
ランクAの活火山・浅間山。冬、北陸新幹線の車窓から富士山と見紛う真っ白な姿で眺められ、山好きでない人にも「これは何?」と強い印象を残す山です。
そして時折、噴火してニュースにもよく登場します。もくもくと噴煙を上げているイメージですが近寄ってもすごいんです。火山景観としては一級品――

浅間連峰の最高峰である浅間山は海抜2,500mを超える高山。裾野は広く、軽井沢高原、佐久平、嬬恋の三方向から綺麗に眺められます。
もっとも、人間が山頂を踏むことはありません。活動レベルの高い活火山であるため、山頂周辺は長い間立ち入り禁止になっているからです。
そのため、この山は基本的に眺める山です。山麓から眺めるのも良いですが、ハイカーであれば警戒レベル2なら第二外輪山の黒斑山、レベル1なら第一外輪山の前掛山まで接近することが出来ます。山頂部は植物の生えない荒野で、火山ガスにも注意が必要。
――それでも、素晴らしい火山造形を目にすることが出来ます。警戒レベルが上がりさえしなければ一級の観光地になれるポテンシャルがあると思っています。




この山は警戒レベル2がデフォルトな感じで、登れても黒斑山までという期間が多いです。私も山歩きを始めてから前掛山に登るチャンスをずっと窺っていましたが、あろうことかコロナ禍真っ最中にレベル1に下がり、やきもきしました。
幸い、今回はレベル1が継続していて、ようやく前掛山まで登ることが出来ました。

浅間山から富士山を見よう!



富士山は見えます。ただし、高度2,500mを超える前掛山山頂からであっても、奥秩父の山々が山頂部より下を隠し立てしています。
またトーミの頭、黒斑山からも眺められます。車坂峠~トーミの頭までの稜線登山道は樹木が多く、八ヶ岳、南~北アルプス方面への展望が開ける箇所はあるものの、残念ながら富士山の方角へは開けません。
この付近で最も富士眺望が良いのは車坂峠かも知れません。ちょうど奥秩父の山々の外れに富士山が位置するようになります。さらに西へ進めばより見えるようになる筈ですが、木々も多いため眺望を得られるかどうかは不明。

浅間山を日帰りで歩こう!
日帰りコース | 所要時間 | (登り/下り) | 累積高度 | 登降ピッチ | |
---|---|---|---|---|---|
1. | 浅間山荘駐車場~長坂~湯の平分岐~前掛山(往復) (1,410m) |
7時間 | 4時間10分 | +1,158m -50m | +278m/h |
2時間50分 | -409m/h | ||||
2. | 車坂峠駐車場/高峰高原ホテル前バス停~トーミの頭~湯の平分岐~前掛山(往復) (1,973m) |
7時間15分 | 4時間 | +893m -343m | +223m/h |
3時間15分 | -275m/h |
R5/3/23 噴火警戒レベル2、山頂火口から概ね2km立入禁止
■気象庁 火山登山者向け情報 ≫





マイカー登山なら迷わず車坂峠からのピストンを選択するでしょう。稜線を通らない巻き道もあって、スピードアップが図れます。
――ところが、このコースは最短ではありません。車坂峠は標高2,000m近くあって前掛山と高度差は550m程度ですが、トーミの頭からカルデラにいったん下りるので高さにして350mほどロスします。結果として、浅間山荘からのピストンコースに追い抜かれてしまいます。
そうは言ってもタイム差は15分なので、ほぼ同等と考えて良いです。眺望を期待し、草すべりのスリリングな下降にも耐えられる人なら車坂コース、じっくり山登りしたい人なら浅間山荘コース、と言ったところでしょうか。
なお、噴火警戒レベル1が前提の話ですので、レベル2の黒斑山までの場合、車坂コースしか選択肢はありません。レベル3以上だったら……諦めて下さい。




公共交通機関利用なら、新幹線で佐久平駅で降車、JRバスに乗って車坂峠まで向かうというプランとなるでしょう。東京都心部からの日帰り登山が可能となります。ただし、JRバスは1日2便でだいぶ時間的制約があります。自分の歩速や天候などの条件を計算した上で選択しましょう。
さらに時間制約厳しくなりますが、車坂峠までバス、登頂後に浅間山荘へ下ってさらに1時間ほど林道を歩き、チェリーパークラインの浅間登山口バス停で佐久平駅行きバスを捕まえる、というプランも作れます。満員で乗れないリスクもあるかも、ですが……。

