
奥羽山脈最南端は、この山。那須岳。
関東地方の最北端にあって、東北自動車道や東北新幹線で首都圏から日帰り出来るという交通の利に加え、山容は多彩、高山植物は多様、眺望も雄大――
“完璧超人”に近い山、という印象がありますが、茶臼岳を除けば落ち着いていて、お気に入り。




熊見曽根付近より見た流石山・大倉山・三倉山のカールして行く緑の稜線がとても優美で喩えるなら竜の尻尾のようだと思ってみると、じゃあ三本槍岳は名からして竜の角、岩峰の朝日岳は竜の頭、噴煙を上げる茶臼岳は竜の口、そこから南方に延びる幾つかの尾根は竜の髭ってことになるかな、すると円形の火山湖・沼原池はさしずめ竜の持つ玉――。
そのように想像を膨らましてゆけるほど様々な山塊が寄り集まって、この那須連山は構成されています。那須五山と言われるのは茶臼岳、朝日岳、三本槍岳、南月山、黒尾谷岳ですが、登山道は甲子山や流石山にも伸びていきます。
従って、ロープウェイ山頂駅からの茶臼岳往復、もしくは三本槍岳往復で事足れりとしてしまうのは余りにも勿体ありません。時間をたっぷり使って周遊すべき山、と感じました。オススメは姥ヶ平と三斗小屋温泉です。もっとも、大峠から三斗小屋温泉への下り口は藪っていて歩き辛かったですが。





那須岳から富士山を見よう!

なんと言っても、距離220km以上隔てた超遠望の富士山。そうそう簡単に撮らせては貰えません……といつものパターンと思いきや。
数々のラッキーが重なって見事捉えてしまいました。三本槍岳山頂に到着してすぐ撮影したのですが、その1分後には湧き上がった雲に飲み込まれてしまいましたので本当に刹那のチャンスでした。
なお、日本百名山からの富士眺望としては、この栃木・福島県境の三本槍岳が北限となりますが、百名山に限らなければ福島県の阿武隈山地に幾つか、富士眺望の得られる低山があります。

那須岳を日帰りで歩こう!
日帰りコース | 所要時間 | (登り/下り) | 累積高度 | 登降ピッチ | |
---|---|---|---|---|---|
1. | 峠の茶屋駐車場~峰の茶屋跡避難小屋~朝日の肩~熊見曽根~清水平~三本槍岳山頂 (1,465m) |
4時間55分 | 2時間40分 | +572m -134m | +215m/h |
2時間15分 | -254m/h | ||||
2. | 駒止の滝駐車場~北温泉~中の大倉尾根~北温泉分岐~清水平~三本槍岳山頂 (1,135m) |
5時間 | 2時間50分 | +871m -98m | +300m/h |
2時間10分 | -400m/h | ||||
3. | ロープウェイ山頂駅~峰の茶屋跡避難小屋~朝日の肩~熊見曽根~清水平~三本槍岳山頂 (1,685m) |
5時間30分 | 2時間50分 | +497m -272m | +175m/h |
2時間40分 | -186m/h |
H21/3/31 噴火警戒レベル1、活火山であることに留意
■気象庁 火山登山者向け情報 ≫







日帰りの山です。首都圏から、日帰り圏内。車やバスで容易にアプローチできます。
そしてロープウェイで楽々登山――と言いたいのですが、こと三本槍岳登山に関してはロープウェイ利用は考えどころです。なにしろコースタイムで見ると、峠の茶屋駐車場のみならず、ずっと下の駒止の滝駐車場から登り始めるよりも時間が掛かるのですから。
もっとも、累積標高差で比較すると、やはりロープウェイ利用に利があります。森林限界線の上から歩き始められるというメリットもあり、有力な選択肢です。
一方、駒止の滝駐車場からのコースは山を登りたい、という向きには良い選択と思います。三本槍岳直行の静かなコースですし、途中には露天風呂のある北温泉もあります。ただし、コースタイムが300m/hのペースで設定されていますので、やや健脚向きと思います。
他にも2、3日帰りコースが見つかりますが、詳細は不明。
