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六甲山上~六甲最高峰

記念碑台駐車場
記念碑台駐車場。標高796m
六甲山ゴルフ場
六甲山ゴルフ場

PM2:30、記念碑台駐車場。

登山地図によると、向こうに記念碑台遊園地があることになっているけど、見当たらない。単に、地図が古いだけ?

記念碑台の十字路、県道16号を東に進んですぐ右折、細い路地を上っていく。それにしても8時間歩いてまだ山頂につかないなんて、飯豊山並みだな……。

防球ネット
防球ネット
谷口商店前
谷口商店前。咲くのはソメイヨシノ?

クラブハウスまで進み、さらにゴルフコースを潜る。山麓ではなく山上のゴルフ場だ。

再び車道に出る。展望の開けているほぼ平らな道。見下ろすと、芦屋・西宮の街がすぐ近く。さらに向こうは大阪の街。

谷口商店前から脇道に進む。

芦屋浜シーサイドタウン?
芦屋浜シーサイドタウン?
みよし観音
みよし観音
カキドオシ
カキドオシ

右に、みよし観音を過ぎる。

登りとなった。周囲は樹林帯で、けっこう勾配がある。そういえば山登りに来ていたんだ、ということを思い出す。

石切道を右に分け、さらに登っていくと……ぱっと目の前が開けた。満杯の駐車場に、車の誘導員――六甲ガーデンテラスだ。

六甲ガーデンテラス
六甲ガーデンテラス。高度は870mほど
見晴らしの塔
見晴らしの塔。平たく言えば展望塔

クリーム色の洒落た建物が散在し、大勢の人が歩いているのが見える。ここはもう、観光地以外の何物でも無い。多くの人はマイカーやバス・ロープウェイで上がってきた人で、ザックを背負ったハイカーとおぼしき人たちは、ごく少数派。

遊歩道の小路を渡り、「見晴らしの塔」の先、展望テラスへ向かう。――もちろん、先客が大勢いた。PM2:59。

展望テラス
展望テラス。絶景
六甲ガーデンテラス駐車場
六甲ガーデンテラス駐車場
六甲ビューパレス前
六甲ビューパレス前を通過

確かに、5月の午後をのんびりと過ごすにはとても良い場所。間近に見下ろされる海に街の展望、頬を撫でるそよ風も気持ちいい。

……なんて言ってもいられない。ここには凌雲台遊園地や六甲有馬ケーブル駅や人工スキー場があるらしいけれど、観光的なことはすべてパス。昼飯だって、今日は行動食ぐらいしか口にしていないという自己禁制っぷりだ。

電波塔
六甲山上は電波塔ばかり…
六甲最高峰方面
六甲最高峰方面
車道を渡る
県道16号を渡る

でも、なんで自分はそんなことをやっているのだろう、という疑問が解けることは無いのだけど。

展望テラスを後に、車道歩き再開。その車道の突き当たり、誰もそんなところまでやって来ないだろうというポイントが縦走路入り口。

緑の斜面のトラバース道を進んでいく。こちらは、もうハイカーの領域だ。でも午後3時を過ぎて、ハイカーの姿も目減りしている。

またもや電波塔を見て、道は下り始めた。

――ここに来ての下りは辛い。下った分、上り返さないといけないから。

県道16号
登山道は県道16号と絡みながら伸びる
再横断
県道16号を再横断

PM3:19、県道16号に出た。ここは横断だ。再び山道となる。車道横断、山道……あとはその繰り返し。登山道は県道と付かず離れず

山頂まで高度差わずか65mほどの登りなのだけど、かなりきつい。スタミナ的にはほぼ枯渇状態。明日、筋肉痛でかなり酷いことになりそう。

ただ、急登が無い分、歩行ペースは維持出来ている。あと少しだ。

六甲最高峰へ
六甲最高峰への最後の登りは坂道
六甲最高峰山頂
六甲山(931m)の山頂

PM3:41、六甲最高峰に到着。

平で結構広い広場。でかい電波塔が立っている。アマチュア無線の人が小型アンテナ立てて遠方交信している。他には、直下に車を置いて上ってきたであろう家族連れ、友達連れの姿がちらほら。

先ほどのガーデンテラスに比べると、遙かに静か。ちゃんと、山の頂にいるということが実感できる。

西宮から大阪北港
六甲最高峰から西宮・大阪北港への眺め
六甲最高峰の電波塔
六甲最高峰の電波塔
大平山
東側を見る。大平山の電波塔が見える
一軒茶屋
一軒茶屋

今までと同じような阪神湾岸地帯の展望もあるけれど、手前の山に邪魔されてちょっと窮屈。でも、北方の展望もあるのがこのポイントの良いところ。今日は霞んで良く見えないけど……。

とにもかくにも、本日の最高到達点がここ。従って、あとは下るだけ。膝は厳しいけど、体力的には余力がある。なんとか持つっしょ。

……ただ、明るいうちに下山できるかどうかは微妙。ヘッドランプは持ってきているけれど、歩いたことのない山道を夜下るのは避けたいところ。

山頂には5分ほどの滞留。下山開始、斜路を伝って下りていく。

六甲最高峰~宝塚

山頂十字路
山頂十字路
タンポポ
タンポポ

PM3:51、県道16号の一見茶屋前。駐車場、トイレがある。ここの自販機で、最後になるであろう飲み物を購入。ペットボトルのお茶だ。

ここは登山道の交点になっている。ただ、前に来たときは大勢のハイカーがいた有馬温泉下山道の入り口にも、人影が無い。ハイクには遅い時間帯であることを感じる。

車道脇を東進、やがて道標を捉えて山道に入り込む。

車道にまとう山道
車道にまとう山道
タムシバ
タムシバ

と、ハイカーのおじさんが山道に入らず、車道をそのまま歩いていったのが見えた。そちらの方が断然早いのは分かるけどねえ……。

登山道もやがて車道に合流、東六甲縦走路の入り口に到達。

PM4:10、東六甲縦走路に突入、本格的な下山となる。白い標識、「宝塚まで12km。頑張れー!」とある。はいはい、がんばりますよ。

東六甲縦走路入り口
東六甲縦走路入り口。高度は840m程度
東六甲縦走路
東六甲縦走路を往く

そう言えば、丹沢山から北東尾根を伝って宮ヶ瀬湖に至る道が、確か同じくらいの距離・標高差だったということを思い出し、少し懐かしさを覚える。あちらもマイナーな道だった……。

しかし、12kmと言ったらふつうに歩いても2時間半かかる。やっぱり、日没前の宝塚到着は厳しいか。

傾斜が緩やか。ガンガン歩きながらキョロキョロとあるものを探す。

ツツジの下山道
ツツジの下山道
雑木林
陽射しが地面に届かなくなった
船坂峠?
船坂峠?

――何度かとっかえ引返した挙句、良さそうな「木の杖」をゲット。これで膝の防禦力が10pt.アップ。

東に下っていくので、西日があまり到達せず、薄暗い。それでも時折、日が射し込んでツツジが浮かび上がる。平和な下山を演出してくれる。

船坂峠通過。下りと上りが入り混じるようになった。ここが距離の稼ぎ場所、とばかりペースを上げる。

甲山
甲山から大阪の街
西宮
北山貯水湖と西宮、さらに尼崎、大阪の街
大平山の林道
大平山の林道。高度は650mほど

PM5:03、大平山手前の林道に出た。

大平山には登らないで、林道を使って山の東面に回り込む。樹間から、夕方の斜光を浴びた大阪の街が見える。手前に見える小山は甲山だろうか。

雑木林
雑木林
県道82号
県道82号

この下山道は確かに長いけれど、苦になるほどでは無いなあと感じる。甲斐駒の黒戸尾根や空木岳の池山尾根と比べたら……(ってそれは比べてはいけません)

車道から再び山道へ。大谷乗越の車道を越える。そして、再び山道。日もだいぶ傾き、樹林の中は薄暗くなってきた。先は長いけれど、膝のこともあるので走り出したりも出来ない。

東六甲縦走路の道標
東六甲縦走路の道標
赤子谷分岐
赤子谷分岐

まあ、人気の無い南アルプスの山の中で日没と闘っているような状況では無いので、プレッシャーはまったくない……というわけで、道からちょっと外れて岩倉山を踏んでおくことにする。全山縦走と言っても、よく考えたらあまり山頂を踏んでいないし。

その岩倉山山頂は、木立の中の広場であった。ひたすら、地味。

山名板
岩倉山山名板
岩倉山
岩倉山(488m)の山頂
ゆずり葉台分岐
ゆずり葉台分岐
残照
残照が落ちる。暗くなってきた
塩尾寺
塩尾(えんぺい)寺

道は急な下りになる。杖をフル活用して、これに対抗。持ってくれよ、右膝……。

PM6:00、塩尾寺に到着。ついに山道区間が終わった。この先はもう車道しか無いだろう。

東六甲縦走路では結局、誰一人出会わなかった。ほんとうに静かな山道であった。

宝塚の夕景
縦走路の終着地、宝塚の夕景

そして目の前には、旅の終着地、宝塚の街が広がっている――さも、六甲全山縦走の達成を祝ってくれるかのよう。少し感傷的だけれど。

手にしていた杖をそっと道端に置く。この木の枝のおかげで、なんとか膝は持った。

宝塚へ下る
西日の照らす宝塚の街へ下っていく――
信号待ち
もどかしい信号待ち……
宝来橋
宝来橋で武庫川を渡る

林道を駆け下る――ここにきて何故駆けるかというと、ある時間に間に合いそうだからだ。

あたりの光景は住宅地へと変貌していくけど、お構いなしにどんどん下る。途中左折、小走りになりながら小川沿いを進んでいく。ハイカーとおぼしき人二名を追い越した。さらに、交差点の信号機に捉まって一時休止。

……疲れ切っているのが良く分かる。体力は枯渇、膝も限界。体が綿のよう、とはこういうことを言うのか。

というわけで、武庫川に懸かるS字型の宝来橋は歩いて渡る。ただ、もう前に進むだけでも、しんどい。

阪急宝塚駅
阪急宝塚駅
午後6:25
今の時刻、午後6:25

――あれが阪急宝塚駅の駅舎だ。あともう一息! 信号がまた合わない、少し待って横断歩道を渡り……。

PM6:25、阪急宝塚駅に到着。そう、須磨浦公園駅をAM6:26に出発してから、じつに11時間59分が経過していた。半日以下で歩いた、と、ぎりぎり言える時間だ。

よし、じゃあ次に歩く時は10時間切りだ……って正直、もう勘弁!

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