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(山行年'03)

常念岳じょうねんだけ

(2,857m)

常念岳
秀麗な常念岳~前常念のスカイライン。蝶ヶ岳下より

――北アルプスは常念岳。安曇野を象徴する山。

台風の去り際、まだ雨が残っているタイミングで登り始めたのですが、予想的中、森林限界を越えたころから見事に晴れ渡りました。当然ながら空気も澄み、北ア・中央ア・南ア・八ヶ岳、見える山はすべて見えると言っても過言ではなかったのですが……富士山だけが、見えない! 南方は、まだ台風の厚い雲の渦の端っこに掛かっていた模様。(チクショウ、雲ってやがる! 早過ぎたんだ!)

と、それはともかく。

常念岳は北アルプスへの絶好の展望台、ということに異論を唱える人はいないでしょう。穂高連峰と梓川を挟んで対峙するポジショニングは、もちろん槍・穂高を間近に望むことが出来ますが、それだけでは無く、燕岳・大天井ヶ岳を越えて鷲羽、薬師、水晶、立山、剱、鹿島槍、白馬と北アルプスの主要な山々が一望のもと。南を見れば乗鞍、木曽御岳、東を望めば雨飾、火打・妙高、浅間、赤城、八ヶ岳、そしてもちろん富士山が視界の裡です。この山が森林限界を超えた鋭鋒であることも、この展望に貢献しています。

ちなみに、常念岳から蝶ヶ岳の稜線を辿るコースは北アルプス大展望コースとして一級品であるだけではなく、道としても素晴らしいと思います。常念から恐る恐る下る、左右の切れ落ちた岩場の急下降。いったん樹林に入り、オタマジャクシの遊ぶ小さな池を過ぎ、蝶槍も越えると、やがて稜線は広くなだらかになっていき――アップダウンも消え、辿り着いた蝶ヶ岳&蝶ヶ岳ヒュッテでは大勢の人が思い思いの場所で展望を楽しむ光景。

――平和感の演出。

常念岳山頂
常念岳山頂。穂高連峰の涸沢カールを覗き込むかのよう…
常念岳近々景
前常念~常念の稜線は一直線だが、最後だけちょい曲がる
槍ヶ岳山稜
山頂より、立体模型のような槍ヶ岳山稜への眺望。左端は大キレット、右端は鷲羽岳
二重山稜
蝶ヶ岳の二重山稜。山稜の頂が左手にずり落ちた跡
蝶ヶ岳山頂
平らな蝶ヶ岳(2,677m)山頂。蝶ヶ岳ヒュッテが建つ





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常念岳から富士山を見よう!

蝶槍より富士
蝶槍まで南下してようやく富士が雲間から顔を出してくれた。右の鋭鋒は(例によって)甲斐駒ヶ岳

眺望の山であるからにして、富士山もよく見えます。南アルプスを右に配して、ちょうど高い山稜がない位置取りとなり、裾野から結構見えます。

また、前常念への山陵線からも見えます。前常念の一等三角点からの富士山は、赤石岳のそれと並んで三角点マニア(?)には堪らないポイントであることでしょう。

南側、常念岳から蝶ヶ岳への山稜線上では、ほぼ見えっぱなしです。フラットな蝶ヶ岳二重山稜の脇に富士山を配するのも一興。

北側へ下っていくと常念岳自身に隠され、見えなくなりますが、常念乗越を過ぎて、高度2,500mを越えたあたりからまた見えてくるようです。

常念岳から南東/100mm
常念岳から南東方向の見晴らし。松本盆地から甲府盆地を手前における秀逸な構図。f=100mm相当

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常念岳を日帰りで歩こう!

日帰りコース所要時間(登り/下り)累積高度登降ピッチ
1. ヒエ平(駐車場)~笠原~常念乗越~山頂
(1,270m)
9時間15分5時間20分+1,596m
-9m
+299m/h
3時間55分-407m/h
2. 三股ゲート前駐車場~三股~前常念岳~山頂
(1,280m)
11時間50分6時間40分+1,578m
-1m
+237m/h
5時間10分-305m/h
三股ゲート前駐車場
三股ゲート前の駐車場。トイレもあり
石室跡
前常念岳の石室跡。この上、一等三角点がある
樹林帯
三股からの登山道を登る。朝の樹林帯
岩稜帯
前常念の手前で森林限界突破、岩稜の急登に

安曇野に正面にあって槍穂への絶好の展望台、ということでアクセス容易と思いきや――

日帰りはマイカー登山のみ可能、時間的にも厳しい、というものになっています。基本的に上高地から蝶ヶ岳を経由して、大天井や燕岳へ縦走する途中の山なのでしょう。

最短はヒエ平から。谷間を長々と上がるコースなので、北ア稜線に出るまで展望は効かないでしょう。

常念小屋分岐
常念小屋分岐は岩稜とハイマツの世界。見えるのは、大天井ヶ岳、東天井ヶ岳、横通岳

実際には、三股からのコースが良く使われているようです。三俣・常念・蝶ヶ岳で三角形のコースを描いていることからも、利便性のほどが分かります。

もっとも、ヒエ平からのコースと高度差が同じにも拘らずコースタイムが長い設定から分かるように、厳しい道のりです。三股からは標高差800mを一気に登りますが、樹林帯で視覚変化が少なく我慢の歩きが強いられます。その後、いったん勾配が緩むものの、前常念の斜面に取り付くと今度は岩石帯の急登。――ここから展望が一気に開けるので、そこまでの我慢です。

松本盆地
山頂から南東方向に松本盆地~甲府盆地が見晴らせる。中央の山塊は八ヶ岳、右端は南アルプス。左手前に前常念、右手前に鍋冠山

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