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PM0:55、細久手を出発。目指すは今日3つ目の宿場・大湫。
歩いていくのは旧中山道――と言っても、変哲のない林道。また暫く蝉時雨とお付き合いか、なんてことを思っていたら空からギュルギュルという音が降ってきた。車の走行音だ。地図を開く。近くにあったのはサーキット場。なるほど。
その騒音も遠くなっていった。前方に見えてきたのはこんもりした盛り土。奥之田一里塚。




車道をさらに東に手繰る。一里塚があったのだから、確かにここは旧中山道なのだろう。周囲は雑木林。まだ緑一色だけれど、この秋が深まれば退屈せず歩けただろうに。
弁天バス停を通過。その先に見えてきたのが弁財天の池。葉で覆われ、時期がら蓮の花も咲いている。解説板が立っていて、古からあった池とある。――この街道を行き交った人々もここで足を休めたのだろう、というわけで自分も小休止。



再び東へ。緩い上り坂。まだまだ先は長そう……と思ったら分岐が現れた。中山道は直進なのに東海自然歩道は左に進めという。また大回りか。やれやれ。
一瞬、ビニールハウスが現れ、その後は次第に空間が開けてきた。稲穂で黄色くなった田園も現れる。道は右にカーブ……のところに「北野神社」の鳥居。大回りの理由はここに寄らせるため?



だったらお参りしてこないと、と、鳥居を潜る。目の前に伸びた参道。歩き出す。
……なんか普通の山道。しかも上り勾配で先も見えない。いくら歩いても景色が変わらない。これ、どこまで行けばいいんだ?


結構歩かされて、ようやく境内に上がった。こじんまりとした空間に佇む神社。ひと気は無い。拝殿で参拝。
参道を戻る。木漏れ日が気持ちよく、秋山ハイクの帰り道のような雰囲気――まあ、錯覚なのだけど。
車道に戻った。再び街道歩き再開。いや、街道ではなく里道か。旧中山道歩きをしている人は歩かない道。
田園が目立つようになった。次いで疎らに家々が見えてきた。北野集落だ。

中山道から外れたところにある集落。その坂道を上っていく。
と、眼下に黄金の稲穂の海が広がった。ちょっとした小盆地と感じられるくらいの空間。暫く狭いところばかり歩いて来たので、そう感じるのだろう。
――コスモスが咲いている。彼岸花ではないけれど、それでも原風景っぽい。





実りの秋を感じながら里道を歩いていく。先を急ぎたいと言っても、このような大回りなら歓迎だと思った。
集落が背後になり、田園も尽きた。そして中山道――県道65号に再合流。再び雑木林で見晴らしのない道に逆戻り。
さて、次の集落までどのくらい歩くのだろう、などと思いながら進んでいくと、いきなり目の前に田園光景が広がった。その奥に民家。案外、近かった八瀬沢集落。



集落に入っていく。ここには琵琶峠の入口ある筈だけど、どこだ?
左に変哲のない草の道が伸びている。入口に「琵琶峠」の標示。ここで間違いない。
そちらに進むと直ぐに森へと入り、地道へと変わった。坂道を上っていくと、さらに路面は石畳へと変わった。中山道の雰囲気を残していると言われると、そうなのかなという気分にもなる。
車道が現れた。横断。




右に公衆トイレ。解説板も並んでいて名所っぽい雰囲気。この石畳が無ければただの峠道ではあるけれど。
上っていくと、今度は左右にこんもりした盛り土。八瀬沢一里塚だ。


もうひと登りすると琵琶峠に到達した。何というか――普通の峠だ。脇にがあるぐらい。森の中で見晴らしもなし。……あれ、さっきの解説板に眺望が良いって書いていなかったっけ?
とりあえず下り始めると、すぐ「琵琶峠休憩地→」の道標が現れた。でもその方向って……と、再び峠に戻ってみる。別の道、無いけどなあ。もっと手前?
諦めて先に進むことに。足早に下り、先ほどの道標を通過。(道標の立つ場所が休憩地入口だったことが後に判明)



石畳を下っていく。……確かに峠への上りも下りも石畳というのは、なかなか無かった経験かも知れない。とは言え、ゆっくり堪能している時間も無い。小走りで駆け下る。今回のコースに山は無いからと今日前半のペースが少々甘かったかも知れない。
路傍の休憩所も横目に見るだけで通過。と、車道に出た。左わきに広い歩行スペースが付いている。次の宿場は近そうだ。と、道が二股に分かれていた。道脇には巨石。もう1つある。


歩道に沿って左へ。と、あずま屋が現れた。誰もいないけれど、観光地が近付いて来たぞという感じ。
その先、分かれていた道が合流。さらに民家が現れ始めた。そして遂に集落が現れる。大湫宿だ。その入り口には高札場もあった。いかにも宿場っぽい。――ここにどれだけの「時間」が投入可能だろう? 時刻はPM3:01。


……左にいい感じの細い坂が伸びている。全体像を掴むため最初に高いところへ上るという習性に従い、そちらへ。
そこにあったのは古びた観音堂と集落を見下ろす展望台だった。大湫宿は午後の陽射しにまどろんでいるかのよう。そして前方には大きな杉が見えていた。あそこが神明神社か。
そちらへ下りていく。


神明神社――境内は薄暗かった。その理由がこの巨大スギだ。拝殿が小ぶりに見えるのも、このスギの大きさ故。
再び車道に戻る。往年の雰囲気を残す町並。次は……宿場なのだから一方向に歩いていくだけだ。午後も深い時間帯、道に落ちる影も長くなっている。


そしてT字路に当たった。宿場というのは突き抜けていくものとばかり思ってたので少し驚く。旧中山道は右折とある。時間を確認――ここには20分ほど滞留したか。では先を急ぐとしよう。
すぐに集落が尽き、細い上り坂となった。「十三峠」の標示もある。……この先、本当に峠が13もあるのだろうか?
坂を上り切るとフラットになった。さあ、ここからが足の使いどころだ、と駆け出す。道は車一台が通れる分で、走りやすい道。



童子ヶ根の石碑を過ぎ、緩い下りに。今度は「しゃれこ坂」の石碑。……坂の1つ1つに名前が付いているの? まるで東京都心のようだ……。
二車線の道に合流。渡ると緩い上り坂……走れない。上っていくとやや広い空間に出た。茶屋跡の標示。






その後も林間のアップダウンが続く。最初こそ峠の数を数えていたのだけど、すぐ分からくなった。ピークがハッキリせず、常にアップダウンを繰り返す丘陵歩き。旧街道なんて本来、そんなものだろうとは思うけど……。高いところでは西日が木々を突き抜けて射し込んで来る。
現れたのは巡礼水。なるほど。水場は必要だ。そして、その先に権現山一里塚……やっとか。同じような景色ばかりではどこまで進んでいるのか不安になるけれど、そのための一里塚か、みたいな納得感。



……とはいえ、今日はあと2つ一里塚を残している。日没までに歩き抜けられないのは確定した。今はとにかく林を脱して人里に出て欲しい、と思いながら歩いていくと――棚田だ。その先に民家の建物。集落?
道が舗装道に変わる。民家は……数軒だけか。炭焼立場、という解説板が立っている。
再び峠道に戻る。でも少し開けてきたか。展望が得られるところもあった。恵那山は――まだ見えない。




大久後休憩所を過ぎる。その先で車道から分かれ、再び林間のダート道。緩く上っていくとあずま屋があった。時間があれば少し休みたいところだけど……。
観音坂の標示を見て駆け下り始める。でも、それも途中まで。だいぶ疲れてしまった。十三峠の名はダテじゃない。
棚田地帯に出て舗装道に合流。道なりに進んでいくとT字路に当たった。左折。



里へ下りていく雰囲気になってきた。田畑も目立ってきたし。このまま人里に……と思ったら。
――「中山道」の大きな碑。そこから再びダート道へ戻る。峠越えは尽きないか。さすが十三峠。
それでも、下りが続くようになった。別のダート道を挟んで、さらに下ると勾配が消えた。そして林から抜ける。稲刈りの終わった田園地帯。深萱立場だ。……やばい、もう日が暮れ始めている。


休憩所に当たった。東海自然歩道案内が立っていて、見ると中部北陸自然歩道合流地点まで4kmとあった。……先はまだ長いか。PM4:37。
二車線の国道418号に出た。右に深萱上バス停が見えているけれど左折。左に藤村高札場を見て、すぐ右折、再び細道になる。さらに上り坂に変わる。……十三峠、あといくつ残っているのだろう?



林間の上り。ペースを上げたくても、もう足が上がらない。日没と競争になるのは、いつもこんな体の状態の時。
路面が石畳に変わった。少し雰囲気が戻ってきたかなあ、と思ったら石畳が岩に変わった。脇にぼたん岩の標示。薄暗くて見逃しそうだった。
勾配が緩み、轍のあるダート道になる。そして林から出た、と、その直前に紅坂一里塚。ここもしっかり盛り土が残っている。



鉄塔のある少し開けた田園地帯を歩いた後、再び林間に突入した――今日はずっとこんな繰り返し。
すぐに林を出る。前方には大きな集落が見えていた。車道に合流し、その集落を横断していく。棚田や畑の目立つ山里ではあるのだけど民家は尽きることがなく続いて、コースも終盤に来たことを感じさせてくれる。赤みを帯びた弱々しい日差しがそんな里光景を浮かび上がらせていた。少し物悲しくなる雰囲気だけれど、だからといってペースを緩めるわけにはいかない。



もちろん、気を緩めることも出来ない。もっと、のんべだらりと歩きたいものだけど……。
民家も尽きた。西日を浴びながら緩やかに坂道を下っていくように。――分かれ道。標示に従い右の道へ。小川を渡る手前に解説板があって、この「乱れ坂」は息が乱れるほど急坂、とあった。うへって感じ。
その乱れ坂をおそるおそる上がっていく。石畳で歩きやすいし、それに、そんな急勾配でもなかった。辛いことは辛いのだけど……。



勾配が緩んだ。と、右に「首なし地蔵」の入口。そちらに首のない地蔵……って。跡じゃないじゃん。復刻?
コースに戻り再び歩いていくと、今度は左に「姫御殿跡」の入口。こちらは少し奥まっているようだ。木階段を上がるとベンチのある小広場。こちらは確かに解説板しか無かった。
コースに戻り再び歩いていくと、今度は森の中の広場に出た。ここは――



槇ヶ根立場。中部北陸自然歩道との分岐か、と思ってずっと歩いて来たけど微妙にズレていたようで少々がっかり。通り過ぎて、さらに直進。
右に二車線の車道が現れ、合流していく。そこに立っていたのは指導標――3方向だ、というわけで、ここが中部北陸自然歩道と東海自然歩道の分岐点か。自然歩道的には要所だけれど、変哲のなさ過ぎる場所だなあ。まあ、どこもそうなのだけど。



選択は当然、東海自然歩道。右に折れ、恵那盆地へ下りていくであろう道へ。西の空では、ちょうど日が沈むところだった。
目の前に現れたのは高速道路。中央自動車道だろう。そのトンネルを潜ると槇ヶ根バス停が立っていた。その向こうは引っ切り無しに車が行き交う国道19号。そして右を見ると国道を白い歩道橋が渡っていた。「東海自然歩道橋」と書いてある。
――ここが今日のコース終点……いや、長かった。PM5:50。
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歩道橋に上ってコースの先を眺める。既に3カ月前に歩いた道。よく覚えている。
――引き返す。中央高速を潜って先ほど下りてきた坂を上り始める。槇ヶ根バス停~恵那駅は3カ月前に国道を歩いた。だから今日は別ルート。
三方向道標まで戻った。そして中部北陸自然歩道歩きを開始――


車道ベタだけど上り坂……ここに来ての上りは辛過ぎる。攣りそう……。
右に旧中山道の分岐。もう闇が濃いけれど、そちらへ。
ダートの道。フラットだけど暗くて道は不明瞭。分岐があったら絶対見逃すな……。
幸い、右側が開けてきた。西行の森というところらしい。



槇ヶ根一里塚は暗くて危うく見逃しそうになった。大きな碑が立っていて良かった。他にも色々ありそうなのだけど夕闇の中で判然としない。とにかく今は帰り道、先を急ぐことに集中。
下りになった。足元がおぼつかないほどの暗さ。……ヘッドランプを出そうかどうか迷いながら歩いていくと中央高速を潜って周囲が開けた。これは――もう十三峠はクリアしたと思っていい? あまりにもアップダウンが続いたので、また上りがあるのでは?とつい疑ってしまうように……。


広々とした空間――少し寒い。と、踏切に当たった。JR中央線か。渡ると旧国道19号に合流。
そのまま旧国道を歩いていく。一応ここも旧中山道で、中部北陸自然歩道でもあるのだろう。車の往来は激しい。
――5叉路。歩道橋に上がって旧中山道を見定める……こっちだろう。


次の十字路を右折すると俄然静かになった。町中に入り、雰囲気のある商店街に。ここが中山道・大井宿か。
今は恵那駅前商店街。左に折れると煌々と明るいJR恵那駅が見えてきた。
PM6:44、到着。とにもかくにも、これで恵那コースも残り1コースに。この秋の紅葉時季に歩き切る所存……。