
複数ある奥岳の巨大駐車場があっという間に埋まっていく様を目にして、この山の人気ぶりに唸ってしまいました。
――確かに首都圏からの日帰りレンジの山として好条件が揃っています。
ただし、れっきとした活火山。あけっ広げの稜線には逃げ場所がありません。天候には注意を払うべきと感じます。


火山景観と大展望の山。高度はさほどではありませんが、元々、奥羽山脈の山は標高1,000~2,000mほどしかなく、その中では高い方、と言えるでしょう。
そして、なによりこの山には利便性があります。二本松市街から奥岳登山口までは10kmほど。JR二本松駅からの路線バスの他、東北自動車道燈で首都圏から大勢の人が訪れます。奥岳からはロープウェイを使って高度1,340mまで到達できますが、ここではハイカーより観光客の姿が圧倒的に多いほど。


高度1,500mほどで森林限界線を突破します――火山のために、このラインが随分と低くなっている気がしますが。
従って、この山の稜線からは隠すものの無い大展望が得られます。北には吾妻連峰や飯豊連峰、西には磐梯山と裏磐梯、南は那須連山、日光連山と一望。北に行くほどハイカーの姿が減りますが、箕輪山までは足を運んでおいた方が良いと思います。一転してたおやかな光景が見られますので。


特異な沼ノ平の風景も見どころですが……ここであった1997年の火山性ガス死亡事故は記憶に新しいところ。事故のあった沼ノ平は通行止めにされていますが、迷い込まないよう注意。
それと稜線は風の通り道ですので強風にも注意です。(実際、吹き飛ばされ掛けました…)


安達太良山を日帰りで歩こう!
日帰りコース | 所要時間 | (登り/下り) | 累積高度 | 登降ピッチ | |
---|---|---|---|---|---|
1. | ロープウェイ山頂駅~仙女平分岐~山頂 (1,340m) |
2時間25分 | 1時間20分 | +332m 0m | +249m/h |
1時間5分 | -306m/h | ||||
2. | 奥岳バス停/駐車場~五葉松平~薬師岳展望台~山頂 (940m) |
4時間45分 | 2時間40分 | +739m 0m | +277m/h |
2時間5分 | -355m/h | ||||
3. | 奥岳バス停/駐車場~勢至平分岐~峰の辻~山頂 (940m) |
5時間05分 | 2時間50分 | +754m -16m | +266m/h |
2時間15分 | -335m/h | ||||
4. | 沼尻登山口駐車場~障子ヶ岩~船明神山~山頂 (1,130m) |
5時間35分 | 3時間 | +656m -111m | +217m/h |
2時間35分 | -254m/h | ||||
5. | 塩沢登山口駐車場~馬返分岐~天狗岩~くろがね小屋~峰の辻~山頂 (770m) |
5時間55分 | 3時間20分 | +936m -20m | +281m/h |
2時間35分 | -362m/h | ||||
6. | 野路温泉登山口駐車場~土湯峠~鬼面山~箕輪山~鉄山避難小屋~山頂 (1,180m) |
7時間55分 | 4時間10分 | +790m -290m | +190m/h |
3時間45分 | -211m/h |
H21/3/31 噴火警戒レベル1、活火山であることに留意
■気象庁 火山登山者向け情報 ≫



日帰りの山です。さらに日帰りコースも四方へ伸び、選択肢は多彩。
――奥岳からロープウェイを使うコースが最短となります。山頂までの高度差も僅か360mほど。実際、このコースが一番歩かれているようで、紅葉シーズンには山頂まで人の列が繋がっていました。最初は樹林帯ですが、やがて荒涼とした火山岩稜帯に到達して大展望が広がるという演出も良く、コース整備も行き届いています。


奥岳までJR二本松駅からシャトルバスも出ていますので、首都圏からの電車バス利用日帰り登山も可能です。帰路、途中の岳温泉に立ち寄りひと風呂浴びる、ということも出来ます。
なお、バスは混雑時には臨時便も出ますので注意。(二本松駅で列車を下りたハイカーが駅前に停まっているバスに殺到する光景には驚きました……)
マイカー登山でもシーズン中の渋滞には注意。


奥岳から勢至平経由の登山道は勾配緩め。下山利用が多いようです。最下部の林道に並行する旧道登山道ですが、大穴がボコボコ空いて、確かに歩きにくいです。
一方、塩沢登山の渓谷コースですが、残念ながら歩き損ねました。安達太良山の多彩さを感じさせる道と思っているのですが。
また、野路温泉からの縦走コースもなんとか日帰り圏内です。箕輪山までのピストンでも良いかも知れません。沼尻からのコースは不明。人気はあるようですが……。

