
――中央アルプス、空木岳。
木曽駒と空木岳で中央アルプス北部の尾根を張ります。それでいて、ロープウェイ1本で登れる賑々しい木曽駒と違って、空木岳は登山者の領域。長大な尾根を登り詰めるか、千畳敷から遙々縦走してくるか、ぐらいの選択肢しかありません。中央アルプスが擁する3つの百名山のうち、もっとも質実剛健と言える山のように思います。



そんなわけで、とある夏の日に木曽駒からこの山まで縦走してみた訳ですが……。
空木平カールのお花畑がいい感じ。数多の花が咲き誇り咲き乱れ、ちょっとした空中庭園の様相でした。
ただし、その後は見現地獄と思えるような高低差2,000mの下山。まごうかたなきバカ尾根で、コースタイムはざっと5時間――。私は朝イチのロープウェイで千畳敷まで上がって、縦走して山頂に辿り着いたのですが、菅の台に下山出来たのが夜9時近くでした。


空木岳から富士山を見よう!


富士山が見えるかどうか?というと、見えます。
――ただし、3,000m峰の南ア塩見岳にほとんど侵食されながら、なんとかお椀の部分だけ覗かせている、といった程度です。注意して眺めないと、富士山が見えているとは分からないでしょう。
そして、空木平カールに下るだけで、そのお椀も見えなくなります。山頂から赤椰岳、南駒ヶ岳と南に移動しても大して変わらず、南アルプスが高い壁となってブロックします。中央アルプスの山の宿命でしょう。
空木岳を日帰りで歩こう!




菅の台からの池山尾根往復、12時間50分――これが直球の日帰り空木岳登山と思います。ただ、標高差2,000mを上って下るだけ、樹林帯ばかりで見晴らしもあまり期待出来ず、という覚悟が必要な山行になるでしょう。
楽しんで歩きたいのであれば、菅の台からバス・ロープウェイで千畳敷まで上がり、そこから空木岳への縦走、池山尾根を伝って下山というコースを採るべきでしょう。こちらのコースタイムは12時間25分。


――もっとも、この縦走路はアップダウン激しい岩稜帯なので、そこで体力が相当奪われます。正直言って、池山尾根往復と比べて楽とはとても言えません。
それと、本コースを使う勘所は、どれだけ朝早くに千畳敷に到達できるかですが、ハイシーズンは混雑で計画通りに歩けない可能性大。
第3のルートとして、西麓、伊奈川ダムの先に駐車場が見つかりますが……日帰りが厳しいことは間違いありません。

