
南アルプス最北の山、甲斐駒ヶ岳。
カイコマ、カイコマ、と呼び倣わされる人気の山。標高は3,000mには僅かに及びませんが、それでも花崗岩の岩峰としては日本最高峰。各地に散在する「駒ヶ岳」という名の山の中でも最高峰です。

南アルプスのメジャー山岳。北沢峠へは山梨側、長野側双方から登山バスが伸び、そういったアクセスの良さもあって老若男女わりと気軽に登るようです。もちろん、それなりの体力と気力が要求されますが。
そしてこの山はポジショニングが素晴らしく、山頂から全方位に景観が開けます。――北アルプス、中央アルプスは隠し立てされるものなくスッキリ見え、八ヶ岳は山の全容が手に取れるかのよう、鳳凰三山は見下ろす形で富士山と共に眺められ、北岳・仙丈の大きな山体の合間から南アルプスの峰々が遙か遠くまで連なるのが見透かされる、と言った感じ。


私がこの山に登ったのは一度だけです。
入梅前の6月上旬、根性の黒戸尾根日帰りピストン。積雪が少ない年を狙ったおかげで、最後まで雪に煩わされずに済みました。


甲斐駒ヶ岳から富士山を見よう!


手前にちょうど鳳凰山があるので、富士眺望はすっきりとはしません。
北沢峠から登っていくと、駒津峰あたりから鳳凰山の右に見え始めます。甲斐駒山頂で極大に達し、黒戸尾根へ進むと今度は鳳凰山の左に沈み始めます。七丈小屋よりさらに下ると、森林帯に没して眺望は失われます。
他には、摩利支天でなんとか見える程度。


甲斐駒ヶ岳を日帰りで歩こう!
日帰りコース | 所要時間 | (登り/下り) | 累積高度 | 登降ピッチ | |
---|---|---|---|---|---|
1. | 北沢峠~双児山~駒津峰~六方岩~山頂 (2,036m) |
7時間10分 | 4時間20分 | +931m -0m | +215m/h |
2時間50分 | -329m/h | ||||
2. | 北沢峠~長衛小屋~仙水小屋~仙水峠~駒津峰~六方岩~山頂 (2,036m) |
7時間25分 | 4時間20分 | +1,064m -133m | +246m/h |
3時間5分 | -345m/h | ||||
3. | 尾白渓谷駐車場~竹宇駒ヶ岳神社~笹ノ平~前屏風ノ頭~刀利天狗~七丈小屋~山頂 (772m) |
14時間40分 | 9時間10分 | +2,339m -150m | +255m/h |
5時間30分 | -425m/h |



ほとんどのハイカーが北沢峠から登るようです。北沢峠から双児山・駒津峰経由の直登コースで登り4時間20分、下り2時間50分。標高差1,000mで、それだけ見れば日帰り登山にはお誂え向き。
ただし、北沢峠へのアクセスは登山バスのみとなります。詳細は仙丈ヶ岳のページを参照してください。結論を言えば、日帰りで許される行動可能時間は8時間ないし9時間ほど。足の早い人なら、仙水峠経由のコースを片道に使っても良さそうです。ただ、人気の山なので道の渋滞が気になるところではありますが……。ちなみに、山頂付近の急斜面の砂礫歩き(白世界!)は足許が滑りやすく、それなりにシンドイので気力は必要。
そして、北沢峠からのコースとは別に、甲斐駒にはじっくりと歩けるオプションコースもあります。駒ヶ宇神社を起点とした黒戸尾根コースです。距離8.5kmで標高差は2,200m、コースタイムは14時間40分という登り甲斐のあるロング・コース――


というわけで、黒戸尾根は通常は日帰りコースではありません。登りのコースタイムは(日帰り装備前提では)甘めの設定ですが、日本三大急登の1つと言われるくらいですから、自分の体とよく相談してからチャレンジ。尾白渓谷駐車場に車を止めて登っていくので、バスの時刻を気にする必要が無いことがメリットです。
ちなみに、コース上ににほとんど登山者の姿を見掛けない……と思っていましたが結構歩いていました。道も十分に広くてきれいですし、コース上は展望も恵まれています。