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鍋倉山~日坂越~高橋家~夫婦滝~東津汲

山頂にあるもの
鍋倉山山頂にあるもの。この石は三角点では無いらしい…
色付き
足元の草は黄色く色付いているものも

「鍋倉山頂」と山名があるけれど三角点が見当たらない。これかと思ったものも、ただの石。こう山頂部が細長くては、どのピークが一番高いところなのだか実感的に分からない。いちおう「鍋倉山」解説板があるから、ここなのだろうな……。

ただ、三角点で小休止を取ろうと思っていたので、やはりそれが無いのが気になる。山頂をパスして先へ進む。

鍋倉山山頂2つ目
もう1つの鍋倉山山頂。こちらが1,050m三等三角点?
赤の色付き
紅葉の早い種はもう色付いている

と、すぐに同じような光景にぶつかった。右に指導標(今度は立っている)、左に解説板(今度は割れている)のある少しだけ膨らんだ山道。解説板は、先ほどと同じ文面の「鍋倉山」。――そしてこちらには「+」が刻まれた三角点があった。こっちが正解か。

小休止を取る。山登り10.5kmを3時間というハイペースでクリアしたので、足には結構、疲労が溜まっている。

長者平解説板
長者平の解説板が立つ展望ポイント
貝月山
貝月山(1,234m)を正面に見る。伊吹山地の一角の山

さあ、下山だ。山道を勢い良く下る。鍋倉山の西側の支尾根。久しぶりにまともな勾配。

切り返しながら下りて行くと、前方に覗き窓のように木立が切れた箇所があった。解説板が立っている。しかも「長者平」が2つ――またしても同じもの。(大事なことだから2回言う?)


 


遠方の紅葉
遠方の紅葉を引き寄せる
下山道
道の状態は問題ない。快適に歩ける

そこからは貝月山が大きく見晴らせた。長者平は……よく分からない。山裾の緑野のどこかなのだろう。南方に伊吹山が見えてくれないかと期待したけれど、角度的にちょっと無理のよう。

一方、紅葉は、山肌にはほとんど確認できなかった。まあ、仕方ない……。

右に曲がり、再び山道をずんずん下り始める。

美束分岐
美束分岐。日坂越と言っているところ?
ダークレッド
少ない紅葉を拾っていく…

一気に高度を下げると、下り勾配は少し落ち着いた。高度は750m前後――そろそろ日坂越だ。

と、ここだろうか。三方向道標があって、一方に「美束」とある。ただ、そちらの道はあまり良く無さそう。

通過し、先に進む。アップダウンが出てきた。時折、紅葉が道を飾っているのも目に出来る。登りの時よりかは多い。

欠落道標
山頂から2.5km地点。遂に標示板が両方欠落
鍋倉山
鍋倉山を見返す。一番右のピークが山頂

多少上りになっても、速度を保って進む。トレイルランニングシューズを履いているので山道を走るのは問題ない。

と、展望が得られる箇所があった。やや背伸びが必要なものの、鍋倉山の山稜を見ることが出来る。本当に南北にひたすら長い尾根で、ポコポコとした細かいピークを幾つも擁している――全容はとても見届けられない。

伊吹山
日本百名山・伊吹山(1,377m)を遠望する

南側には遠く、伊吹山も見えた。山頂に構造物があるのでそれと分かる。

――あの山には春に一度、登ったことがある。残雪時期で花で埋もれる前であったけれど、カタクリなどが咲いていたことを思い出す。


 


長者平分岐
長者平分岐の三叉路。本線は右
久瀬村
久瀬村(現・揖斐川町)の標識
水場?
水場?

その先、すぐに長者平分岐に当たった。三叉路となっている。長者平方面の道は、今度は良さそうだ。PM2:26。

本線は右折。そちらに進むと、再び道が一方的に下り始めた。尾根道から離れて、山腹の巻き道を下っていく。左側は谷――もう、この先、展望が得られるようなところも無いだろう。沢も現われた。

樹木のトンネル
木々が覆い被さってトンネル状になった道
休憩所
休憩所。ベンチが苔むしている

と、その沢を渡るところ、丸太が二本、架かっているだけだった。橋面は抜け落ちたのだろうか?

クリアして先に進む。他に問題となるような箇所は無い。秋の午後の陽射しを受けて、木々の葉が輝いている。穏やかな道。

やがてベンチのある小広場に飛び出した。そのベンチは自然に還ろうとしていた――。

ベンチのコケ
ベンチのコケ
休憩所その2
再び休憩所。入山計画書入れが設置

沢を渡り、沢左岸の道となる。と、またベンチがあった。今度は2つ。久瀬村の登山注意板も立っていた。沢には石組みの堰。

――そろそろ登山道も終わりなのだろう。その先、道幅が随分広くなっている。

名残惜しむように、ここで小休憩をとる。山道区間が終われば、また長い長い車道歩き区間が待っている……。


 


谷の出口
谷の出口が見えてきた
コンクリの道
杉林とコンクリの道
和佐谷
和佐谷に出たところ。車道再開
日坂バイパス合流
日坂バイパスに合流。ここを右折

さあ、あと少し。コンクリの路面へと変わった道を歩いていく。両脇は杉。

と、谷あいの空間に飛び出た。和佐谷だ。休耕田なのか、棚田が伸びている。

そして、ついにアスファルトの車道が再開した。田を右に見ながら、坂道を下っていく。途中、農作業用の小屋が幾つかあったけれど……使われているのだろうか?

時刻は午後3時を過ぎ、西日で黄色味の増した山肌を眺めながら下る。谷はあまり広がらない。やがて前方に二車線車道が現れた。結構な車の往来――日坂バイパスだ。

日坂バイパス
県道40号の日坂バイパス。日坂集落区間をバイパスする
バイパスを下る
バイパスを下る。日坂川北面の山は東西に長い
高橋家住宅?
バイパスから見る……高橋家住宅?

バイパスに合流。ここには文字の消えかけた登山注意板が立っている。そして、三方向道標。揖斐高原2kmが示されている。

本線は右折、バイパス歩きだ。――バイパスじゃなくて県道の方まで下りるんじゃないのかと思ったけれど、示された方角はどう見てもバイパスそのもの。揖斐高原から絶えず下ってくる車を気にしながら、車道の右側を歩き出す。

どんどん下っていく。周囲は棚田。こちらは刈り入れの痕がある。と、左側に藁葺き屋根が見えた。もしかしてあれが高橋家では?

慌てて日坂集落に向かう道を探す。あった。そちらへ入っていく。


 


高橋家住宅
高橋家住宅。江戸期文化六年の建築とされる豪農の住まい
県道40号旧道
県道40号の旧道に合流。コース案内板が立つ
高橋家住宅解説板
高橋家住宅解説板は巻物風

日坂川の橋を渡り、集落に入る。県道40号に合流。ここには「鍋倉山自然探訪のみち」のコース案内板が立っていた。等高線が入っているのに、道筋は大雑把というシロモノ。

高橋家住宅までは少し戻る。白い漆喰の壁に立派な門。門の中には解説板があって、パンフ置き場があった。もっとも、作り置きのパンフは空。見物できるのもここまでらしい。どうやら、まだ実際に人が住んでいるらしい。PM3:32。

コースに戻る。県道をそのまま下りて行く。

鍋倉山山稜
前谷が南北に穿つ鍋倉山の山稜。ピークは右奥
春日神社
春日神社
春日神社の杉
県道40号を行く。立派な杉の木が現われた

――バイパスと違って車の往来が無いので気が楽だ。右手には、田園地帯の向こうに、今しがた登ってきた鍋倉山の山稜が聳えている。やっぱり、実際に自分の足で登った山だと、思い入れが違ってくる。

左側に春日神社。東海自然歩道の解説板があるけれど……文字が消えていて読めない。木立の下のこじんまりとした神社。お参りする。

県道をさらに進むと、日坂バイパスに合流した。というか、県道40号が一本化しただけだ。ただ、今度は脇に歩道があってくれている。これは助かる。

日坂の下村地区に入る。


 


下村地区
県道40号、下村地区を行く
善重寺
功徳山・善重寺
清水川
清水(しょうず)川。岐阜の名水

ここには清水川があった。川、と言っても水が溜められているだけだ。もちろん、水が汲める。

――思い返せば、蘇生の泉から始まった今日の歩き。潤いの泉、高橋谷、と確かに名水を繋いでいくコースであった。鍋倉山登山道でも何箇所か水場があったし、水の補給には事欠かなかった……のに、ペットボトルを買い込みすぎて、一度も水は汲まなかった。勿体無かったなあ。

たわむ道
県道40号が大きくたわむ箇所
人工林
細かいカーブが多い。両脇は人工林
セイタカアワダチソウの群生
セイタカアワダチソウが群生する

以降、県道ベタ歩きとなる。東に向かって一直線だ。ちょうど、午前中に西に向かって一直線に歩いたのを取り戻す形。

しかも、もう歩道は無い。車の往来は多少落ち着いたけれど、それでも背後からスピードを上げて突っ込んでくる車には気を使う。細かいカーブが多くて、視界を悪くしてくれるのがなんとも。

――小坂の集落を通過。

周囲は植樹林で、風景的にも変化が無くて退屈この上ない。退屈な時間を短くすべく、急ぎ足で進む。というか、バスの時刻もそろそろ迫ってきたのだ。

途中、セイタカアワダチソウの見事な群生があった。本当に繁殖力旺盛だな、この外来種は。


 


「夫婦滝」
東海自然歩道道標。日坂、東津汲とも4.0km60分
西美濃夢回廊
西美濃夢回廊、とはこの公園の名前?
夫婦滝
久瀬・夫婦滝。仲良く並んで水を落とす

日はもう、だいぶ傾いた。東西に渡る谷の歩きとは言え、そろそろ陽射しが失われてもいい頃合。

と、車道の右側になにやら木組みの施設が現われた。休憩施設らしいけれど――「西美濃夢回廊」と書いてある。何物?

下りて行くと、ベンチの並ぶ公園になっていた。その向こうは日坂川。そして、そこに水を落とす二筋の滝――夫婦滝だ。

ちょっと倒木が多くて荒れているなあ、とは思ったものの、この退屈な車道歩き区間に存在しているというだけでポイントが高い。実際、車を止めてこの公園を散策している人の姿も見られた。

ただ、この公園は車道の中間地点。あと4km、頑張って歩かなければ!

西日が当たる
東津汲の背面の山に西日が当たる
3/4
東津汲まで2km…
県道40号
県道40号はどこまでも続く…

駐車場を見て日坂川を渡る。退屈な杉の立ち並ぶ車道歩きの再開だ。陽射しはもう、路面まで届かない。

淡々と歩いていく。途中、駐車場があって道脇に木の椅子やテーブルがあるようなところもあるけれど……草で一面覆われ、機能していないようにも。

――左側、だいぶ日坂川が太くなってきた。それに、ずいぶん下の方に見えるようになっている。ちょっとした渓谷だ。


 


9/40
東津汲まで1.8km……
右折
県道40号が右折していく。コースも右折

T字路県道40号が右折していく。もちろん、東海自然歩道の道標も立っているけれど……三方向のうち一方向が欠落!

おそらく、欠けているのが東津汲方面だろうと思ったけれど、ちょっと直進してみる。「山村広場0.2km」という文字に興味を引かれたのだ。

日坂川を橋で渡り、短いトンネルを潜る。

南下
南下する日坂川
コンクリ工場?
コンクリ工場?

――風景が変わった。左右に、このあたりのメインロード、国道303号が渡っているのだ。揖斐川に架かっているのは名倉大橋。その向こうに樫原トンネルも見えている。そして肝心の山村公園は……変哲なかった。特に寄り道するほどのこともない。

トンネルを潜り返し、県道40号まで戻る。再び日坂川を左に置きながら、今度は南下。

いったん川から離れ、ヘアピンを切る。と、ここに道標が現われた。東津汲まで1km――もう少しだ。空はもう、夕暮れようとしている。

右側に石仏群を見ると、左側には久瀬ダムが現われた。正面に延びる川は、日坂川と合流を果たした揖斐川だ。今日の終着点が近づいてきたことが実感される。

揖斐川の渓谷
揖斐川。日坂川と合流して南下を続ける
石仏並ぶ
石仏の行列。多種多様

 


久瀬ダム
久瀬ダム。揖斐川を堰き止める。上を渡るのは国道303号
東津汲
遂に東津汲の集落に突入

左右に民家が立ち現われた。東津汲の集落だ。ここまで、本当に長かった……。

集落を抜けていく。旅館・増元屋、正業寺など横目で見るのみ。

久瀬橋
久瀬橋。揖斐川に架かる
正業寺
正業寺

久瀬橋の前まで来た。

――左折して、その久瀬橋を渡る。渡り切るとちょっとしたパーキングがあって、おみやげ屋や野菜直売店、公衆トイレなどが備わっている。そして、ここに「揖斐川」の東海自然歩道解説板。

揖斐川上流
久瀬橋から揖斐川上流を見る
東津汲バス停
国道303号上の東津汲バス停

その前が国道303号の信号のある交差点。直進すれば県道268号――東海自然歩道は国道を横断してそちらへ向かっていく。

ただし、今日はここでオシマイだ。将来、この先のコースへ進むかどうかも未定。というわけで右折、小津川を渡る橋を渡り、国道の左側、東津汲バス停に到着。PM5:32。

先のコースへ進む→

東津汲-(揖斐川町コミュニティバス)-揖斐駅=(近鉄)=大垣駅…

国道303号
国道303号
名阪近鉄バス
名阪近鉄バス

狙っていたバスは17:43の近鉄揖斐駅行き最終便。10分ほど余裕を持って到着した……って、10分が余裕と言えるのかどうかはビミョウだけれど。

そして、先ほどの交差点で買った温かい飲物を飲みながら、いつものようにバスを待つ。10月半ばともなると、歩き終えるとすぐに体が冷えてくる。特に、最後急いて歩いて汗を掻いたなら、なおさら。

バスがやってきた。この路線は今月10/1から揖斐川町コミュニティバスに移管されている。

貼紙
「祝 揖斐川町コミュニティバス運行開始」の貼紙がある
近鉄揖斐駅
近鉄揖斐駅(※今は養老鉄道・揖斐駅)
列車
揖斐駅構内。列車に乗り込む

同時に、運賃が大幅に引き下げられた。ホントに2コインでいいの?と思いながら運賃箱に¥200を放り込む。

夜の近鉄揖斐駅に到着。始発駅なので絶対に座れる……というか、車内に人の姿は無かった。

――そんなわけで、東海自然歩道の本格的な山岳区間を(神奈川県以外で)初めて歩いてみた。まあ、ふつうの日帰り低山ハイクと変わらない感じであったけれど、自然の深さは十分に感じた。それと、ハイカーの少なさ、というか山に登って下るまで、誰一人会わなかった。秋のハイクシーズンなのに……。

とりあえず、次は三重県の2区間を歩いて、関ヶ原まで到達しておこうと思う。その先を歩くかどうかは、まだ考えていない。

 

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