名瀑、養老の滝――。
箕面の滝を思い出す。実際、落差はほぼ同じだし、水の落ち方も似ている。滝道を歩き詰めて到達する、というアプローチの仕方も同じだ。
そして、ほぼ1年前、箕面の滝から始まった東海自然歩道歩き。……その箕面大滝は紅葉に彩られていた。
この物足りなさを埋めようと考える。滝の広場を背に、滝谷左岸の道を上り始める。
滝駐車場に出る。その先、養老山登山道入口――。
そちらに進む。紅葉の下りて来ている地点まで山を登ってみよう、という魂胆だ。東海自然歩道歩きは一時中断。今日は少し時間があるし……って、少しの時間どころじゃなくなるだろうけれど。
車道を0.2kmほど進むと分岐。左折で三方山経由、直進はアセビ平経由で養老山稜線だ。
左折を選択。谷を渡って、山道の登山道に入る。いきなり、勾配のきつい登り。まっとうな山登りだ。今日の装備的には問題無いけれど、飲み物が少し不足かも知れない。まあ、短時間で終わらせてしまえば大丈夫。
山道をガンガン登っていく。緑の広葉樹の道が気持ちいい。
整備は良く、丸木階段もしっかりしている。途中にはベンチの休憩所もある。
――ただ、紅葉は未だチラホラと見られるくらいだ。と、分岐に当たった。左に進むとすぐに三方山山頂。
見晴らしが良い。今朝、見上げていた養老山地を逆の視点から見下ろす形。
分岐に戻って、もうひと頑張りで笹原峠。ようやく山稜線に到達した。時刻は、AM10:20。AM9:15に滝を出発しているから、かなりのハイペースで登ったことになる。でも、まだ足は元気。
左折して稜線道を南に向かって進む。山頂遊歩道と言うだけあって、本当に遊歩道っぽい平和な道だ。歩いているハイカーの姿も散見される。なにしろ、今の時期は絶好のハイクシーズン。
ただ、周囲には笹やススキが多く、紅葉は期待していたほどじゃない。元々、こういう山かも知れないけど……。
その代わり道は開放的で、展望がすこぶる良い。近くには笙ヶ岳も見えている。
途中、小倉山山頂園地を通過。ベンチや見晴台、あずま屋のある公園で、8の字状に遊歩道が巡っている。
さらに南へ。少し山道が細くなってくる。と、同時に黄葉もやや多く目に出来るようになってきた。最後、木立の中を標示に従って右に入ると養老山の山頂に到着。AM10:45。
一等三角点があるものの、地味な小広場。見晴らしは無い。
さあ、どうしよう? 今日はコース歩きは止めてこのまま養老山地を縦走し、川原越まで歩いてしまうのも一興か、なんて思ったものの、あまり黄葉も展望も期待出来なさそうだ。引き返すことにする。
来た道をそのまま辿る。小倉山を通過し、笹原峠の三叉路……。
三叉路を直進。下山は少し先からの林道を使うことにしたのだ。高度800m前後の稜線道を細かく登ったり、下ったりしながら北上していく。見晴らしは乏しくなったけれど、紅葉もチラホラと見られる明るい木立の道。秋のハイキングコースとしては申し分ない。
826mピークを通過。……足が疲れてきた。
さらに頑張って進むとススキの草原に出た。アセビ平だ。AM11:30。
このまま稜線上を直進すれば、もみじ峠そして笙ヶ岳へと至る。そちらへ進んで、今日1日を養老山ハイクにしてしまうのも、なかなか魅力的な考えに思えてくる。
やや悩んだものの……
下山を選択。十分とは言えないけれど紅葉狩りも出来た。当初の目的は達成したのだから、寄り道はここでオシマイ。
アセビ平から東に下り始める。道幅は広く、とても歩きやすい。下りを利して、ところどころで走る。さすがにコース復帰時間が気になり始めたのだ。
どんどん下っていく。空には薄雲が増えて日差しが失われた。見るべきものも少ないので、ただただ一方的に下るだけになる。道は車の通れる幅になり、山道の趣きも失われた。登りで三方山経由の道を選んだのは正解か。
一気に下り過ぎたので、途中の広場で小休憩。ベンチの上で地図を広げ、飲み物を飲みながら今日の歩行計画の練り直しを始める。
――やっぱり、今日の到達可能距離は関ヶ原までだろう。関ヶ原の周遊コースは今日は歩けないけれど仕方が無い。またいつか歩けばいいさ。
下山を再開。あたりはすっかり植樹帯となって、景色も単調。ただ、ここにきて再び陽射しが戻ってきた。路面が光のまだらに照らし出される。
と、見覚えのある舗装道に出る。三方山コースとの分岐地点だ。そのまま進んで、滝駐車場のある養老山登山口。
……人が一気に増えている! そりゃそうだ、もう時刻は正午を回っている。観光の時間だ。
養老の滝まで引き戻る。そこは滝見物をする大勢の観光客でザワついていた。PM0:12――この地点を離れてから、じつに3時間という時が流れ去っていた。
←コースへ戻る |
![]() |