
ざおう、というブランド。わずか2音節の発声でも全国に通じる著名な山。イメージは、この宮城・山形を隔てる壁に立ち並ぶアイスモンスター……
樹氷は地球温暖化でじき見られなくなるとも言われています。でも、この山から四季が失われることはありません。




奥羽山脈の一角、宮城・山形県境に広がる山域を蔵王山と言ったり蔵王連峰と言ったりします。蔵王山という峰があるわけではありません。宮城県では1,500mを超える山は蔵王山と栗駒山だけで、展望地としても一級。
そして全国的に知名度を高くしているのが、この山の樹氷。冬、日本海から吹き込む湿った季節風が奥羽山脈にぶつかって降らせた大量の雪と風が「モンスター」を造形します。山形県側の蔵王温泉にはロープウェイやリフトが多数設置され、観光客に四季折々の光景を提供しています。一帯は蔵王国定公園に指定。
もちろん、交通アクセスの良さは登山客にも恩恵を与えます。ただし、この山は活火山。想定火口はお釜周辺ですが、噴火警戒レベル1(平常)であっても登山道通行止めがあります。山に向かう前には必ずチェックしましょう。


蔵王連峰の中心は御釜の周辺。最高峰の熊野岳もここにあります。活火山ならではの荒涼とした地形で展望に恵まれています。もっとも、車やロープウェイで上がってきた観光客が集中するので、あまり山深さはありません。
御釜を囲う馬の背からは、4つの尾根が伸びていきます。そのうち北西へ伸びる稜線は西蔵王と呼ばれ、地蔵山、五郎山そして瀧山に至る稜線です。懐に蔵王温泉とスキー場を抱え、人気のコースで。
南東に伸びる稜線は南蔵王と称されます。刈田峠から眺めるとたおやかな緑の山容ですが、屏風岳・不忘山の東面は絶壁。この南蔵王縦走路は芝草平という湿原も抱え、静かに歩けることから登山者に人気です。
北東に伸びる稜線は北蔵王。高度は1,500m以下で、マイナーな縦走路のようです。
蔵王山を日帰りで歩こう!
日帰りコース | 所要時間 | (登り/下り) | 累積高度 | 登降ピッチ | |
---|---|---|---|---|---|
1. | ロープウェイ蔵王山頂駅~ワサ小屋跡~熊野岳山頂 (1,735m) |
1時間35分 | 50分 | +200m -27m | +240m/h |
45分 | -267m/h | ||||
2. | 蔵王温泉~ワサ小屋跡~熊野岳山頂 (854m) |
5時間20分 | 3時間10分 | +1,014m -36m | +320m/h |
2時間10分 | -468m/h | ||||
3. | 笹谷峠駐車場~雁戸山~八方平~名号峰~自然園~熊野岳山頂 (906m) |
12時間 | 6時間30分 | +1,362m -432m | +210m/h |
5時間30分 | -248m/h |
H30/3/6 噴火警戒レベル1、活火山であることに留意
■気象庁 火山登山者向け情報 ≫



まずは気象庁の登山者向け火山情報と、自治体の登山道規制情報を入手する必要があります。噴火警戒レベルが2以上なら、最高峰の熊野岳は踏めません。
噴火警戒レベルが解除(レベル1)であっても油断は出来ません。2015年は、レベル2→レベル1に下がっても、馬の背の通行止めは続きました。同時に、蔵王エコーラインの賽の磧から自然園への登山道も半分の区間が通行止めであったため、宮城県側から熊野岳を目指す登山道は、エコーラインの表登山口からの1本になっていました。馬の背が歩ければ蔵王刈田駐車場/バス停から1時間45分の往復で日帰り蔵王山が出来るのですが……。
楽に蔵王山日帰りをしたいなら、山形県側からロープウェイ蔵王山頂駅を使うのが一番でしょう。高度差200mほど、1時間半ほどで熊野岳まで往復可能です。もう少し歩きたいなら蔵王中央ロープウェイ、蔵王スカイケーブルも使えます。さらに蔵王温泉から歩いても日帰り圏内。


西蔵王以外の地域からの日帰りコースも色々あります。
まず、熊野岳に直登できるのは蔵王坊平高原の駐車場から中丸山を経由するコース。さらに、エコーライン表登山口バス停/駐車場から名号峰へ登るコース、蔵王ダムの駐車場から自然園に登るコース、名乗沢の駐車スペースから八方平の登るコース。笹谷峠駐車場から北蔵王縦走路を往復するコースは日帰りは厳しいでしょう。
