
南アルプス南部の最高峰はこの山、荒川岳。標高は3,141mで日本第6位。
赤石山脈の山々は、飛騨山脈と違って大らかな山並みが魅力ですが、この山も、ほとんどくっついた前岳・中岳と、少し離れた位置にある悪沢岳(東岳)で1つの大きな山体を形成しています。1つの山で幾つもの表情を持つので、ハイカーにも人気の高い山です。



もっとも、この山はかなり奥深いところにあり、日帰りコースと呼べるようなものはありません。実際、登山者の多くが椹島から荒川岳・赤石岳2泊3日周遊コースを採るようです。
――それにしても、山泊装備で高度差2,000mを登って下らないといけないのですから、かなりハード。山小屋は必要なところにありますが、辿り付くまでが大変……。(山小屋の収容キャパにも注意。道標いわく「お盆の避難小屋はどえりゃー事になるで気をつけてちょ」)
一方、縦走コースを採るなら三伏峠を出発し、高山裏避難小屋、もしくは中岳避難小屋まで頑張って一泊し、翌日に東岳から椹島へ、というコースが一般的でしょう。三伏峠へは、伊那大島駅から鳥倉登山口までの登山バスを利用してアクセスしやすい、というメリットもあります。行程がハードであることは変わりありませんが、南部南アルプスのスケールの大きな山旅が楽しめます。


悪沢岳から富士山を見よう!


なにしろ南アルプスで一番、富士山に近い山です。
――従って、山頂の細かいデコボコまで良く見えてくれます。高度も十分で、樹林に視界を妨げられるようなこともありません。山頂部の前岳・中岳・悪沢岳(東岳)・丸山・千枚岳いずれからでも良く見えます。
次に登山道からの富士眺望ですが。縦走路の北側からは見えません。というか、小河内岳から南へ下りて森林に没した後は、荒川前岳に登り切るまで富士眺望は一切無し。南側縦走路は前岳~荒川小屋までが可視範囲で、その先は赤石岳の巨大な山体に隠されます。
一方、椹島・二軒小屋からの登山道では、高度2,300mを超えたところから可視範囲に入りますが、すっきり見えてくるのは森林限界を超える2,600m付近からでしょうか。
