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(山行年'11)

悪沢岳わるさわだけ

(3,141m)

8月の荒川三山
荒川三山。左、前岳(3,068)と中岳(3,083m)、右に悪沢岳の異名を持つ東岳(3,141m)。さらに右に肩のような千枚岳。8月中旬、小赤石岳の肩より北東に見る

南アルプス南部の最高峰はこの山、荒川岳。標高は3,141mで日本第6位。

赤石山脈の山々は、飛騨山脈と違って大らかな山並みが魅力ですが、この山も、ほとんどくっついた前岳・中岳と、少し離れた位置にある悪沢岳(東岳)で1つの大きな山体を形成しています。1つの山で幾つもの表情を持つので、ハイカーにも人気の高い山です。

中岳避難小屋と東岳
中岳山頂直下に建つ中岳避難小屋と、その向こう、荒川東岳
東岳山頂
東岳山頂。悪沢岳の文字は小さなプレートのみ…
荒川小屋
荒川小屋。荒川中岳の森林限界線上にある。水が豊富

もっとも、この山はかなり奥深いところにあり、日帰りコースと呼べるようなものはありません。実際、登山者の多くが椹島から荒川岳・赤石岳2泊3日周遊コースを採るようです。

――それにしても、山泊装備で高度差2,000mを登って下らないといけないのですから、かなりハード。山小屋は必要なところにありますが、辿り付くまでが大変……。(山小屋の収容キャパにも注意。道標いわく「お盆の避難小屋はどえりゃー事になるで気をつけてちょ」)

一方、縦走コースを採るなら三伏峠を出発し、高山裏避難小屋、もしくは中岳避難小屋まで頑張って一泊し、翌日に東岳から椹島へ、というコースが一般的でしょう。三伏峠へは、伊那大島駅から鳥倉登山口までの登山バスを利用してアクセスしやすい、というメリットもあります。行程がハードであることは変わりありませんが、南部南アルプスのスケールの大きな山旅が楽しめます。

9月の荒川三山
9月の荒川三山。左から、千枚岳、東岳、中岳、前岳。塩見岳から南に見る
伝付峠から荒川岳
伝付峠から西に見る荒川岳。マンノー沢頭が大きい


3泊4日山行記(2日目・三伏峠~荒川岳) ≫

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悪沢岳から富士山を見よう!

荒川小屋からの朝日と富士山
荒川小屋の前から早朝の富士山。夏は悪沢岳の尾根から朝日が昇る。f=36mm相当
荒川小屋からの富士山・夕
同じく、夕刻、荒川小屋から見る。手前は白峰南嶺の稜線。f=150mm相当

なにしろ南アルプスで一番、富士山に近い山です。

――従って、山頂の細かいデコボコまで良く見えてくれます。高度も十分で、樹林に視界を妨げられるようなこともありません。山頂部の前岳・中岳・悪沢岳(東岳)・丸山・千枚岳いずれからでも良く見えます。

次に登山道からの富士眺望ですが。縦走路の北側からは見えません。というか、小河内岳から南へ下りて森林に没した後は、荒川前岳に登り切るまで富士眺望は一切無し。南側縦走路は前岳~荒川小屋までが可視範囲で、その先は赤石岳の巨大な山体に隠されます。

一方、椹島・二軒小屋からの登山道では、高度2,300mを超えたところから可視範囲に入りますが、すっきり見えてくるのは森林限界を超える2,600m付近からでしょうか。

悪沢岳から東南東/28mm
悪沢岳から東南東方向の見晴らし。富士山を取り巻く山々までも俯瞰できる。甲府盆地や駿河湾も。f=28mm相当

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