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寧比曽岳

- 愛知コース最上の地へ -

 

【踏 行 日】2007年5月中旬

【撮影機材】OLYMPUS E-410, ZD14-54F2.8-3.5, ZD40-150F4.0-5.6, CASIO EX-P505

…名古屋駅=(名鉄)=知立駅=(名鉄)=猿投駅-(さなげ足助バス)-香嵐渓
【アプローチ】名鉄名古屋から知立まで、快速特急で20分。さらに猿投まで34分。バスは35分ほど
香嵐渓~安実京~有洞~山ヶ谷~平勝寺
★★☆ 紅葉の名所・香嵐渓を楽しんだ後は、安実京から平勝寺まで山里繋ぎ。後半は車道多く退屈
平勝寺~金蔵連峠~筈ヶ岳分岐~寧比曽岳(1,121m)
★★★ 山登りコース。林道交えつつ山道を上がる。寧比曽岳は愛知コース最高点で見晴らしもあり
寧比曽岳~大多賀峠~伊勢神-(稲武町営バス)-足助病院-(さなげ足助バス)-猿投駅…
【帰路】恵那コースに足を踏み入れ、山稜線を辿り伊勢神へ抜ける。バス二本を乗り継ぎ、猿投へ

…名古屋駅=(名鉄)=知立駅=(名鉄)=猿投駅-(さなげ足助バス)-香嵐渓

111
名鉄の快速特急、現在の速度は111km/h
知立駅
名鉄知立(ちりゅう)駅で三河線に乗り換え

歩き出したら、終点に着くまで逃げ道の無い今日のコース。人里離れた三河の山岳コースだ。

入念にシミュレーションしてきたと言え、ちょっと緊張しているかも知れない。――いや、昔は本当の山ハイクで、出発から到着まで交通機関が無いようなところを平気で歩き回っていた筈だ。そう考えると、今はちょっと甘えが出ているのかも知れない。

名鉄猿投駅
三河線終点・名鉄猿投駅
猿投駅バス停
さなげ足助バス・猿投駅バス停

そもそも、考えてみれば自然歩道と言っておきながら駅・バス停豊富なコースもどうかと思うので、こっちのが正解なのだろう――。そんなことを思いながら知立駅から名鉄三河線に乗り換え、三河の山の端へ向かう。

猿投駅に到着。駅から徒歩1分のバス停で、バスを待つ。ケータイを停留所の二次元バーコードにかざし、バスの現在位置を確認。ちょっと遅れている模様。

廃線
バスの車窓より、広瀬の三河廃線
香嵐渓バス停
香嵐渓バス停。豊田市役所足助支所前にある

バスがやってきた。乗り込む。

車窓の風景、広瀬の広梅橋を渡るあたりが懐かしい。ちょうど東海自然歩道と被っているからだ。三河広瀬廃駅も相変わらずそこに残っていた。この駅は時を超えていくのだろう――。

やがてバスは巴川の県道を軽快に飛ばす。あっという間に香嵐渓に到着。

降車。気温標示板があって19℃を示している。

足助神社
足助神社。隣には足助八幡宮が建つ
巴川
巴川。足助大橋に立ち寄って眺める

戻る方向に歩き始める。――前回、この地を脱してから、なにしろ10日しか経過していない。変わっているものがあろう筈が無い。

足助神社、足助八幡宮に立ち寄った後、国道153号の横断歩道を渡り、足助大橋まで進む。……と、「←東海自然歩道迂回路」の標示。前回、そんなものは無かったのに、これは何?

国道から分かれ、巴川左岸の道に入る。前回の脱出ポイントはすぐ。

 

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香嵐渓~安実京~有洞~山ヶ谷~平勝寺

ショートカットの入口
香嵐渓ショートカットの入口。バッテンが…
地道
ごく普通の地道。右手が山の斜面となる

……道標が10日前とは違っていた。進む方向、「香嵐渓0.3km」にガムテープでバッテンが付けられている。迂回路は、今歩いて来た車道だ。

うーん、こんな短期間に廃道になるような理由って一体……。チラリと覗く。草が多いけれど何も障害は無いように見える。

AM9:29、突入。理由が知りたい、という興味本位で。

宮町駐車場
左側には宮町駐車場。香嵐渓の観光駐車場
ビジターセンター分岐
3方向道標。ビジターセンターは20mの寄り道
水路
水路とともに進むが、この先で車道に合流

駐車場の角を掠めて方角を東に変える。木々の密集する普通の山道だ。ほとんど平坦、道の状態も悪くない。

やがて左側に広い駐車場が見下ろされるようになった。そこを過ぎると方角は南へと変わり、すぐに「香嵐渓」の標示の立つ分岐。ここまで、まったく問題は無い。

首を捻りながら先に進む。と、道は車道に下りて行った。合流、巴川沿いの車道に出る。

――良く分からない。一応、香嵐渓ビジターセンターに寄っておこうと車道を逆方向に歩き始める。

コース案内板
東海自然歩道コース案内板、1,343KMバージョン
香嵐渓ビジターセンター
香嵐渓ビジターセンター。観光案内など

すぐに到着。朝が早いせいか観光客の姿はほとんど無い。今は新緑シーズンなので、紅葉シーズンには比べ物にならないだろうけれど、それなりに人出はある筈だ。

道の脇には東海自然歩道コース案内板。「愛知高原国定公園」の文字がある。


 


香嵐渓の紅葉?
香嵐渓ビジターセンターの紅葉…
カエデのトンネル
青楓のトンネル
薫楓亭
薫楓橋付近より。薫楓亭は手作り豆腐の店

車道を歩いてコースへ戻る。

そして、コースの先へと歩き始める。早速、カエデのトンネルとなった。ただ、残念なことに光が足りない。今日は予報はそれなりの好天が出ていた筈なのだけれど、現時点ではどん曇り。景色もひたすら地味に見える。

それでも、これほどカエデ尽くしだと、ちょっとした異世界へのトリップ感がある。観光客の姿が無いことが大きいのかも知れない……。

旅館にしき荘を過ぎると、道は巴川とともに大きく左にカーブを切り始めた。このあたりの流域が「香嵐渓」とのこと。三州足助屋敷、香積寺のある核心部。ただ、車道を歩いている限り、カエデの葉に隠されて対岸はなかなか見えない。

川見茶屋
川見茶屋
巴川左岸の車道
カエデの区間が終わった先
巴川
巴川を見返す

駐車場を通過。「この先、駐車場はありません」とある。駐車車両は数台ほど。

薫楓橋を過ぎてさらに進むと、藁葺きの建屋が並んでいた。川見茶屋だ。東海自然歩道の「香嵐渓」解説板と、それとコース案内図もある。「吊橋を渡り香積寺、飯盛山城跡を1時間20分で周遊できます」とある。

……ぜひ周遊したいものだ。でも、今日の行動スケジュールでは、どう考えても1時間20分なんて捻り出せない。

香嵐渓の観光地区間もここまで。吊橋の香嵐橋を目にすることも無く、そそくさと先を急ぐ。


 


カエデと道標
愛知県区間なので道標の数は多い
カエデの若葉
カエデの若葉
若葉
なにかの若葉…

道脇のカエデの植え込みは終わり、ヒノキなどが目立ってきた。普通の道に戻ってきた。

それでも、時折、明るい黄緑色のカエデを目にすることもある。道は単調に続く。

平らな道歩きに飽きてきた頃に川端橋に到着。巴川を渡ると国道420号、鳳来寺道だ。この道も車で走ったことがあるけれど、記憶には全く残っていない。

川端橋
川端橋。対岸には中電・賀茂水力発電所
安実京
安実京(あじきょう)。国道420号が渡る

安実京とは一体、どんなところだろう?と思っていたけれど、民家と畑の普通の集落。特徴と言えば、水力発電施設があるくらいだろうか?

コース案内図の立つT字路を右折、40mばかりの国道歩き。今の時間、車の往来は皆無。

取り付き
ここで山の斜面に取り付く
細道
細道で高度を一気に上げる
アザミ
アザミ

頭上に立っていた3方向道標を良く確かめて、登りの道に突入する。道は一気に細くなり、背後には安実京の集落と巴川が見下ろせるようになる。

ここまで道がフラットだったので、ようやく歩き甲斐が出てきた。高度差80mくらいの一気登り――途中で1、2度小休止を挟む。


 


竹林
竹林を抜ける
有洞へ
有洞(うとう)へと続く車道
シャガ
シャガ

竹林を潜ると、上方に車道のガードレールが見えてきた。

そこに上がる。指導標が右折を指示し、再び車道歩きとなる。道は緩やかな上りだけれど、ペースを落とさずに進む。

――なにしろ、今日は平均時速3.5km/hが求められている。のんびりと散策などしていられない。

有洞のサワラ
有洞のサワラ。樹齢1,000年、高さ35m
薬師堂の石仏群
薬師堂の石仏群
有洞集落
有洞集落。山あいに水田が広がる

山あいの空間に水田が目立つ。高度は300mを超えてきた。

左側には民家が立ち並んだ。有洞の集落だ。やがて、前方に大木がまっすぐ伸び上がっているのが見た。薬師堂のサワラ――本当に高い。脇には石仏群。

薬師堂を過ぎて、さらに進む。道はうねって、高度をさらに上げていく。


 


サボテン
サボテンが道に溢れ出す…
カキツバタ
カキツバタ

民家も見られなくなり、深い林の中、淡々と距離をこなしていくだけになる。道脇にはシャガも咲いているけれど、他にあまり花は見られない。

左に白山神社を過ぎると、再び山あいの水田地帯に出た。

水田
水田地帯に出て右折
山ヶ谷
山ヶ谷(やまがい)の車道を往く

左側には民家が密集しているのが見えるけれど、ここは右折。さらに、右側に「白鳥山の石碑群 -遺跡の塚と展望台-」という標示が立っているのを見る。

――展望台まで0.3kmということでパス。普段ならそのくらいの距離だと寄り道するのだけれど、今日に限ってはパス。

石仏
石仏。道脇にポツンと佇んでいた
山道入口
山道の入口。ようやく車道から離脱
林と休憩ベンチ
林の中の休憩ベンチ

そういった数少ない見所も拾っていかないので、本当に退屈だ。道も単純に伸びていくだけ。今日の最大の見所は香嵐渓で、そこも一瞬で通過してしまったわけなのだから、仕方ないっちゃ、仕方ない。

そしてこのあたりは山ヶ谷という地区の筈なのだけれども、民家すら見かけない。道脇には林が続いていくだけ。

おまけに、空も一向に晴れてくれない。どんよりとして、雨が落ちてきても不思議では無い感じだ。今日はずっとこんな調子なのだろうか……。

と、左に水田が現われた。そして、指導標――林の中を指している。ようやく車道脱出か。


 


再びベンチ
再びベンチ。591mピーク付近?
さらにベンチ
さらにベンチ。過剰サービス?

林に突入。早速、愛知県お得意の休憩ベンチが現われた。喫煙・防火が考慮されているところが、昭和っぽい。

山道は幅は十分で歩きやすい。ただ、ヒノキの枝が枝打ちされておらず、少々気になる。歩く分には問題無いのだけど。

やがて勾配が増し始めて登山道っぽくなってきた。

林の道
林の道は続く。ここは右へ下りて行く
樹間
樹間から綾渡(あやど)の水田地帯が見える

再びベンチ。ここが591m付近だろうか? 見晴らしは無い。そのまま通過。

勾配は無くなり、下り気味になった。もう1つベンチを通過すると再びベンチ。通過。

スピードを上げて下っていく。今日は、下りは走ると決めているのだ。

綾渡高原
綾渡高原。かつては民宿村があったとか
広場の角
広場の角を右折

車道に出た。綾渡高原、と言われている地区の入口だ。高度は500mほど。

やや雰囲気が変わって、山あいに水田の割合が多くなっている。田植えの済んだばかりの田。

真っ直ぐ進み、ネットの張られた広場の角で右折。坂道を上がっていく。

観世菩薩像
2体の観世菩薩像
平勝寺へ
平勝寺(へいしょうじ)が見えてきた

小さい峠を越え、今度は下っていく。前方には綾渡の水田地帯。

――そろそろ平勝寺が見える筈なのだけど。いや、もしかしてアレか? スギの大木の下、石仏らしきものが並んでいるのが見える。

近づいていく。「←平勝寺」という標示があった。やっぱり、そうらしい。平勝寺に到着、AM11:53。


 


綾渡
豊田市綾渡町の標示
平勝寺山門
鳳凰山・平勝寺の山門は木立の中。かねかけ杉の胸高囲は6m。"鐘掛け"という意味
平勝寺境内
平勝寺境内。木造観音菩薩坐像は国の重文とか
解説板
解説板。平勝寺は別名・綾渡観音

平勝寺。寧比曽岳へ向かう最後の拠点、ではあるのだけど。山里の鄙びたお寺以外の何物でも無い。ここで暫し、息をつぐ。

そして、東海自然歩道日帰りセクションウォークの最大の難関、寧比曽岳はここから11km先だ。その先、伊勢神へ下りると併せて16kmになる。現在、ほぼ正午――午後5時過ぎの伊勢神バス停のバスを捕まえるためには、時速3.2kmの速度が必要。ちなみに、香嵐渓からここまで9km・高度差400mの道のりを3.6km/hで歩いて来た。

寧比曽岳へ続く道
寧比曽岳へと続く道。山頂は11.2km先――
平勝寺のコース案内板
平勝寺の前に立つ東海自然歩道コース案内板

――4km/hほどの速度を期待していたのだけど、まあ仕方ない。この先、山道とは言え、高度差は600mほどでそう登りはきつくない筈。ペースがガクッと落ちることも無いだろう。

平勝寺から出て、東に向き直る。脇には東海自然歩道のコース案内板。勝負の後半戦に出発、AM11:55。

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