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(山行年'22)

浅間山あさまやま

(2,568m)

春の浅間山
春の浅間山。剣ヶ峰、前掛山に囲われている。北陸新幹線の軽井沢付近より見る

ランクAの活火山・浅間山。冬、北陸新幹線の車窓から富士山と見紛う真っ白な姿で眺められ、山好きでない人にも「これは何?」と強い印象を残す山です。

そして時折、噴火してニュースにもよく登場します。もくもくと噴煙を上げているイメージですが近寄ってもすごいんです。火山景観としては一級品――



前掛山山頂
前掛山山頂のハイカーの姿は噴火警戒レベル1の証し

浅間連峰の最高峰である浅間山は海抜2,500mを超える高山。裾野は広く、軽井沢高原、佐久平、嬬恋の三方向から綺麗に眺められます。

もっとも、人間が山頂を踏むことはありません。活動レベルの高い活火山であるため、山頂周辺は長い間立ち入り禁止になっているからです。

そのため、この山は基本的に眺める山です。山麓から眺めるのも良いですが、ハイカーであれば警戒レベル2なら第二外輪山の黒斑山、レベル1なら第一外輪山の前掛山まで接近することが出来ます。山頂部は植物の生えない荒野で、火山ガスにも注意が必要。

――それでも、素晴らしい火山造形を目にすることが出来ます。警戒レベルが上がりさえしなければ一級の観光地になれるポテンシャルがあると思っています。

浅間山カルデラ
トーミの頭より見る浅間山カルデラ。正面に前掛山(2,524m)、左方に第二外輪山が伸びて左端が黒斑山(2,402m)。右端は剣ヶ峰(2,281m)
ニホンカモシカ
ニホンカモシカが登山道脇を悠々と歩く
牙山
牙山(ぎっぱやま)と蛇堀川最上流部
浅間山
湯ノ平の森林限界付近。9月下旬の黄葉

この山は警戒レベル2がデフォルトな感じで、登れても黒斑山までという期間が多いです。私も山歩きを始めてから前掛山に登るチャンスをずっと窺っていましたが、あろうことかコロナ禍真っ最中にレベル1に下がり、やきもきしました。

幸い、今回はレベル1が継続していて、ようやく前掛山まで登ることが出来ました。

浅間連峰
浅間連峰を佐久平から北北東に見る。左から高峯山(2,104m)、黒斑山(2,402m)、浅間山(2,568m)





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浅間山から富士山を見よう!

車坂峠より富士山
車坂峠より佐久平越しに見る。奥秩父の山々を左に侍らせる
トーミの頭から富士山
トーミの頭から。標高2,599mの金峰山が邪魔
前掛山より富士山
前掛山山頂より雲海に埋もれかける富士山を眺める

富士山は見えます。ただし、高度2,500mを超える前掛山山頂からであっても、奥秩父の山々が山頂部より下を隠し立てしています。

またトーミの頭、黒斑山からも眺められます。車坂峠~トーミの頭までの稜線登山道は樹木が多く、八ヶ岳、南~北アルプス方面への展望が開ける箇所はあるものの、残念ながら富士山の方角へは開けません。

この付近で最も富士眺望が良いのは車坂峠かも知れません。ちょうど奥秩父の山々の外れに富士山が位置するようになります。さらに西へ進めばより見えるようになる筈ですが、木々も多いため眺望を得られるかどうかは不明。

浅間山から南/50mm
浅間山から南の見晴らし。富士山は奥秩父の峰越しに見える。距離は117km。右手に佐久盆地。f=50mm相当

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浅間山を日帰りで歩こう!

日帰りコース所要時間(登り/下り)累積高度登降ピッチ
1. 浅間山荘駐車場~長坂~湯の平分岐~前掛山(往復)
 (1,410m)
7時間4時間10分+1,158m
-50m
+278m/h
2時間50分-409m/h
2. 車坂峠駐車場/高峰高原ホテル前バス停~トーミの頭~湯の平分岐~前掛山(往復)
 (1,973m)
7時間15分4時間+893m
-343m
+223m/h
3時間15分-275m/h

R5/3/23 噴火警戒レベル2、山頂火口から概ね2km立入禁止

 ■気象庁 火山登山者向け情報 ≫
高峰高原ホテル前バス停
高峰高原ホテル前バス停。車坂峠にある
車坂峠駐車場
車坂峠駐車場。50台収容だがシーズン中は混雑
浅間山荘駐車場
浅間山荘駐車場。この下方にもあって計50台
天狗温泉・浅間山荘
天狗温泉・浅間山荘。トイレ、登山口がある
カラマツの紅葉
車坂峠からの稜線登山道。カラマツの紅葉
トーミの頭
槍の鞘からトーミの頭へと登る道――

マイカー登山なら迷わず車坂峠からのピストンを選択するでしょう。稜線を通らない巻き道もあって、スピードアップが図れます。

――ところが、このコースは最短ではありません。車坂峠は標高2,000m近くあって前掛山と高度差は550m程度ですが、トーミの頭からカルデラにいったん下りるので高さにして350mほどロスします。結果として、浅間山荘からのピストンコースに追い抜かれてしまいます。

そうは言ってもタイム差は15分なので、ほぼ同等と考えて良いです。眺望を期待し、草すべりのスリリングな下降にも耐えられる人なら車坂コース、じっくり山登りしたい人なら浅間山荘コース、と言ったところでしょうか。

なお、噴火警戒レベル1が前提の話ですので、レベル2の黒斑山までの場合、車坂コースしか選択肢はありません。レベル3以上だったら……諦めて下さい。

前掛山登山道
円錐をトレースしていくような前掛山登山道
黒斑山
黒斑山をピークとする外側カルデラ壁
トリカブト
草すべりに咲くトリカブト
前掛山
前掛山をピークとする内側カルデラ壁。登れるのは、この壁の一番高いところまで

公共交通機関利用なら、新幹線で佐久平駅で降車、JRバスに乗って車坂峠まで向かうというプランとなるでしょう。東京都心部からの日帰り登山が可能となります。ただし、JRバスは1日2便でだいぶ時間的制約があります。自分の歩速や天候などの条件を計算した上で選択しましょう。

さらに時間制約厳しくなりますが、車坂峠までバス、登頂後に浅間山荘へ下ってさらに1時間ほど林道を歩き、チェリーパークラインの浅間登山口バス停で佐久平駅行きバスを捕まえる、というプランも作れます。満員で乗れないリスクもあるかも、ですが……。

白峰
冬の浅間山。高崎付近より見る
佐久平
前掛山山頂から佐久平を見下ろす。奥に見えるのは八ヶ岳連峰

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