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日本平

- 富士と松原と -

 

【踏 行 日】2023年11月下旬

【撮影機材】OLYMPUS OM-D E-M1markⅢ, M.ZD8-25F4, M.ZD40-150F2.8

…静岡駅~日吉町駅-(静岡鉄道)-古庄駅~草薙駅
【アプローチ】前回到達した古庄駅から歩き再開。旧東海道に絡みながら3駅分進む
草薙駅~草薙神社~日本平-(日本平ロープウェイ)-久能山東照宮~久能海岸
★★★ 草薙神社から丘陵に上がり緩やかなハイクコースに繋げる。日本平は絶景の地。その後、ロープウェイ区間
久能山下~三保松原~清水灯台~真崎
★★☆ 駿河湾を見ながらひたすら東進、松原に変わると富士山を正面に目指しながらのウォーキング
三保のりば-(水上バス)-江尻のりば~清水駅…
【帰路】水上バスで清水駅までショートカット

…静岡駅~日吉町駅-(静岡鉄道)-古庄駅~草薙駅

谷津山
新幹線の車窓から谷津山の山稜を見る。静岡駅付近
静岡駅
朝の静岡駅ホーム

時期としては晩秋なのに……と、新幹線の車窓を眺めながら思っていた。目にする紅葉が少ない。今年は秋が暖かく、そして夏は格別に暑かった。

静岡駅に到着。北口から地上に出る。つい1ヶ月前に来たばかりなので戻って来た感がある。前回とは逆にここから新静岡駅へ歩いて向かう。

……のだけど。駅前に横断歩道が無いではないか!

静岡駅
静岡駅
国道1号
国道1号は現代の東海道

地下道を使って横断せよ、ってことだろうけど。駅舎を目にして異国感(異国じゃないけど)を得る派にとっては地上から歩き出したいのだ、なんて内心呟きつつ。

駅前の国道1号を東へ。だいぶ歩いて、ようやく横断歩道があった。渡る。

新静岡駅からだいぶ遠ざかってしまった。じゃあ、もう隣の駅へ向かおう、と適当なところで右折、さらに東へ。

早くも郊外のような雰囲気。政令指定都市とは言え静岡市は南アルプス南部まで含む大所帯。そういえばリニア新幹線の工事阻止している知事がいる県だっけ。

けいおん!(古い)のような二連踏切。

日吉町駅
静岡鉄道・日吉町駅。こじんまりしている
バンダイホビーセンター
バンダイホビーセンターのガンダム

――渡る。日吉町駅に到着。改札を潜ると既に電車がホームに侵入していた。停車して扉が開く。先頭車両に乗車。

座席が半分ぐらい埋まっていた。今日は祝日。スーツ姿の乗客はほぼおらず。

東に向かって電車は走る。車窓にはチラチラと谷津山の山体。前回、この上を歩いたのだなあと懐かしむ――ほど時間は経っていない。

7分ほどの乗車時間。古庄駅に下り立つ。

古庄駅
古庄駅
古庄
古庄

踏切を渡り南側へ――と、ここが前回の離脱点。夜に辿り着いたけれど今は朝。秋にしては強く感じる陽光が降り注いでいる。印象がガラリと変わった……わけでもない。普通の町中。

しかも、ここは東海自然歩道でも無い。次のコースは3駅先の草薙駅から始まる。とまれ歩き繋ぐのが目的なので、ここから歩行再開。

信号のある国道1号との交差点。横断歩道渡り、斜めに交差した旧道へ進む。


 


雲の多い今日の空
まだ雲の多い今日の空
まるちゃんの静岡音頭
「まるちゃんの静岡音頭」

騒がしい国道1号から離れ、一気に静かになった。歩いていくと旧東海道の標示が現れる。意識しているわけじゃないけど用宗からこちら、旧東海道と絡むことが多い。

大谷川を渡る。直ぐに東海道本線に沿って進むように。

北村地下道
北村地下道で東海道本線を潜る
旧東海道記念碑
旧東海道記念碑

地下道が現れた。線路の向こう側へ抜けられるようだ。じゃあ、と、潜る。ちなみに草薙駅まで歩く道は事前には決めていない。雰囲気まかせ。

地上に出る。旧東海道記念碑が立っていた。いったい、旧東海道の何を記念したものだろう?

周囲は住宅地へと変わっている。そのまま斜めに進み、交差点を渡ると県総合運動場駅が現れた。……まだ1つ目か。ゆっくり歩き過ぎたか。

県総合運動場駅
静岡鉄道・県総合運動場駅
波雲
波のような雲。海風によるもの?

県道407号に合流。車の往来の多い2車線道だけれど、もう選択肢は無さそうだ。歩道を早足で進む。

前方、建物の合間からチラチラと富士山が現れるようになってきた。

――今日は終日富士山が見えることを期待してやってきた。この時期に歩きに来たのは、そういうことだ。東海自然歩道の本線歩きでは叶わなかったこと。もう15年も昔の話だけれど……。

静岡鉄道と富士山
静岡鉄道の進む先に富士山が聳える
県立美術館前駅
静岡鉄道・県立美術館前駅

県立美術館前駅を通過。県道歩きも飽きたので静岡鉄道の線路脇の車道を進む。この鉄道はわりと引っ切り無し。

草薙駅に到着した。左に曲がり踏切を渡った先がJR草薙駅。東海自然歩道静岡支線・日本平コースの起点。

 

草薙駅~草薙神社~日本平-(ロープウェイ)-久能山東照宮~久能山下

草薙駅前の二連踏切
草薙駅前の二連踏切
「考える犬」
JR草薙駅と「考える犬」

AM10:04、JR草薙駅南口を出発。針路は南。まずはスクランブル交差点を渡る……といっても一車線。

草薙駅を右に見て静岡鉄道の踏切を渡る。

草薙神社大鳥居跡
草薙神社大鳥居は2020年に撤去
天皇原公園
天皇原公園前を南に向かう

そのまま県道407号に出て左折。見えてきたのが草薙神社の大鳥居――

いや、見えてこない。県立美術館前で見た日本平ハイクコース案内図では大鳥居の写真があった。なのに現地に大鳥居は無い。一本先? いや、そんなわけないし。

訝りながら右折。前方にはハイカー姿の人たちが歩いているし、この車道が草薙神社に向かうのは間違いない筈……。

ホオズキ
鬼灯ことホオズキ。まだ緑
郊外
駅から離れるにつれ緑が増える
日本平ハイクコース
東海自然歩道&日本平ハイクコース道標

思ったより車の往来が多い。直線なので結構なスピードで走ってくるのでやや気に障る。

一方、風景は郊外のそれになってきた。用宗駅から草薙駅までのコース無指定区間、出来るだけ緑の多いところを選んで歩いて来たものの、いかんせん静岡市中心部。それが、ここまで来てようやく自然歩道に戻って来たような感覚に。

道はごく緩やかに上っていく。

――汗が出てきた。秋にしては陽射しが強い。もちろん、そんなわけはなく単に気温が高いだけ。あまり気温があがると空気が霞んで富士山が見えなくなるのだけど、と、心配になってくる。少し歩くペースを上げるか。

だんだんと空間が狭くなってきた。と、東海自然歩道の道標が現れる。用宗で途絶えていた東海自然歩道バイパスコースの道標。


 


草薙川
二級河川・草薙川。海の反対方向へ流れる
草薙神社鳥居
草薙神社鳥居

草薙川に沿って進む。上り坂の勾配がやや増してくる。道は右に大きくカーブ。

里っぽい雰囲気へと変わった。イチョウの木も黄葉し青空によく映えている。ようやく秋らしい光景に。

そして現れたのは草薙神社の鳥居。

横断歩道を渡り鳥居をくぐる。脇に立つ日本武尊像を見て、伊吹山山頂のより随分と凛々しいな、なんて思う。

草薙神社拝殿
草薙神社拝殿。ヤマトタケル伝説の地
日本武尊像
日本武尊像

短い階段を上る。と、こじんまりとした境内に出た。樹木が濃く生い茂って静寂に包みこまれている。

クスノキの御神木(すごい形!)や「龍勢煙火」の展示があるものの、サイズ的には普通の集落付きの神社、という感じだ。参拝客もいなかった。AM10:28。

とりあえず木陰で一休み。まだ序盤。先は長い。

草薙神社通り
草薙神社通りへ戻る
日本平入口
日本平まで3.0km50分と示される

車道へと戻って再び歩き出す。針路は西へと変わっている。信号のある三叉路。ここは左。

二車線の車道をさらに進む。前方に高台となった住宅地が見えて来た。

そういえば会社に出身が草薙と言っていた後輩がいたっけ。日本平側と言っていた気がする。自分の勤務地が変わり、長いこと会えていないけれど、再会出来たらもう一度聞いてみよう――

丘陵
草薙川に別れを告げ、日本平への丘陵地帯へ向かう

T字路があって、その角に角柱の道標が立っていた。ここを左折するようだ。

草薙川を短い橋で渡る。すると、いかにも丘へと上っていきますというような坂道に。

――上る。少しずつ高度を稼ぎ、背後の住宅地がだんだんと遠ざかる。自然歩道始まったな、という感じ。まだ車道歩きだけれど。

それでも気持ちよく上っていく。


 


コース案内図
東海自然歩道バイパスコース案内図
柿

左手前方、東海自然歩道のコース案内板が立っていた。まだ真新しい。

見ると、草薙駅から「現在地」を経て久能東照宮に至り、さらに三保松原を経て終点は三保真崎が示されていた。公式では久能下止まりなので倍ほど違う。ネット情報と現地情報が異なるのはわりと良くある話。

もちろん、今日はハナから真崎まで歩く予定。果樹園とビニールハウスの合間を一直線に上っていく。

稜線道入口
高度110mほどの峠。ここを右折
ススキ
ススキと茶と果樹園を見る稜線道

緩やかな上り坂から下り坂へと変わる小さな峠。そこに立つ道標を見て右折。

前後に歩く人の姿が目立つようになる。ハイカーというより、地元の人の散歩道という感じ。

と、左右に茶畑が広がった。茶畑が現れると一気に静岡県っぽい雰囲気になるのが不思議だ。

車道に当たる。その脇にハイキングコース入口。

茶畑と富士山
茶畑と清水平野、そして富士山。展望台から
日本平登山口
「日本平馬走ハイキングコース」。この上に展望台

上ると小さな展望台。草木が茂って視界が窮屈、なのだけど。茶畑越しにきれいに富士山が眺められた。今日は暖かいから空気が霞んで見れないかも、なんて思っていたので少しホッとする。

雪線は最も富士山らしく見える位置に。背後は薄雲で白っぽいけど、どうかこの天気のまま――


 


跨道橋
展望台と繋がった跨道橋
竹林
竹林から登山道がスタート

振り向くと薄暗い登山道。跨道橋の先に始まっている。

ここまで明るい道のりだったので、シーンが切り替わる。その橋を渡ると、竹林に押し込まれた空間に伸びる木階段。思いがけず登り甲斐のある道となった。これは少し頑張らねば、と思ったら――

ほどなく勾配が緩んでしまう。まあ、高さ300mにも満たない丘陵だし、仕方がない。

登り
ひとしきり登る
山道
やがて勾配はほとんど無くなる
壁
壁のような樹木――

木漏れ日の落ちる爽やかな道。照葉樹林帯で紅葉は見られないものの、まっとうなハイキングコースだ。基本的に登りだけれど勾配は長くは続かない。ならば時間を短縮しようと歩を早める。このまま最後まで山道が続けば良いけど、流石にそれは無いか。

前方にハイカーの人たちの姿。もしかして……渋滞している?

合流点
別のハイクコースと合流
アパート
車道に変わる。脇にアパートと駐車場

美術館コースと合流するとハイカーの姿が一気に増えた。それも高齢ハイカーでない、家族連ればかり。ハイクと言うよりピクニックだ。

と、いうわけで歩くペースはがた落ちに。道幅も広くなってきたけど、前方の団体を追い越していくほどでもなく。

道は舗装された車道となった。道端には研修施設やアパートなど建物がポツポツと現れるようになる。

日本平ホテル
日本平ホテル
柿100円
柿の無人販売。100円

木立も薄くなり日の当たった道となる。晩秋とはいえ正午近く、陽射しには暖かさがある。なるほど確かに絶好のピクニック日和。

大きな駐車場に沿うように道が左に曲がっていく。そちらに見える洒落た建物は――日本平ホテルか。曲がらず、直進して砂利の小道へ。

その先で真新しい車道に上がる。小道は横断した先にさらに伸びていく。先は短そうだ。


 


抜け道
登山道、というより抜け道
車道横断
車道手前に東海自然歩道バイパスコース案内板

道は直線。もはや公園の遊歩道を歩いているような雰囲気。というか公園だろう、ここは。

それにしても東海自然歩道なのに海へ向かって南に一直線、というのも不思議な感じがする。東京から大阪まで東西に横断するのがこの長距離自然歩道だからだ。太平洋には付かず離れずの。

もっとも、いま歩いているのはそのバイパスコース、しかもコース終点が岬という盲腸線。特殊といえば特殊。

日本平公園
登山道、というより遊歩道。日本平公園の区域
「日本平」入口
「日本平」入口。交差点は車多し

もう一回、車道を渡る。ここには東海自然歩道のコース案内板も立っている。

――自分が箕面から東海自然歩道を東へ歩き始めたのは18年前の「今日」だった。当時、静岡バイパスコースはまだ出来たばかり。

ところが、いま歩く道に立っている道標や案内板が「出来たばかり」のように新しいことが自分の中の時間感覚を混乱させている。18年の時よ、どこへいった……。

川崎屋
川崎屋。ショッピングモール?
日本平・三保の松原県立自然公園
ここは日本平・三保の松原県立自然公園の一角
電波塔を目指して
巨大な電波塔を目指して坂を上る

もう1本車道を渡ると「日本平公園」の案内板。まだ造成中の公園のようだ。東海自然歩道の道採りも示されている。

そして再度車道に出る。車の往来が多い。日本平のメインロードのようだ。横断歩道を渡ると大きな「日本平」碑銘。

――ここが日本平か。広大な駐車場に観光バスも止まっていて、まるで観光地のよう……って日本観光地百選なのだから当たり前。既に富士山も美しく見えている。勝負にはどうやら勝ったようだ。AM11:27。

狭っ苦しいところばかり歩いているのせいで足を向ける先に迷う。とりあえず――東展望台へ。富士山は良く見えるものの清水港は木々に隠されていた。もうちょっと高さが欲しいか。

それはそれとして天井を飛び回る何匹ものスズメバチが気になる。他の観光客は気付いてないようだけど。


 


「家康公が愛したまち」
「家康公が愛したまち」鷹と茄子も…
日本平夢テラスの真下
2018年完成の日本平夢テラス。まだ新しい
テラス
テラスへと上る――
富士山展望台
ここは富士山の一級展望台。夜景の名所でも

では一番高いところへ向かおう、と電波塔目掛け歩いていく。静岡平野のどこからでも見えるランドマークの電波塔。足元から見ると想像以上にデカかった。これまでに山で様々な電波塔を見て来たけれど、もしかしたら一番高いかも。

そして頭上を巡っている空中回廊――これが夢テラスか。夢を照らす、のもじり? 階段を上がって、そのテラス上へ。

……この展望はちょっとヤバいかも知れない。富士山の前景に海を配すのは盤石の構図だけれど、清水の町が白いのが良い。その左手には静岡平野が帯のように横たわり、その背後の緑の山々には東海自然歩道の本線が渡っている。なんか――東海自然歩道も集大成か、と。少し寂しいかも知れない。

半年前に歩いた満観峰も、この後に向かう三保半島も見えている。そんな風景を肴に、暫し憩う。

日本平から富士山
日本平から清水港、そして富士山(3,776m)、その左下から浜石岳(707m)~立花山(460m)~薩埵山(244m)
静岡平野
静岡平野。その奥の双耳峰は竜爪山(1,051m)で東海自然歩道本線が通っている

 


静岡市街
静岡市街中心部を遠望

テラスからは全周の展望が得られる。ただ、南側は木立が高く駿河湾はすっきりとは見えない。お隣のこんもりした森は有度山か。あそこにも行きたかったけど、どうやら道が無さそう。

それにしても行楽シーズン真っただ中、加えてこの天候ならもっと混み合っても良いのに、とも思う。外国人観光客もあまり見掛けない。真新しい施設だし、まだあまり知られていないのかも知れない。

日本平デジタルタワー
日本平デジタルタワー。高さ95.5m
三保半島
三保半島。日本平を削った土砂でが流されて形成された砂州
日本平夢テラス
日本平夢テラスは8の字型。電波塔も囲う

テラスは∞型、ずっと巡っていられるけど、そう言ってもいられない。テラスから吟望台へ進んで坂道を下り、西側の駐車場まで下りる。ロープウェイ日本平駅の前へ。

もちろん、歩いて海岸まで下りたい。自然歩道なのだし。でも今日はこのロープウェイを使う。公式設定されたコース。

音羽ないろ・久能あいら
鉄道むすめ、音羽ないろ・久能あいら
ロープウェイ駅
ロープウェイ日本平駅とバス停
駐車場
日本平ロープウェイ前駐車場

駅構内に入ると行列。それで自分が勘違いしていたことに気付く。久能海岸に車を停めてロープウェイで上がってくる人は少ない筈なんて思っていたけど逆、ここから久能東照宮に下りて参拝し戻ってくる、という需要がメインという。一種の「下り宮」。

片道切符を購入、最後尾に並ぶ。臨時便が出ていて運行間隔は10分に1本に。それでも15分ほど待って乗車。ゴンドラの中は人でいっぱいいっぱい。搭乗員もいる。


 


駿河湾
昼の駿河湾
ゴンドラ
ロープウェイで高低差120mを5分で下る
久能山駅前
久能山駅前。社務所がある

海側は本当に切れ落ちていた。緑に埋もれ掛かっているけど海蝕崖だ。どんどんと遠ざかっていく。急下降する高山のロープウェイに慣れていたのでちょっと新鮮。足元には紅葉も。

久能山駅に到着した。駅の階段を下るとそこが東照宮境内。普通ならロープウェイで「上がって」到達するような場所だけど、この先には階段しかない。しかも長大な……。

久能山東照宮・楼門
久能山東照宮・楼門
久能山東照宮・本殿
久能山東照宮・本殿。国宝に指定されている

東海自然歩道で鳳来山東照宮を訪れた時のことを思い出す。その道がここまで繋がっているのは結構凄いことだ。

――もっとも、これも逆。家康がこの地に埋葬され創建されたのがこの久能山東照宮。各地に東照宮が作られていくのはそれからのこと。鳳来寺東照宮を訪れた時には、未だそんなことは知らなかったけれど。

栄華
徳川一族の栄華を具現するかのような意匠――

参拝客は多く、むしろ日本平よりも賑わいがあるくらい。もちろん、狭い空間だからそう感じるのだろう。拝観料を収めて階段を上がる。

楼門を潜ると、さらに何段か階段があったる。境内は広くなく、いたって普通の佇まいの神社のようにも見える。石段や石灯篭には歴史を感じられるものの。

ところが唐門を潜って本殿に相対すると、世界が変わった。山の中に似合わないほどの絢爛豪華な装飾を施した本殿。この建物の周囲だけ光っているような錯覚さえ。

そういえば駿府城址の徳川家康像、こっちの方を向いていなかったっけ?建物を回り込んで廟門を潜り、その家康の廟所へ。


 


廟門
久能山東照宮を裏から見る。手前は廟門
参道
参道を下る。久能山自体が国の史跡

その廟所。木立に取り囲まれた静かな空間だ。宝塔が立っているけど久能山山頂へ向かう道は無さそうだ。この大きな木は……ええっと、金の成る木?

そんなところに気を惹かれたぐらいで引き返す。じっくり見回りたいところではあるけれど、まだ今日は行程の半分も歩いていない。先を急ぐことにする。

楼門を潜り返し、参道を下る。もちろん、ロープウェイ駅には戻らず、表参道の階段へ。

表参道
表参道は1159段の石段
久能海岸
久能海岸を見下ろす
伊豆半島遠望
駿河湾を挟んで伊豆半島が見える
湾曲
参道は湾曲しながら下って行く

すぐに広場があって、展望台になっていた。眼下に久能海岸、そして青々と広がる太平洋を見晴らす。相変わらず素晴らしい天候。

階段に戻り、下って行く。1000段以上あるとは言え1段1段は低い。ちょうど体重移動で駆け下っていくのにちょうどいい塩梅。ぶっちゃけ東海自然歩道の数々の「階段地獄」に比べたら温いもの。

それでも海を見晴らしながら下るのは爽快。海に臨むコースの良いところだ。

一ノ鳥居
一ノ鳥居が現れ、石階段が尽きる
久能山
久能下から久能山を振り返る

鳥居が見えて来た。わりとあっさり下ってしまった。高低差140mほどだし仕方がない。

土産物屋が立ち並ぶ通り。イチゴアピールがかなり目立つ。交差点まで進み――左折すれば久能山下バス停だけれど直進。前方には海が見えている。海沿いに走るのは国道150号。

信号が変わるのを待って交差点を渡る。そこに東海自然歩道のコース案内標識。左折が示されている。

ここは久能海岸。潮騒を聞きながら久能山を見返した。PM1:39。

先へ進む

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