

南アルプスは白峰三山の真ん中の山。標高は――14/04付けで1m高くなって、3,190m。なんと穂高岳と並ぶ日本第3位の高さになってしまいました。実際に高くなったわけじゃないんですけどねー。
間ノ岳はとにかく、山らしい大らかな山容で重量感があります。山頂もそのスケールに合わせる様に広く、また、全方位へ素晴らしい眺望を持っています。頂上付近には雪田が遅くまで残り、初夏にはそこにお花畑が広がります。それだけを見ると単独で登られても良い山なのですが……。
ところが実際のところ、歩かれるのはほぼ確実に北岳とワン・セット。さらに農鳥岳を合わせた白峰三山縦走が人気となると、間ノ岳は名の通り縦走途中の「間の山」。通過点として通り過ぎる山となっています。「日本で3番目に高い山はなーんだ?」という山オタ判別クイズができるかも知れません……。


もし「この山に登る」のであれば三俣小屋~野呂川越~三峰岳~山頂、のコースでしょうか。登山道でそういう人にも会いました。ただ、帰りに広河原に戻る途中、北岳を通過するそうです(笑)
私はこの山へは二度。広河原からの北岳・間ノ岳ピストンと、両俣小屋からの白峰三山縦走途中。――前者は、広河原までマイカーが入れた頃の話。今では広河原からのピストンなんて、体力的にとても無理です……。

間ノ岳から富士山を見よう!


元々、白峰三山縦走路は富士山が見放題であって、気にすべきは天候ぐらいです。(夏であれば、どれだけ朝早い時間に縦走路上に出られるかが勝負)
もちろん、白峰三山縦走路の中央に位置する間ノ岳付近で富士の見えないところはありません。北は中白根山から南は農鳥岳まで、節操無いくらい良く見えてくれます。山頂から西に進めば間ノ岳自身に隠され見えなくなりますが、それもお隣の三峰岳まで進めば再び見えてくるようです。と言うわけで、富士を探す楽しみが無い、なんて贅沢なことも言いたくなります。
ただし、見え方としては北岳のそれとほぼ一緒。近景の大唐松山の位置がずれるくらいでしょうか。

間ノ岳を日帰りで歩こう!
日帰りコース | 所要時間 | (登り/下り) | 累積高度 | 登降ピッチ | |
---|---|---|---|---|---|
1. | 広河原バス停~大樺沢~八本歯ノコル~北岳山荘~中白根山~山頂 (1,514m) |
12時間20分 | 7時間30分 | +1,819m -143m | +243m/h |
4時間50分 | -376m/h |



日帰りは、かなり厳しい山です。
――広河原から八本歯ノコル経由(北岳山頂は非経由)間ノ岳までのピストンで、コースタイムは12時間20分。もし日帰り間ノ岳を狙うなら、このコースしか無いと思います。
ところが、夏場に芦安駐車場から山梨交通バス:広河原行き始発に乗り、早朝に広河原に入ったとしても、広河原から帰りの芦安駐車場行きバス最終便が出るのは、その10時間49分後……収まりません。
軽量な日帰り装備なら、もう少し早く歩ける人もいると思います。それでも、帰路にお決まりの雷雨に遭ったりなんかするとアウト。こういう物言いしか出来ないのは残念ですが、広河原一泊を考えるべきでしょう。


私も、広河原へのマイカー規制が無かった時代にしか日帰りが出来ていません。その時には、中白根山から間ノ岳の3,000m稜線でヘロヘロになった記憶が残っています。なにしろ、標高差1,450mを登り切った後の南ア稜線縦走ですから、体力はかなり奪われます。細かなアップダウンが辛いことでしょう。
ですので、もし間ノ岳日帰りをチャレンジする場合、下山で足が動かなくなることが無いようペース配分を良く考えながら歩く必要があると思います。特に八本歯ノコルあたりは険しいので、往路の際に復路のことを意識して危険箇所チェックをしておくべきでしょう。くれぐれも、バスの時間に合わせようと急いで下山し、疲労転倒することのなきよう――。
