
中央アルプスの最南端の山。太平洋湾岸部の濃尾平野から、その長細い山体が良く見えます。
――地味、と言っては失礼ですが……地味です(笑)。森林境界から脱しない山ですので、日本アルプスらしさは皆無。岩稜帯も無いので、印象は「図体のでかい里山」と言ったら、さらに失礼でしょうか。



昔は神坂峠からの登山道しかなかったのですが、その後、駐車場のある黒井沢口からのルートが再開通、また川上からの前宮ルートも復活して、ルートが選べるようになりました。
前宮ルートは、川上集落にあるウェストン公園から始まります。集落を抜け、恵那神社を抜けて沢を渡ると山道。ざっと20合目まであります。標高差1,620mのせいか、人の姿は滅多に見掛けませんでした。恵那山の山深さを感じたかったらこちらでしょうが、山頂がとても遠く感じることは確かです。ほとんどが林の中ですので。
ただ、南アルプスを越えて富士山が見えるだけの高さを持つ貴重な山でもあります。


一番人気は黒井沢ルート。駐車場のある登山口から山頂まで標高差1,000mほどで、お手軽。道には変化があり、上部では展望も開けます。こちらの道では何十人とすれ違いました。
他の登山ルートには、神坂峠ルートおよび広河原ルートが存在するようですが、詳細は不明。

恵那山から富士山を見よう!


山頂部は長細く、かつ、富士山の見える高度を保っています。しかも、前に聳える南アルプスの峰々を一緒に捉えられるという絶好のポジション。残念ながら見えるのは富士山の山頂だけですが、それでも数ある百名山の富士眺望の中で、恵那山のそれは独特のものがあります。
ただし、この山の山頂部は樹林帯で、富士を見るためにはその樹林の切れ目を見付ける事が重要です。一番の展望ポイントは山頂避難小屋の背後にある岩場でしょうか。気付かずに通り過ぎないよう意識しておくことが必要になります。それと避難小屋から山頂に向かう途中にも、一瞬、樹林が切れて窮屈ながらも富士が見えるポイントがありました。
展望の良い黒井沢登山道の上部からもギリギリ見えます。このコースを下山に使えば、上河内岳稜線に富士山の姿が沈んでいく“消え富士”が楽しめます。
なお、神坂峠の北に富士見台という地名がありますが、そこから富士山は(計算上)見えません。可能範囲は1,820mピークより南。

恵那山を日帰りで歩こう!
日帰りコース | 所要時間 | (登り/下り) | |
---|---|---|---|
1. | 広河原駐車場~広河原登山口~山頂 (1,153m) |
不明 | +1,065m -27m |
2. | 黒井沢駐車場(登山口)~野熊の池~山頂 (1,174m) |
6時間30分 | +1,091m -74m |
3. | 神坂峠駐車場~鳥越峠~大判山~神坂峠分岐~山頂 (1,565m) |
9時間20分 | +877m -221m |
4. | 恵那山ウェストン公園前バス停~前宮登山口~物見の松~神坂峠分岐~山頂 (548m) |
11時間40分 | +1,680m -37m |





マイカー利用であれば――
黒井沢登山口から登るのが最速。駐車場までの車道もほぼ舗装されており、キレイです。雨後などは落石注意ですが……。一方、標高1,569mの神坂峠に車を置いてピストンするルートもあります。コースタイムは、ちょいと長いのですが登山口を早発ちすれば日帰り可能かと。ただし、峠までの峰越林道の状態は要確認。よく通行止めになるそうです。
広河原ルート、こちらも登山口に駐車場のあるマイカー利用日帰り向きのコースのようですが……詳細不明。
電車・バス利用であれば――
JR中津川駅からバスに乗り、終点の恵那山ウェストン公園から登って行く前宮ルートがあります。見晴らしの悪い尾根をひたすら上がる辛抱のコースで、日帰りにした場合は帰りのバスの時間に注意。私もバス利用でウェストン公園から登り、下りは黒井沢ルートを使ったのですが……。黒井沢登山口からウェストン公園へ戻る高度差600m・9kmほどの林道歩きは、時間不足で「走る」羽目になりました。