見送ると、県道33号に当たった。

また左折。今度は山に戻っていく方向へ。


 


名鉄赤津バス停
名鉄・赤津バス停。ここを左に入る
ねむの森
児童自然遊園「ねむの森」の池

東海環状自動車道を潜ってその東側に戻ると、赤津バス停があった。背後は車両基地になっている。県道を真っ直ぐ行けば雲興寺だけれど、示されていた迂回路は左折。細い道に進む。

やがて現れたのは、瀬戸市の児童自然遊園、「ねむの森」。池のほとりでは家族連れが遊んでいる。

緑のカエデ
池の北側を進む
迂回路合流点
ようやく東海自然歩道に合流、迂回路は終了

池を右に見ながら歩く。だいぶ山あいに戻ってきた。その先で「←雲興寺」の道標が現れる。

……ふう、ようやく東海自然歩道に合流だ。結局、迂回に掛かった時間は55分。

でも、まだ先に猿投山越えが残っている。ここからは急がないと!

林間の山道
林の中、山道を登る
雲興寺
雲興寺の裏手に出た

気持ちは急いているのに道は登り。まっとうな山道だけれど、結構疲れている。ペースが上がらない。

ありがたいことに、そのうち勾配が登りから下りへと切り替わった。一気に下っていく。現れたのは雲興寺の……背中。

いきなり雲興寺境内に飛び出す。

雲興寺本堂
雲興寺。ここは隠れた紅葉名所とか
鉄塔
鐘楼の方向

ぱっと目に入ってきたのが本堂の屋根瓦……組み合わされた色合いの妙。


 


赤津焼の屋根瓦
本堂の屋根瓦は赤津焼
雲興寺の陰
本堂に落ちる陰
牡丹
落ち牡丹
コース案内板と解説板
東海自然歩道のコース案内板と解説板

この時間でも参拝客がチラホラ。心安らぐ雰囲気があって、しばらくここで休んでいきたいような気持ちにさせられる。

でも残念、時間が無い。まだ午後の日差しを浴びる本堂を後に、参道へ進む。途中、立っていたのが東海自然歩道のコース案内板と解説板。

――「約600年前に開かれた禅寺です」これはプラス35年かな? 「盗難よけの守護で知られています」 盗難避けを、守るって?

雲興寺山門
雲興寺から出る。トイレ、駐車場あり
猿投山入口
県道33号を跨ぎ山道へ。猿投山まで5.4kmの距離
猿投山登山道
傾いた日差しをの中、ひとしきり登る…

雲興寺の山門から外に出る。赤津から続いている県道が左右に渡っている。横断して、いよいよ猿投山の登山道へ。時刻は――PM3:28。

ここに立つ道標には「山頂まで2時間40分」と書いてあるけど、その2時間40分後には下山も終わって、猿投神社の前でバスを待っている予定だ。

だから、ほんとに急がねば。


 


鉄塔
鉄塔を過ぎる
休憩所
疲れたところにお誂え向きの休憩所
あと4.1KM
まだ猿投山は遠い…

しばらく勾配の落ち着いた道であったのに、途中から一気に高度を稼ぎ始める。終盤に来て、今日一番の急勾配だ。ぜいぜいと息を継ぎながら途中で立ち止まり、地図を確認すると、雲興寺からは高低差200mの登りとなっていた。このままだと体力がもたない、と、少しペースダウン。

鉄塔を過ぎる。勾配は緩み……そのうち下り始めるようになる。せっかく登ったのに失われゆく高度。

林道を下る
林道を下る。結構な高度ロス
鹿
林道に当たる。鹿?
林道の公衆便所
公衆便所があるところで…

公衆便所の先、林道に当たる。今度は林道で山を下るのだ。猿投山は低山だけど、このあたりなかなか、いやらしい。

林道を下る。登山口からこちら、一人もハイカーに出会っていない。人気の山とは言え、さすがにこの時間は遅いのだろうか。

登山道再入口
登山道の再入口。猿投山山頂は2.5km先
岩道
岩の多い道を登っていく
さらに鉄塔
鉄塔を見て送電線を潜る

走る。これだけ道幅があって、しかも緩い下り勾配。「どうぞ走ってください」と言わんばかり……なので、走る。

小走りで10分ほど進んだところに、首尾よく、登山道の続きの道標を見つけた。見逃したら山を下り切ってしまうのではないか、という心配は杞憂で終わる。

登山の再開。残す高さは300m。


 


休憩ベンチ
尾根歩き途中の休憩ベンチ
瀬戸方面
北西の見晴らし。送電線がかなり下になった

道の状態は良く、落葉樹が多くて西日も射し込む素晴らしい道だけれど……かなり疲れた。定光寺駅から歩き始めて既に8時間半が経過している。

ただ、高さを得るに応じて展望が得られるようなところも出てきた。見えるのは霞んだ光景ばかりだけれど、それでも気分的に少しは楽になる。

あと1.0KM
山頂まで、残すところ1.0km
最後の休憩所
最後の?休憩所。あとひと頑張り

気温も下がってきて、コンディションも良い。勾配も途中から比較的緩やかになったので、道もさくさくと捗る。あえて悪条件を挙げるとすれば……

バスの出る時刻まであまり時間が残されていない、という、ただ一点。

恵那山ポイント
恵那山ポイント。中央アルプスから恵那山にかけての展望がある(はず)

――じつは今日は新しく買ったカメラを初めて持ち出し、道すがら、レンズをとっかえひっかえ試し撮りなどをしていたせいで、時間の余裕がまったく無くなってしまったのだ。そういう言う意味では自業自得。

突然、恵那山ポイントなる標示が現れた。恵那山は昨年秋に日帰りで登った山。その山を見て懐かしむ――ということは、今日は出来ず。

西日
背後から西日を浴びながら山頂へ向かう
最後の登り
最後の登り――

恵那山は2,000mを越える高峰だけれど、山道の楽しさで言ったらこの猿投山の方が上のような気がする。広葉樹の自然の森というのは、やっぱりポイント高いのだ。惜しむらくは低山が故の展望の悪さ。濃尾平野への大展望が欲しい、と思っていても、ここまでそれは得られていない。

でも、あと少しで山頂だ。


 


猿投山山頂
標高629mの猿投山(さなげやま)山頂。残念ながら、見晴らしは一方向
ベンチ完備
ベンチや道標は完備
猿投山山頂から北西
猿投山山頂から北西の見晴らし。ちょうど東海自然歩道の定光寺方面が見える。遠方中央、道樹山の稜線

着いた。猿投山山頂。一等三角点もある。

誰もいない。静かなものだ。夕方の、ひんやりとした冷気を帯びた風が吹き渡っている。

時刻は、PM5:02。

三国山
電波塔が立ち並ぶのは三国山(701m)。愛知・岐阜県境

見晴らしがあった。方角は北西~北。濃尾平野の東北部の淵が見える……そう、東海自然歩道が貫く丘陵地帯が正面。名古屋方面は、見えない。

……その景色を眺めながら、山頂で10分ほど呆けていた。何と言っても今日のハイライトはこの場所だ。西日も極まって、かなり寂しげな雰囲気に満たされてはいるけれど。

とりあえず、無事に山頂に着けたことを喜ぼう。じゃあ、気合を入れ直して下るか。


 


下山道
下山道には鉄製の階段も
カエル石
このカエル石には目と口が描かれている…

一気に下り始める。良く整備されて、歩きやすいどころか、走りやすい道。

途中、目と口が落書きされた岩があったのでブレーキをかけて立ち止まる。それは「カエル石」というものだった。なるほど。

東の宮
猿投神社・東の宮
東の宮境内
…の境内。並んでいるのは礎石?

さらに下ると小広い場所に出た。社が建っている。東の宮、らしい。

東の宮から正面に伸びている参道を下る。参道と言っても山道だ。

東の宮鳥居
いったん車道に出る。右折0.5kmで西の宮入口
参道を下る
東の宮の参道を下る

参道の最後に鳥居を潜ったら、車道に出てしまった。

小さな駐車スペースがあって、車が二台、停まっている。それと、公衆トイレ。

――愛知県コースでは珍しく、キレイで近代的な設備(?)のトイレ。

公衆トイレ
東海自然歩道公衆トイレ。水洗!
3方向道標
自然観察路あり。道標の指す3方向はどれも緑

下山路は、車道を横断してさらに先に続いていく。道標によると自然観察路が左右に渡っているようだけれど、次に来ることがあったら歩いてみよう、なんてことだけ考えて黙殺。再度、山道に突っ込む。


 


下山
猿投神社へ下る道を採る
展望台
「黒雲母花崗岩」解説板もある展望台
カラーガイド
愛知県には珍しいカラー写真付きコース案内板

駆け下る。疲れてはいても、下り道ならある程度継続して走ることが出来る。怖いのは、疲労のせいで踏ん張り損ねて転ぶことだ。下山で転んで転落して大怪我、なんてことになったら目も当てられない。体重は後ろ、慎重に駆け下る。

そして、ついに日差しも山際の向こうに消えていった。こうなると、明るかった森は一気に色を失う。

あずま屋と解説板のある地点を過ぎて、さらに下る。

御門杉
御門杉。海抜230mの位置
猿投神社へ
猿投神社まで、あと2.3Km
車道横断
車道を横断して、さらに下る

ようやく下り勾配も緩やかになってくる。と、車道に出た。ここも横断。

さらに御門杉を過ぎると……。

また車道に出た。この先にはもう、山道は無い。残りの区間は車道歩きだ。


 


猿投山登山口
登山口に下り立つ。この先は猿投川沿いの車道
お倉岩
お倉岩。御鞍岩、と標示されることも

それにしても、今日のコースの山道率は素晴らしいものであった。優に8割はあっただろうか?

東海自然歩道の、特に支線なんかは8割ぐらいが車道のところもあって足裏が痛くなるのだけれど。やっぱり、国定公園に選定されたことの効用なのだろうか?

トロミル水車
復元・猿投トロミル水車
山麓園地
30台の山麓園地駐車場。トイレあり

お倉岩を見て、「倉じゃなく鞍では?」なんて突っ込みを入れつつ車道を下る。先に、赤い水車が回っていた。トロミルって何だ?

さらに下る。広い駐車場があった。東海自然歩道のそれも含め、色々な案内図がある。その先が――猿投神社であった。

境内に入っていく。夕方の散歩をしている地元の人しか見当たらない。

猿投神社到着、PM6:08。今日の歩きは、ここでオシマイ。

猿投神社
猿投神社
目的地
ここが今日の目的地

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猿投神社~猿投神社-(名鉄バス)-豊田市駅…

猿投神社境内
猿投神社を後にする
猿投神社入口
バス停から、猿投神社を見る
猿投神社前バス停
名鉄・猿投神社前バス停
日没
バスの車窓。夕日が沈む

猿投神社から出ると、すぐに猿投神社バス停。便は少なく、4分後に来るバスが今日の最終便だ。もし遅れてこの便に乗れなかったら――たぶんタクシーを呼んでの帰宅になっただろう。

もちろん、駅まで戻れても終電に間に合わなくなる可能性もある。遠方の地で、こんな、リスキーな賭け。

豊田市駅前
名鉄・豊田市駅にバスが到着
豊田市駅入口
豊田市駅から赤い名鉄電車に乗る
ツインタワー
JR名古屋駅のツインタワー

バスが来た。乗り込む。

――でも、なんのかんの言っても、今日も無事に帰れることとなったのは事実。目的完遂は実際、明日への活力になっているのだろうと思う。だからハイクでもウォークでも、この達成感というのは大事にしたいと思う……たとえ、いつか失敗したとしても。

バスは走る。日が沈んで黄昏た郊外風景。愛知県の豊田市と言えば某・車メーカーのお膝元。

そして、到着したのは名鉄・豊田市駅。もちろん、初めて見る駅だ。思ったよりこじんまりとしていて、そうなのかと変なところで感心する。

さあ、帰ろう。そして、またここに歩きに来よう。

 

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