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上養沢バス停~養沢鍾乳洞~日の出山(902m)~御岳山(929m)~滝本駅~御嶽駅

上養沢バス停
上養沢バス停
養沢川
養沢川とともに北へ

AM1:24、上養沢バス停。

バスには乗らず、御岳山へ向かって歩き出す……と書くと、随分遅い時間からのハイクに見えるけど。実際は今日のハイクの後半戦が始まったところ。既に午前内に大岳山に登って来た。

上養沢は南北に伸びる谷に張り付いた集落で、今の時間帯はちょうど日が当たっている。明るい山里風景を見ながら歩いていると、すっかり下界に戻って来た気分になるけど、これから高低差520mほどを登らなきゃいけない。

上養沢集落
上養沢集落の北の端
白石
沢の石――

やや上り坂となった。足に蓄積された疲労が感じられたので、歩行ペースを少し落とす。

――急がなければ疲れた足でも1山ぐらいは越えられる、というのがこれまで長距離自然歩道歩きをして得た経験。しかも今日のコース終点はJRの駅だ。焦ることはない。

集落が尽きたようだ。左右が木々が立ち並ぶ。養沢川は直ぐ近くにあって、水の流れる音が聞こえてくる。

――鳥の鳴く声。

ツミ
捕らわれのツミ
林道
林道
枯れ葉
黄葉……というか枯れ葉

喧しく啼いている。しかも同じ場所でだ。喧嘩?

音源は左手、落石防止の金網の下の方から聞こえてくる。近寄ると鳴き声が止まった。寄ると――2匹の青い鳥。網に捕らわれている。と、小さい方の個体がもがいて金網の下から脱出、あっという間に飛び去って行った。

残されたのは体躯の大きな方。さて、どうしたものか。試しに網の下辺を掴んで手前に引き寄せてみる。と、突然、羽を激しくバタつかせた——―ものの、金網と土壁に挟まれながら横移動するのがやっと。


 


柿平園地便所
柿平園地便所の前に登山口
沢沿い
沢沿いの登山道

でもそちらなら、と金網の下を掴んで引っ張るとスポッと抜けた。地面にぶつかる直前、大きく羽ばたき横へ一直線に飛び去って行った。怪我は無いようだ。やれやれ。

歩きを再開。前方、道が左に曲がっていく突き当りに公衆トイレが見えて来た。その脇に道標。日の出山登山口だ。「養沢鍾乳洞0.5KM」に「養沢鍾乳洞は閉鎖中です」、「七代の滝」には「崩落しています」の標示が懸っている。

鍾乳洞の方角へ――

幅広の道
幅広の道も
石階段
石階段
養沢鍾乳洞
「養沢鍾乳洞は閉鎖してます」

すぐに沢沿いの道になる。深い林の中ながら幅のある道もあったりして、かつては鍾乳洞へ向かう賑わいの道だったのかも、など想像しながら進む。

……が、足の疲労は隠せない。息の切れる前に足が止まってしまうので、休み休み登る。この道は日の出山の南斜面に伸びる。日の光が背中から当たって少し暑くいくらい。

登山道が左に折れ、木橋を渡る。「養沢鍾乳洞」の解説板。その上が鍾乳洞の入口であった。小屋の朽ちた後だろうか、木屑が散乱している。ちょっと覗いておこうか――やめておこう。PM1:52。

一直線
一方的な登りとはこのこと――
丸木階段
丸木階段が始まった
ベンチ
鍾乳洞入口前。時の流れを感じさせるベンチ

鍾乳洞入口に朽ちかけたベンチ。

――昔は鍾乳洞に入るためにここで待つ人たちがいたのだろう。ベンチの前に開けた見晴らしがあったのかも知れない。

今は、ただただ深い林の中。日の出山登山道もここからが本番、と、気合を入れ直して歩きを再開。

ところが、ほどなく足が止まりがちになる。強敵が現れたのだ。眼前に伸び上がる丸木階段の「壁」。たまにしか山を歩かないのに、この運動強度は辛い……。

枝打ちされた律義な林。よく整備された植林帯は気持ち良いよなあ、などと思って気を紛らわしても、いくら進めど風景が変わってくれない。なんか無間地獄っぽくもある。


 


落葉樹帯
落葉樹帯になり、稜線が見えた
岩に刻まれた道
岩に刻まれた道
水平道
平らな道

その丸木階段を登り切った。目の前に現れたのは平な土の道――良かった。これが踊り場で、その先がまた階段であったらあったら挫けていた。

もちろん、道は相変わらず登り基調。でも緩急がついて変化も見られるようになってきた。樹木が薄れて稜線が見えたり、岩の道になったり。苦しんだ甲斐あって、だいぶ高度を稼いでいたようだ。

三枚
黄葉の生き残り…
稜線へ
ようやく金毘羅尾根の上へ――

同時に空気が冷えてきたのも感じた。冬だし、午後も2時を過ぎたし当然か。

もちろん、冬至を過ぎて1週間のこの時季に、午後深くになっても山頂に着いていないのは普通に考えれば黄信号。あと2時間もすれば暗くなり始めるのだし。現に上養沢を発ってこちら、ハイカーには一人も出会っていない。

再び深い樹林帯。稜線に取り付くための最後の登り。焦りを感じないのは下山が車道歩きであることを知っているから。ここは山だけど東京都でもある。

関東平野
金毘羅尾根から関東平野西部への見晴らし
麻生山
麻生山(794m)。金毘羅尾根の先に見える
巻き道分岐
右に進む。直進は御岳山へ向かう巻き道

――着いた、金毘羅尾根の稜線だ!

今日初めて関東平野がスッキリ眺められた。そして、スッキリした青空。朝は雨雲が重く垂れ込めていたけれど予定通りの挽回。PM2:15。


 


日の出山登山口分岐
左折して上がる。右は「Tsurutsuru Onsen」へ…
三方向道標
ここは直進。左折は御岳山への巻き道
二車線の丸木階段
どこまでも続く丸木階段。中央分離帯が…

さて方向は……地図が無いので道標頼り。このまま日の出山中腹を巻くように東へ、か。山頂と逆方向だけど。

眺めの良い巻き道を進む。光景は一変していて、前後にハイカー、さらにMTB乗りまでいて賑やかにさえ感じる。どうやらここはメジャーコースのようだ。

ものの5分でつるつる温泉分岐。コースは……背後の短い階段か。登って今度は……左折。ほらみろ、この方角はほとんど引き返しじゃん。

またもや丸木階段上りとなった。でも今度のは複線になっていて広い。なによりも傾斜が緩いので段差が低い。疲れ切った足でも歩を止めず登っていける。ありがたい。

山頂直下
山頂直下。あと少し…
日の出山山頂
日の出山(902m)山頂。特に東京方面への見晴らしがよい

――陽射しが横から当たる。日没が近づいているのを感じさせる。自然に足は急く。ここが残りの足の使いどころ。

十字路。山頂直下の周回道? これがある山は結構観光地なのだけど。岩の階段を登って……PM2:34、日の出山山頂に到着。

――待ちに待った大展望!と思ったら、山頂は広くて山並みの上っ面しか見えない。しかも木も生えていて視界も欠けている。それでも、今日イチの展望地であることは間違いない。

日の出山から西北西
日の出山から西北西。手前、左端の御岳山(928m)~大塚山(920m)。挟まれるように鷹ノ巣山(1737m)。右に伸びるのは東京都・埼玉県境尾根

 


青梅扇状地
青梅扇状地。多摩川のグリーンベルトが中央から右に伸びていく。上右端が狭山丘陵
あずま屋
山頂のあずま屋。関東平野の見晴らし台
日の出山園地便所
日の出山園地便所。山頂直下にある

あずま屋から僅かに東に進むと関東平野への大展望が開けた。

……のだけれど、やや霞んでいて都心やスカイタワーまでは無理か。朝だったら見えただろうなあ。

さて、撤収。日が暮れるまで眺めていたかったのは山々だけど、そうも言っていられない。それに風が吹き抜けるので汗が冷えて寒い。

大展望に背を向け山頂を後にする。方角は西。東雲山荘の手前で左折し、下りの山道となる。

鳥居
武蔵御嶽神社の鳥居
岩
フラットな区間も多い
縦走路
御岳山へ向かう縦走路

テンポよく下っていく。踏み固められていて歩きやすい道。きっとハイカーが多く歩く道なのだろう。今は誰も見かけないけど。

やがて傾斜も緩み、路面もフラットになった。気持ち良く下ってきたは良いけど、ここからは高度差150mの登り。鳥居をくぐる。


 


西日
深い林に西日が射し込む
山楽荘
国民宿舎・山楽荘の前に出た

緩い上りとなった。緩い……のだけど足の疲労はピークでペースが落ちる。下っているうちに少しは疲労回復するだろう、と見込んでいたけれど甘かった。どうやら回復力も予想以上に落ちているようだ。

と、いつの間にか道が広くなっていて、軽自動車でも走れそうな幅に。と、石の路面に出た。右に建物。どうやら着いたようだ。前方に建物も見えて来た。これが御岳山の山上。武蔵御嶽神社と、その門前町がある。

目抜き通り
いきなり目抜き通りに??
自販機
じゃじゃ丸ポップコーン(自販機)
駐車場
駐車場と上り坂。郊外住宅地の雰囲気?

コンクリの小道を進む。急な上り坂を喘ぎながら上り切ると御師集落の外れに出た。建物に取り囲まれる。御岳山案内図があって、「ここより神社まで約10分」――まだ10分あるのか。足、動かないのだけれど。

武蔵御嶽神社鳥居
武蔵御嶽神社
川乗山
川乗山(1363m)
参道
今日最後の階段

たぶん、ここがメインロード。ただ、時間が遅いのか休業しているのか空いている店は無さそう。参拝客の姿が無いのは今が年末だからだろう。今年は初詣ではなく年末の幸先詣でを、とも言われているけれど。

大鳥居前。参道の階段が上へ向かって伸びている。階段はもう見るのも嫌という気分だけれど、これが正真正銘、今日最後の登り。

足を階段に差し出す。なにしろ今日の最大の見どころがこの武蔵御嶽神社。寄らないで進むという選択肢はない。

日は傾き、山影になった山道は薄ら寒い。参拝客が数人、階段を軽快に上がっていく。……こちらは見るからに重い足取り。数段上がっては止まって喘いでいる。病人のようで、情けない。


 


拝殿
武蔵御嶽神社・本社
神獣
拝殿には様々な神獣がせめぎ合っている…
本社本殿
本社本殿と「柱」
御岳山山頂
御岳山(928m)山頂。大口真神社が建つ

本社の前。とりあえずお賽銭。来年は良い年になりますように。

そして本社の脇へ。より高い場所に向かってしまうのはハイカーの習性。ただ、見晴らしがスッキリと開けるところは無さそうだ。この御岳山より少しだけ低い日の出山が本コースでのベストビューポイントであることが確定。

小さな社の脇に山頂碑が立っていた。高度は928m。その奥の奥宮遥拝所から眺めると山の端に日が隠れようとするところだった。PM3:26。

奥宮遥拝所
奥宮遥拝所からの眺め
大塚山
左奥、大塚山(920m)へと延びる稜線。右下に御師集落
表参道
旅館や土産物屋が軒を連ねる表参道
神代ケヤキ?
コースに復帰。樹齢千年という神代欅

ようやく下山か。下山――今日2度目のような気がする。

階段は使わず本社の横からスロープで下る。スロープと言っても急斜面の下りだけれど。こっちの方が見晴らしは良い。秩父の山並が眺められる。

そして再び大鳥居の前へ……と、ここで少し逡巡。予定ではもう少し御岳山観光的なことをするつもりだったのだけど。もう時間の余裕が無い。仕方ない。

土産物屋の並ぶ通りを抜けて突き当って左折。コース復帰だ。


 


古狸山
古狸山。「ワンちゃんと一緒に入店できます」
埼玉方面
埼玉方面への展望

神代ケヤキを見ながら細い路地を下りていく。このあたり、自然歩道の道標は見当たらないので、道標でケーブルカー駅が示される方向を選んで進んでいく。

――それにしても高度800mであることを忘れれば普通の集落のように思える。こういう高地での日常生活はどういうものなのだろう?

御師集落
普通の住宅地のよう…
東馬場
茶処・東馬場

遠方を見ると、山の上部や関東平野にはまだ燦々と日が当たっている。世界最大級の都市圏を遠く眺め下ろしながらの生活か。夜景はさながら光の海なのだろう。

下り坂が続く。ケーブルカー駅に向かう参拝客が何人か歩いている。足取りはゆっくりなので追い越して進む。なにしろこちらは帰りの電車の時刻が差し迫って来たのだ。平坦な道で助かる……と思ったら上り坂。きつくはないのに、ペースはガクンと落ちる。

植林
ケーブル駅と表参道の分岐。右へ
表参道
表参道を下る。ただの林道のようにも…
直木
杉は直木。名の通り真っ直ぐ

茶処や宿坊の建物を見ながら進む。営業している気配はない。次に御岳ビジターセンターが現れた。しかし、そこにも「臨時休館のお知らせ」。理由は「感染拡大防止のため」。今年一年、これには本当に振り回され続けた。

集落を外れて深い林に入ると、道が二股に分かれた。直進はケーブルカー駅、右は「滝本駅2.8km JR御嶽駅 5.7km」

右に進む。表参道。

だんごどう
「だんごどう」
御岳登山鉄道
御岳登山鉄道のケーブル軌道が横切る

タッタ、タッタと駆け下る。疲れてはいても、まだ下りの足は残している。それに都合16:52の列車に乗らなきゃいけない。残り5.7kmに対して1時間11分。ゆえに走る。

……でも、この道で合ってる?ケーブル駅経由の先に道が無かったっけ? 不安に駆られて足を止める。スマホを取り出してみたけれどアンテナは立たない。どちらにしても、この道を行くしかない。

途中には「だんごどう」「なかみせ」などの史跡が現れる。表参道を大勢の参拝客が上り下りしていた頃の名残り。


 


杉並木
杉並木。迫力がある
ろくろっ首
ろくろっ首、という小道
二の鳥居
二の鳥居
ケーブル滝本駅
ケーブル滝本駅

ジグザグに車道を下っていく。両脇には杉の大木が並び、ただでさえ薄暗い時間帯なのに、さらに鬱蒼さを増している。杉には番号札。

そして下りの足も尽き、走れなくなる。まだ距離を残しているけれど、貯金作ったのでなんとか間に合って欲しい。

下方に駐車場が見えて来た。ケーブル滝本駅も見える。鳥居をくぐって、ケーブル駅前へ。ちょうどケーブルカーが到着したところで、駅口から乗客がパラパラと吐き出された。

せっかくなので駅舎に入ってみる。小狭い空間に乗り場と土産物屋が並んでいた。今年の売り上げはがた減りだろう。まだ今日の歩きは終わっていないけど幾つか見繕って土産物を購入。

駅前に戻って道標を確認する。御嶽駅まで2.8km。残り時間は……30分。

夕暮れ
薄暗くなってきた
都道201号
都道201号を下っていく
夕雲
夕雲

再び車道を駆け下る。下りの足も使い切ったと言っただろうに……。左側にケーブル下バス停。もちろん、バスを使って駅まで行くという手もある。全線歩き通すという縛りを科していなければ……。

いちおう下り坂だけれど傾斜は緩やかなので、あまり長く走ってられず、走っては歩き、歩いては走りを繰り返す。歩道のある個所は少ないけれど車通りもほとんどない。山の端には赤く染まった積雲。


 


御岳集落
御岳集落
一の鳥居
一の鳥居。都道45号と交差

次第に歩いている時間の方が長くなっていく。もうスタミナはすっからかんだ。周囲にはようやく民家がポツポツと現れ始めたところ。

――遂に走れなくなった。もはや時速5km程度の速度しか出ない。前半走ったものの貯金はほとんど作れていない。果たしてこれで間に合うのか……。と、バスが背後から追い越していった。

赤い鳥居をくぐって交差点に出る。さて、ここからは多摩川を越えてから駅に進むコース取りと思ったのだけど……。

吊り橋
吊り橋を渡る
多摩川
多摩川の上流域、御岳渓谷部

キョロキョロ見回すものも道標は見当たらない。その代わり「←御岳渓谷 御岳駅 近道」の標示が。

選択の余地はない。渓谷に向かって小道を下る。と、吊り橋が現れた。渡る。左右には多摩川の滔々たる流れ。思ったより「渓谷」では無かったけれど、ここは名水100選の地。

渡り切ったところに三方向道標が立っていた。渓谷遊歩道を通って御嶽駅へは1.1km、車道に上がって駅へ向かう「近道」は0.8km。選択の余地は――


渓谷遊歩道分岐
渓谷遊歩道を往く……時間は無し
国道411号
国道411号・青梅街道

――ない。なにしろ電車が来るまであと10分。1.1kmの道を選択する手は無い。自然歩道のコースは渓谷遊歩道の方に違いないのだけど。

車道に上がる。青梅街道だ。走るのは無理なので歩き出す。方角は東、精いっぱいの歩行速度。

夕暮れ時を迎え、国道には車の往来が多かった。歩道が分離されていないので、車がスピードを落とさず走ってくるのが気障り。

御嶽駅前
御嶽駅前の交差点が見えた
JR御嶽駅
JR青梅線・御嶽駅

カーブの先、信号機が現れた。御岳郵便局前。駅はまだまだ先。

さらに進む。道は緩くカーブしていて先が見通せない。と、道が真っすぐになって前方が見通せた。信号機が見えている。あそこだろうか。

最後の力を振り絞って歩いていく。けっこう長いこと長距離自然歩道歩きをやっていながら、なんで未だにこんなにギリギリな歩きを続けているのだろう?と、疑問に思いながら。

近づいてきた信号機は――「御岳駅前」。横断歩道を渡って駅に上がる。到着はPM4:49。電車の来る僅か3分前であった。


御嶽駅=(JR青梅線)…

御嶽駅ホーム
御嶽駅のホーム
青梅行き列車
青梅行き列車が到着

ICカードをタッチして改札をくぐる。そして階段を上り、駅のホームへ。休日の夕方ともなれば平時ならハイカーの姿が大勢見られることだろう。でも、今日はホームに人の姿自体が少ない。

電車が来ない。少し早く着き過ぎたか、なんて思っていると列車がホームに滑り込んできた。時刻通り。

車内は空いていた。初めて乗る青梅線だけれど、車両は都心の通勤電車と変わらない。あまり地方に来た感が無いのは、やっぱり東京都だからか。

名代焼きまんじゅう
名代焼きまんじゅう。ちなみに1個502kcal
東京行き列車
青梅駅で東京行き列車に乗り換え

車内で滝本駅で買った饅頭を頬張る。とにかくカロリー補給しないと身体が持たない。

外はすっかり暗くなっていた。青梅線沿線に街灯りは少ない。腹が膨れると眠くなってくるのだけれど、乗り換えの青梅駅までは15分。寝ている暇はない。

――青梅駅に着いた。ここは既に関東平野の一角。中央線の東京行きに乗り換える。東京駅からたった1回の乗り換えで到達できる稀有な長距離自然歩道コース……


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杉の木陰のみち ≫