
――北アルプスは常念岳。安曇野を象徴する山。
台風の去り際、まだ雨が残っているタイミングで登り始めたのですが、予想的中、森林限界を越えたころから見事に晴れ渡りました。当然ながら空気も澄み、北ア・中央ア・南ア・八ヶ岳、見える山はすべて見えると言っても過言ではなかったのですが……富士山だけが、見えない! 南方は、まだ台風の厚い雲の渦の端っこに掛かっていた模様。(チクショウ、雲ってやがる! 早過ぎたんだ!)
と、それはともかく。
常念岳は北アルプスへの絶好の展望台、ということに異論を唱える人はいないでしょう。穂高連峰と梓川を挟んで対峙するポジショニングは、もちろん槍・穂高を間近に望むことが出来ますが、それだけでは無く、燕岳・大天井ヶ岳を越えて鷲羽、薬師、水晶、立山、剱、鹿島槍、白馬と北アルプスの主要な山々が一望のもと。南を見れば乗鞍、木曽御岳、東を望めば雨飾、火打・妙高、浅間、赤城、八ヶ岳、そしてもちろん富士山が視界の裡です。この山が森林限界を超えた鋭鋒であることも、この展望に貢献しています。
ちなみに、常念岳から蝶ヶ岳の稜線を辿るコースは北アルプス大展望コースとして一級品であるだけではなく、道としても素晴らしいと思います。常念から恐る恐る下る、左右の切れ落ちた岩場の急下降。いったん樹林に入り、オタマジャクシの遊ぶ小さな池を過ぎ、蝶槍も越えると、やがて稜線は広くなだらかになっていき――アップダウンも消え、辿り着いた蝶ヶ岳&蝶ヶ岳ヒュッテでは大勢の人が思い思いの場所で展望を楽しむ光景。
――平和感の演出。





常念岳から富士山を見よう!

眺望の山であるからにして、富士山もよく見えます。南アルプスを右に配して、ちょうど高い山稜がない位置取りとなり、裾野から結構見えます。
また、前常念への山陵線からも見えます。前常念の一等三角点からの富士山は、赤石岳のそれと並んで三角点マニア(?)には堪らないポイントであることでしょう。
南側、常念岳から蝶ヶ岳への山稜線上では、ほぼ見えっぱなしです。フラットな蝶ヶ岳二重山稜の脇に富士山を配するのも一興。
北側へ下っていくと常念岳自身に隠され、見えなくなりますが、常念乗越を過ぎて、高度2,500mを越えたあたりからまた見えてくるようです。

常念岳を日帰りで歩こう!
日帰りコース | 所要時間 | (登り/下り) | 累積高度 | 登降ピッチ | |
---|---|---|---|---|---|
1. | ヒエ平(駐車場)~笠原~常念乗越~山頂 (1,270m) |
9時間15分 | 5時間20分 | +1,596m -9m | +299m/h |
3時間55分 | -407m/h | ||||
2. | 三股ゲート前駐車場~三股~前常念岳~山頂 (1,280m) |
11時間50分 | 6時間40分 | +1,578m -1m | +237m/h |
5時間10分 | -305m/h |




安曇野に正面にあって槍穂への絶好の展望台、ということでアクセス容易と思いきや――
日帰りはマイカー登山のみ可能、時間的にも厳しい、というものになっています。基本的に上高地から蝶ヶ岳を経由して、大天井や燕岳へ縦走する途中の山なのでしょう。
最短はヒエ平から。谷間を長々と上がるコースなので、北ア稜線に出るまで展望は効かないでしょう。

実際には、三股からのコースが良く使われているようです。三俣・常念・蝶ヶ岳で三角形のコースを描いていることからも、利便性のほどが分かります。
もっとも、ヒエ平からのコースと高度差が同じにも拘らずコースタイムが長い設定から分かるように、厳しい道のりです。三股からは標高差800mを一気に登りますが、樹林帯で視覚変化が少なく我慢の歩きが強いられます。その後、いったん勾配が緩むものの、前常念の斜面に取り付くと今度は岩石帯の急登。――ここから展望が一気に開けるので、そこまでの我慢です。
