
四阿(あずまや)の屋根のような端正な三角形の山――
と、いうのは長野盆地から眺めたイメージ。実際、登ってみるとそれはこの山の「一面」に過ぎないことを知ります。実際、嬬恋からは"四阿"には見えず、吾妻山(あがつまやま)と呼ばれます。
特筆すべきはアクセスの良さ。


イメージ的には長野の山。長野盆地から端正な三角形の山容を眺める機会が多いからでしょうか。
実際は長野・群馬県境の山です。群馬県を仮に鶴の飛ぶ姿とみれば、その尾っぽの先端に位置します。じつは長野盆地より東には四阿山より高い山は燧ヶ岳と日光連山しかありません。このため山頂からの眺めは素晴らしく、浅間連峰、富士山、奥秩父、八ヶ岳、中央アルプス、霧ヶ峰&美ヶ原、北アルプス、頸城山塊、志賀高原、草津白根山、日光連山、赤城&榛名山と全方向の素晴らしい展望。
なお、麓からはなだらかで単調な山容に見えますが、稜線に登るとこの山が巨大なカルデラを抱える火山であることが分かります。四阿山、根子岳、浦倉山などカルデラ稜線を縦走するのが醍醐味。


なお、カルデラ壁の北側は破れていて、そこからは日本の滝100選・米子大瀑布が流れ出ています。奇妙山(1,629m)の独特の眺めもあって、こちらも四阿山の一面であることは確かでしょう。
一方、小根子岳の一帯もまた開放感が素晴らしく、雰囲気があるところです。一等三角点も



とは言え、四阿山と言えば牧場のイメージでしょう。メジャーな登山口が菅平高原にあり、牧草地で草を食む牛の群れを見ながら登っていくのは牧歌的と言えるものです。その牧草地越しに雪を被った北アルプスの山々を眺めると、ここが日本であることを忘れてしまいます。
菅平高原は何十面ものグラウンドが並ぶスポーツのメッカでも。

一方、群馬側は高原野菜のイメージになるかも知れません。そう、四阿山山頂から嬬恋高原への展望も見どころの1つ。
山頂は長野側と嬬恋側の2か所に分かれます。そこから嬬恋高原の向こう、榛名山の脇から関東平野の都市群を認めることが出来れば、ここが関東最果ての地であることを実感するかも知れません。
四阿山から富士山を見よう!


四阿山山頂から富士山は見えることは見えますが、浅間連峰の存在感が大きすぎて富士山は「添え物」になっています。距離も100kmを超える超遠望の富士ですので気象条件の見極めは重要です。四阿山はアクセスが良く登山道もよく整備されているのでチャレンジはしやすいでしょう。
なお、根子岳や中四阿からも見えるようです。菅平高原からの登山道で言うと高度2,100mを越えたところから見え始めます。浦倉山からも計算上は見えますが樹林帯ですので狙うとしたらスキー場最上部からでしょうか。
なお、私は9月に2度、この山を登っています。ただ、1回目は山頂部が雲の中で、2回目は浅間連峰の向こうが雲の中でした。3回目のチャレンジはあるのでしょうか……。
四阿山を日帰りで歩こう!
日帰りコース | 所要時間 | (登り/下り) | 累積高度 | 登降ピッチ | |
---|---|---|---|---|---|
1. | 嬬恋ゴンドラ山頂駅~山頂 (2,040m) |
3時間35分 | 1時間55分 | +395m -86m | +206m/h |
1時間40分 | -237m/h | ||||
2. | 菅平牧場駐車場~小四阿~中四阿~山頂 (1,590m) |
5時間25分 | 3時間10分 | +806m -47m | +254m/h |
2時間15分 | -358m/h | ||||
3. | こもれび広場登山口駐車場~避難小屋~根子岳~山頂 (1,490m) |
7時間35分 | 4時間5分 | +1,042m -187m | +255m/h |
3時間30分 | -298m/h |




たおやかな斜面を登って下れば日帰りに丁度良く、難度も適度。
……ですが、私は捻くれて菅平を出て山頂をパスし、浦倉山を引っ掛け、米子不動方面を経由して戻ってくる周回コースを採りました。しかし、これが結構苦労。標高差もありますが、なにより道が藪でふさがれルート・ファインディングを要求してきます。北面の道に入ってほどなく道が埋もれ気味になった時には、コンパスで方角を探りつつ登山道の名残がある藪道を強行突破、なんとか米子不動分岐点に到達しました。幸い、そこから根子岳北肩に登る道は比較的明瞭で、日没ぎりぎりで下山できました。
2度目は上田駅から菅平高原ダボスバス停へ至り、中四阿経由で登って小根子岳経由で下りました。このバスの便が比較的多いことで首都圏からの日帰りも可能な山となっています。もちろん、新幹線は始発で。


一番人気と思われるのは菅平牧場の駐車場から根子岳経由で登るコースだと思います。入場には(歩行者もですが)¥200必要です。
最短コースは嬬恋ゴンドラ山頂駅からピストンするコース。群馬側から登りますが、マイカーが必要となります。運行時期にも注意。

