南アルプスは塩見岳。標高3,047mは日本百名山では9番目の高さ。全体では16位です。
白峰三山の北部、荒川・赤石・聖の周遊コースが人気の南部と比べると、この塩見岳が属する真ん中の山域はマイナーといえるかも知れません。北部や南部から縦走してくるにしても1週間とかの日数が必要、単峰登山するにしても長すぎるアプローチ、となかなか大変な山です。
個人的には、ちょこっと突き出た双つの小さな耳がかわいいと思うのですが……双耳峰というには、あまりにも小さ過ぎるにしても。
ちなみに、その2つの峰の西側が三角点のある西峰で、もう一方の東峰の方が高く、3,052mあります。それでも、山の高さの順位は変わりませんが。
そして、山頂は南ア中部唯一の3,000m峰であるおかげで、絶好のビューポイントとなっています。北方には白峰三山と仙丈・甲斐駒が王国を形成しているかのように並び立ち、南方には荒川岳が他の主峰を隠し立てするよう聳え立つ――
南アルプスの真ん中にいるんだ、ということが実感でると思います。
ちなみに、私が登ったのは一度だけ。9月上旬という中途半端な時期でしたが、ハイカーの姿はちょこちょこ見られました。鳥倉林道のゲート前駐車場からの日帰りピストン……ハードな行程でした。
塩見岳から富士山を見よう!
長野側から登っていくと、巨大な塩見岳の山体に邪魔されて富士眺望は山頂到達まで無いように思えますが――実は、途中の本谷山が富士山の見える山です。ただし、塩見岳南斜面に見切れるように覗いているだけなので、意識してないと見逃します。
一方、塩見岳から間ノ岳方面への縦走路上にも富士眺望はあります。ただ、このあたりの森林限界線は高度2,600m程度。縦走路の峰々は標高2,600~2,700mなので、ピークでは眺望が得られるものの、その間では森林に没してしまうことも多いと思います。一方、二軒小屋へ至る登山道では高度2,000m以上が可視範囲となります。ただ、こちらも実際に見えてくるのは徳右衛門岳より上部になるでしょうか……。
もちろん、塩見岳の山頂からはバッチリの(死語)富士展望――言うまでも無く。
塩見岳を日帰りで歩こう!
日帰りコース | 所要時間 | (登り/下り) | 累積高度 | 登降ピッチ | |
---|---|---|---|---|---|
1. | 塩見新道入山口駐車スペース~大黒沢出合~船窪の肩~休憩広場~権右衛門山~山頂 (1,234m) |
13時間25分 | 7時間55分 | +1,912m -99m | +242m/h |
5時間30分 | -348m/h | ||||
2. | 鳥倉登山口バス停~三伏峠~本谷山~塩見小屋~山頂 (1,784m) |
13時間45分 | 7時間35分 | +1,857m -594m | +245m/h |
6時間10分 | -301m/h | ||||
2' | 鳥倉林道ゲート前駐車スペース~鳥倉登山口(以降2.と同じ) (1,630m) |
15時間15分 | 8時間25分 | +2,017m -600m | +240m/h |
6時間50分 | -295m/h | ||||
3. | 塩川ルート林道ゲート前駐車スペース~塩川小屋~三伏峠~本谷山~塩見小屋~山頂 (1,136m) |
17時間45分 | 9時間55分 | +2,223m -312m | +224m/h |
7時間50分 | -283m/h |
コースを4つ挙げていますが、2.はバス利用前提なので、バス運行時間帯により日帰り山行の選択から外れます。また、塩川ルートもコースタイム・標高差より日帰りは難しいでしょう。それに、2011年夏には本ルートは通行止めになっていました。
というわけで、塩見岳で日帰りを狙うとしたら、実質、塩見新道入山口からか鳥倉林道ゲート前からかの2択となります。どちらもコースタイムは13時間半前後、累積標高差は1,900~2,000mと大して変わらず、日帰りとしてはかなりハードであることも変わりません。違いは、前者が直登に近いのに対して、後者は稜線に早く出て、いくつかの峰を登降しながらアプローチする、ということでしょうか。展望を期待するのなら後者です。
なお、鳥倉林道は舗装されたキレイな道で車を走らせやすいです。車止めゲート前には20台の駐車スペースと簡易トイレもあり、マイカー登山には最適。但し、走らせやすいと言っても対向車とのすれ違いには気を使いますし、距離も相当あります。
一方、塩見新道入山口に至る三峰川林道ですが、2010年に崩落により通行止めになり、2013年に至るも解除されていないようです。現況は不明。
以上、すべて長野県側からのアプローチとなります。静岡県側から日帰り出来るようなルートはありません。