湯の山温泉・朝明渓谷 ≫

東海自然歩道 ≫

湯ノ山

- 御在所山肉薄の道 -

 

【踏 行 日】2006年8月下旬

【撮影機材】OLYMPUS E-1, ZD14-54F2.8-3.5, CASIO EX-P505

…四日市駅=(近鉄)=湯の山温泉駅~湯森谷林道起点
【アプローチ】近鉄湯の山線の終着駅、湯ノ山温泉駅から踏切を渡り、湯森谷林道との合流点まで1.8km歩く
林道起点~潜戸の滝~湯ノ山温泉~風越峠~朝明渓谷~三重県民の森
★★☆ 朝明渓谷まで自然に埋もれる素晴らしいコース。湯ノ山温泉も見所多し。その先は単調
三重県民の森~尾高観音~福王神社~宇賀渓~新町~東藤原
★☆☆ 尾高高原歩くが車道が多い。宇賀渓より先は平地となり、自然歩道とは名ばかりの郊外歩き
東藤原~東藤原駅=(三岐鉄道)=富田駅…
【帰路】東藤原駅は集落より西へ0.15kmの距離。

…四日市駅=(近鉄)=湯の山温泉駅~湯森谷林道起点

湯ノ山温泉駅
近鉄 湯ノ山温泉駅

近鉄の車両に揺られ、三重県を横に横断する。山が近づいてきて、すぐに湯ノ山温泉駅に到着。

――またしても天候がよろしくない。このところ連戦連敗だ。とりあえず、夏の日射しが無いので歩きやすい、とポジティブに捉えることにする。

駅前は閑散としている。観光客が訪れるには早い時間なのだろう。自販機でゴソゴソと飲み物を何本か購入し、出発。AM8:10。

県道752号
県道752号を進み、小集落を抜ける
線路
踏切から駅を見返す。背後に御在所山の稜線

少し道を戻り、踏切を渡ると上り坂。周囲は林。

勾配が緩くなり、ついで何軒かの民家が現われる。よし、まだ覚えているぞ……。

左から車道が合流、すぐに右側に茶畑の間を真っ直ぐ上っていく道が現われる。方向としてはそっちが近い。少し迷ったけど、ここは記憶を頼りに左、県道を直進。

伊勢湾
背後の伊勢湾を見通す。イマイチ、霞んでいる

茶畑を見ながら舗装道を上る。やっぱり8月、朝とはいえ暑い。早足で歩いているため汗が噴き出してくる。

右手には御在所山の前山。残念なことに本体はガスの中。いまだコース上から御在所山がすっきりと見えたことは無い。

背後には伊勢湾。

もみじ谷方面
東海自然歩道コース、もみじ谷方面
湯ノ山温泉方面
東海自然歩道コース、湯ノ山温泉方面

十字路。右に曲がって、さらに上る。

現われたのはT字路。そして東海自然歩道の指導標。そう、前回の離脱点、湯森谷林道だ。

ただ、2ヶ月前と同じ標示板も一緒に立っていた。湯森谷林道は土砂崩れによって通り抜け出来ない、という標示だ。なんだい、まだ道の修復終わっていないのかよ……。

 

←前のコースへ戻る

林道起点~潜戸の滝~ 湯ノ山温泉~風越峠~朝明渓谷~三重県民の森

通行止め標示
「湯の山温泉街へは通り抜けできません」
林道湯森谷線
林間の林道湯森谷線を行く

仕方ないなあ、と思いながら林道に突入。AM8:37。

――山歩きをしている弊害で、どうも山に現われる通行止め看板に対してぞんざいになってしまっている。“道”は通行できなくても、道でないところが歩けないとも限らない、ということを知ってしまっているからだ。なんか、物凄く回りくどい言い方だけれど。

……っていうか通行止めじゃない。通り抜け不可ってだけだし。

菰野町
林道の林の切れ目より、菰野町を見晴らす。左に見える道路に沿って近鉄湯の山線が延びていく
眼下の道
歩いてきた道が下に見える
雲母高原休憩地
雲母(きらら)高原休憩地。公衆トイレ、コース案内板がある

林道はいたって穏やかに続いていく。今日は光がないので、淡々とした行程。

途中、林が切れて下界が眺められる箇所もあった。また、御在所山の稜線が見えることもあった。ただ、多くは見晴らしの無い林の中の道。

道は大きくうねり、ほとんど戻る方向に進んでいく。やがてあずま屋が見えてきた。

AM9:05、雲母高原休憩地に到着。


 


雲母高原休憩地からの展望
雲母高原休憩地からの展望
林道雲母ヶ峰線分岐
林道雲母ヶ峰線分岐

高原、と言っても道が膨らんだだけの平地に過ぎない。それに展望も案外、窮屈。まあ休憩には丁度良い位置にあるな、ということで一休み。

――なんだかんだ言っても、やっぱり土砂崩れの状態が気になる。休憩もそこそこに、出発。

左に雲母ヶ峰林道への分岐を見て、さらに進む。

木漏れ日の林道
林道に晩夏の朝日が射す
御在所山の稜線
御在所山の稜線とともに上っていく
指導標
一本道だが指導標は適時現われる

道はダートに変わる。

傾斜は厳しくないけれど、やっぱり8月は8月だ。気温はそう高くは無いはずだけど、風も無いので熱が身体に籠もる。あまり良いハイク日和ではない。これで天気が良かったら死にそうになるだろう、と思うと今日の曇り空は正解だ。

――と、一瞬、雲の合間から陽射しが降ってきた。よし、このまま晴れてくれ! ……すぐに曇る。まあ、曇り空が正解だし。陽射しなんか全然要らないから。

未練がましい。

ワイヤーフレーム
コンクリートで抑え込まれた山肌
御在所山
御在所山(1,212m)。ロープウェイの巨大鉄塔が目立つ

林道は平坦に近くなってきた。山肌を巻くように伸びていく。

と、ここまで雲に覆われていた御在所山が、なんとなくだけど全容を現わした。ロープウェイと鉄塔、そしてところどころ露出した岩が特徴的。いつか、この山の山頂にも上ってみたいものだ。


 


鎌ヶ岳
鎌ヶ岳(1,161m)の鋭いピーク
湯ノ山温泉
湯ノ山温泉街を遠望
ガードレール
とうせんぼする(?)ガードレール
赤土
赤土の道。整備中?

――ただ、次に前方に現われた鎌ヶ岳にあっさり心を奪われる。こっちは近いうちに登ること決定。御在所山はその「ついで」でいいや。

標高578mの林道最高点はいつのまにか通り過ぎた。道は赤土の地道になって、そして下り始める。その下り際、湯ノ山温泉の町を遠くにチラリと見せる心憎い演出。うん、ここまでは良い道だ。

林道終点
林道終点。指導標はさらに先を示す
下山道
下山道の階段

何度か大きくヘアピンを切り、高度を下げていく。そして、眼下には沢の流れが見えてきた。

林道は車両通行困難な窪道になり、やがて行き止まった。この先は人しか進めない道だ。さらに、普通の山道に変わる。

そして、陽射し。濃い樹林があるなら陽射しは大歓迎。緑の光シャワーを浴びながら下る。


 


橋
橋。がっしりしている
堰
自然林の中の堰。

さて問題は土砂崩れの場所だけど。

でも確か「林道にて土砂崩れ発生のため」と書いてあったような……。もうここは林道じゃないから、もしかすると先ほどの赤土の道が土砂崩れ箇所(かつ復旧工事済み)だったのかも知れない。

どちらにしろ、気は抜けない。

崩落
道の片側が切れ落ちた箇所もある
堰
堰が作り出す流紋。木星を思い出した(勿論、行ったことは無い)

沢に近いからだろうけど、道が変化に富んでいて面白い。三次元の構造がある山道は楽しい。

眺望は無い。あっても、見えたのは緑の山肌だけ。他はすべて深い森の中。――林では無く森であることはポイント高い。

次に、巨大な堰が現われた。その落水の先を見下ろすと赤い流紋。これは見事。

赤い沢
赤い沢の水……ではなくて石が赤い?
藪道
藪道
潜戸の滝
潜戸の滝

赤い沢とともに進む。流れが穏やかにつれ、その色も褪せていくように思える。

潜戸の滝。落差は大したことは無いけれど、まことに絵になる。色ももう、赤くは無い。

――この先、沢の水は今度は蒼くなっていって、蒼滝に至るのだろうか? そんなわけはない。


 


あずま屋
あずま屋
あずま屋の窓
あずま屋の窓

5分ほど山道を更に下っていくと、あずま屋が現われ、道も広くなった。良い道もここで終わりかと思うと、ちょっと残念。

あずま屋を過ぎると、湯ノ山温泉の建物が現われた。

湯ノ山温泉
湯ノ山温泉
白雲楼
白雲楼の建物を見上げる

結局、林道の土砂崩れ箇所はほとんど復旧しかけだったらしい。前のコース歩きの最後に林道通行止めの標示を見て、「時間を置けば復旧はしていなくても改善はされているだろう」と考えたのが2ヶ月前。まあ予想は当たったと言える。――でも、「通行止め区間を突っ込んだ」とは大っぴらには言えない。まあ、余計なことは言わず黙っておけばいいや。

林道終点を過ぎた後には、人の歩かなくなった下山歩道の状態の方がむしろ心配だったけれど、一部危険箇所もあったものの総じて道の劣化は無し。道標も十分で、むしろテンションは上がった。さすが東海自然歩道のモデルコースだと思う。

――旅館の建物の前を進む。

潜戸橋
道標の示す先、潜戸橋を渡れば温泉街
湯の山温泉バス停
湯の山温泉バス停

潜戸橋を渡って、湯ノ山温泉に到着。AM10:37。


 


バス停の指導標
バス停に立つ指導標
湯の山温泉バス停
湯の山温泉バス停

湯ノ山温泉駅から歩いて2時間半、それも標高578mのところまで行って返して来たわけだから、「峠1つ越えた秘境温泉の地」の錯覚が生じてもおかしくない。

ところが、目の前にはマイカーがバンバンと走り抜け、観光客や家族連れの賑々しい光景。どう見ても普通の観光地だ。錯覚はリセット。

涙橋
涙橋。泪橋、では無い
湯の山温泉駅
御在所ロープウェイ湯の山温泉駅

涙橋。橋を渡る前に、コースを外れてロープウェイ駅まで上がってみる。階段をフウフウ言いながら上る。結構遠い……。

到着――思っていたより客は少ない。子供達は夏休みの最後の週末。親に写真を撮ってもらったりしている。

自販機で飲み物の補充だけして、涙橋に取って返す。15分ほどの寄り道だった。

階段
階段
埋もれた道標
埋もれた道標
御在所ロープウェイ
御在所ロープウェイ

涙橋を渡って左折。旧道の路地を進む。すぐに現われたのは急階段。

上り切って、いったん車道に出たものの、横断するとまた階段。辛い。先ほどのロープウェイ駅寄り道が結構なアルバイトだったので、体力が回復していない。


 


日溜り
日溜り

階段の上で右折、雰囲気のある路地を進む。

大石橋
大石橋とあずま屋
三岳寺
三岳寺

途中、三岳寺に立ち寄る。今度はコースのすぐ脇。

さらに山へ向かって進むと大石公園。その名の通り、川の脇に大きな石がある。

大石公園
大石公園。渓流プールがあって、水浴びも出来る
樹間の道
樹間の道

この橋の袂の道標は、御在所山も指し示している。だけど、東海自然歩道はここが湯ノ山のコース最高点。橋を渡って、道は下り始める。

山道。心地良い散策道。


 


御在所ロープウェイ
ロープウェイにはカモシカの銘
道標
マークが浮き彫りされた道標
蒼滝
蒼滝。赤っぽいけど蒼滝。

AM11:26、蒼滝に到着。

涼しげだけれど、すでに多くの人が良い場所に陣取っている。やや遠くから涼をとって、さらに進む。

せゝらぎ
「せゝらぎ」
るりばし
「るりばし」

川を木橋で何度か渡りながら高度を下げていく。


 


蒼滝駐車場
蒼滝駐車場
あかねばし
「あかねばし」

車道に出た。脇には東海自然歩道“菰野町湯の山地区”案内図。手書き然としたアバウトなものだ。

……にしても、アスファルトに出ると一気に気温が上がるような気がする。そろそろ昼時だ。

山道入口
湯の山水産センター前にある山道入口
鈴鹿ハイウェイ
鈴鹿ハイウェイと併走。鳥居道地区案内図あり

水産センター前から再び山道に入る。木陰がありがたい。

この道は鳥居道というらしい。遅れを取り戻すため小走りで進む。ただ、意外とアップダウンがある。途中でダウン、道の真ん中で小休止。

菰野富士分岐
菰野富士分岐。展望台まで0.8km
草
見事に活けられた……わけでは無い
階段
林間の階段を上がる

夏も盛りを過ぎたし、高度が少しあるので涼しいのではないかという考えは甘かった……。

考えてみれば標高300~500m、気温は下界から2~3℃しか変わらない。


 


鳥居道駐車場
鈴鹿ハイウェイの鳥居道駐車場
鈴鹿ハイウェイを潜る
鈴鹿ハイウェイを潜る

あずま屋とベンチが現われた。鈴鹿ハイウェイのすぐ脇で、駐車場もある。

ハイウェイをトンネルで潜って向こう側に出る。

おおるりばし
「東海自然歩道」「おおるりばし」
希望荘と菰野富士
希望荘と菰野富士を振り返る

希望荘前にもコース案内図。久し振りに菰野町のものではなく、従って「1350km」という距離も書いてある。

暑くて堪らなくなってきた。再び山道へ。

かけすばし
「井戸ヶ谷」「かけすばし」
せせらぎ
沢はせせらぐ――

峠越えの道。登りだ。ここは踏ん張りどころ。

上空は雲で覆われてしまう。

風越峠
風越峠。標高は530mほど
笹の道
笹の道

PM0:56、風越峠に到着。

越していく風は――無い。冷たい飲み物が恋しい。


 


アジサイ
8月のアジサイ
沢
珍しい石敷きの沢

さて、下山だ。

コース案内図
イラストのコース案内図。迂回路も示される
沢
沢はだいぶ太くなった

体が楽になると、今度は日の光が欲しくなる。もう、今日は晴れることはないのだろうか?

葉の間から見える空は、どうしようもなくどんより。

飛び石?
ちょっとした小川を飛び石で渡る
飛び石
朝明(あさけ)川の飛び石

朝明川の飛び石。

もちろん、今日は増水時の迂回路を取る必要なし。ぴょん、ぴょんと渡る。


 


水無バス停
季節運行の水無バス停と公衆トイレ
朝明川
朝明川

朝明川を渡り切って車道に上がる。県道762号だ。ここからは下界に向かって下る。

県道762号
県道762号
菰野の平野
菰野の平野が見える
なわだるみ
なわだるみ堰堤

車道歩き。ただ、ただ下る。交通量はほとんど無いものの、蒸し暑い。

なわだるみ堰堤の駐車場
なわだるみ堰堤の駐車場
三重県民の森
グリーンランドあさけとその駐車場

PM1:53、三重県民の森に到着。

到着、と言っても左手の緑の山がそれだ。施設があるのは、まだ少し先。

先のコースへ進む→

東海自然歩道 ≫

三重県民の森・尾高観音 ≫